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『秘蔵記事から読み取る時代のカケラ プレイバック交通新聞』 交通・運輸業界唯一の総合専門紙「交通新聞」。そこには時代の流れが詰まっている。記者暦ウン十年の上地が当時を振り返りつつ、今を、そして未来の鉄道を考えていこうという連載です。

第3号 昭和44年6月11日付の記事より 東名ハイウェーバス営業開始

昭和44年6月11日付

名神高速道路に続き東名高速道路(東京~名古屋間359.9km)が40年前の昭和44年5月26日に全通し、東京~阪神間(東京~西宮間553.8km)は1本の高速道路で結ばれ、わが国は本格的なハイウェイ時代を迎えることとなった。

この全通を受けて同年6月10日から東名高速バスの運行を開始したのが、国鉄バスと東急系の東名急行バスの2社で、すでに営業を開始していた3社と合わせて5社が出揃った。

この記事は東京駅八重洲口、渋谷駅などで行なわれた開業式や祝賀会の様子だが、「バスの新幹線」のキャッチフレーズで華々しく登場したハイウェーバスも実は期待と不安が入り混じった中での船出であった。というのも5年前に名神高速道路の開通に合わせて開業した国鉄バスなど3社の高速バスの利用は全く不振だったのだ。

だが、その懸念はスタートから一掃され、逆にきっぷの取れない東名高速バス、というレッテルを張られるほど。国鉄では急遽、車両の増備を行なった。

特に人気が高かったのが、東京~京都・大阪間の夜行バス「ドリーム号」で、続行便を出すほどの盛況だった。人気の秘密は何と言っても運賃の安さ。東京~大阪間で2250円と新幹線の4130円のほぼ半額。また、冷暖房、トイレ付き、5段のリクライニングシート、という乗り心地満点のデラックス車両の投入も魅力だった。ちなみに渋谷を起点とした東名急行バスの車両にはトイレが付いておらず、人気は今ひとつ。オイルショックの影響もあったが、昭和50年3月末で全線から撤退した。

高速バスは時速100kmで走行するが、「瞬きひとつで30m」と、取材先でよく聞かされたものだ。高速道路は鉄道と違って一般の車両と同時に走らなければならないため、安全運転は至上命令。それだけに乗務員教育、徹底した車両整備、最新の安全装置の搭載には最優先で取り組んできた。この精神はJRバス各社になっても引き継がれている。

開業当初、当時の国鉄関東地方自動車局の海沼武彦局長(故人)は、休日になると部下と上り便の最後のサービスエリアである足柄で、「ドリーム号」を湯茶で迎え、乗務員の労をねぎらい、乗客に感謝の気持ちを伝えたという。

「ムーンライトに耀く浜名湖、興津(おきつ)海岸の夜景、よく澄んだ夜明けの空気の中から眺める夜明けの富士の霊峰、このドリーム号の旅の味は格別である」と海沼さんは手記に残しているが、この光景は今も変わらない。

年間49万人が利用。「ドリーム号」には女性専用車も登場

左 / JRバス関東自慢の「プレミアムドリーム号」(全景)
右 / 1階席のプレミアムシートは航空機のファーストクラスを思わせる

 わが国の高速道路網は約9500kmに及ぶが、「ドリーム号」も東北、北陸、四国方面に足を延ばし、JRバス関東のまとめでは28路線に休日は46往復が運転され、年間49万人の利用があるという。その最長路線は「ドリーム高松・松山号」の904.65kmで東京ディズニーランドと松山を13時間23分で結ぶ。景気の低迷の中で、「ドリーム号」の人気が再燃している昨今、関係者は多様化する需要に応えるため、女性専用車やプレミアム車などを投入している。

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