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達人の鉄道利用術
第1回 「座席確保」をマスターする
座席確保の可能性、高めるための大前提

 駅弁を買い、意気揚々と列車に乗り込んだら空席なし。冷たいドリンクは温まっていき、気持ちは冷めていく……。鉄道旅行を楽しんでいれば少なからず、そんな経験があるものだ。すべての列車に、指定席があるわけでもなし。


 ただ、それで鉄道で旅することへの情熱自体が冷めてしまうのはもったいない。いったいどうしたら、指定席以外でより確実に座席を確保できるのか。絶対的な方法はもちろんないが、可能性を高めるテクニックなら「ある」といえるだろう。


 その大前提として挙げられるのは、「余裕を持った行動」だ。なるべく早くホームに並べば、それだけ着席の可能性が高まるのはいうまでもない。列車本数の多い区間ではあえて一本見送るぐらいの余裕のある計画にするのもよいだろう。


予約いらずで手軽だが、着席できる保証はない自由席

博多駅ホームのラーメン店。ホームには豚骨のにおいが漂う

 「列車の接続時間はなるべく短いほうがよい」と思うかもしれないが、そうでもない。売店や飲食店の雰囲気やメニューなど、乗り換えの合間に感じられるその土地の空気感も、旅を豊かにしてくれる。博多駅のホームには豚骨ラーメンの立ち食い店が存在し、長野県内の立ち食いそば店には通常の冷凍麺のほかに生そばを使う店もあるなど、その土地らしさが駅にも漂う。

ホームで並ぶ瞬間から始まっている座席の確保

  自由席で座席確保の可能性を高めるテクニックだが、それはホームで並ぶ瞬間から始まっている。まずは「階段や出口が近い乗車位置に並ばない」ことだ。列車が駅に到着したとき、乗客は階段や出口が近いドアから降りることが多い。たとえば一両の片側にドアが2カ所ある車両の場合、階段や出口に近いドアからはゾロゾロと乗客が降りてくるのに、遠いドアでは早々に降車終了。そちらで並んでいた人が先に車内へ入り、席を確保する、ということがよくある。


階段や出口に近い場所ほど、乗る人も多ければ降りる人も多い

 また「ホームで前に並んでいる人をチェックする」のも重要だ。列の最前なら問題ないが、最後に加わる場合はなるべく荷物が少ない人や身軽そうな人、慣れていそうな人が多い列に並ぶとよい。大きなスーツケースを持っている人と手ぶらに近い人、どちらがよりスムーズに車内へ入れるかは明らかだろう。早く乗車できれば、それだけ座席も確保しやすい。


 列車内ではやはり、ホームの階段や出口から遠いほど空いていることが多い。一両の長さは在来線が約20メートル、新幹線が約25メートル。おっくうがらずに少し歩けば座席確保の可能性は高まるし、乗車後もほかの車両に比べて人口密度が低いため、より快適だ。

乗車位置がホームに表示されていない場合、どうする? 上級者向けテクニック

 しかし場合によって、そうしたテクニックを発揮しようがないこともある。ひとつが、ホームに乗車位置が明示されていないとき。それでも達人の鉄道利用術は存在する。「停止位置目標」を確認するのだ。


 ホームに列車が停まる位置は、基本的に編成両数によって決まっている。停止位置目標は、編成両数ごとの列車停車位置を示す運転士向けの目印。ホーム上や線路脇などに設置されており、編成両数と停止位置目標から、列車がどこを先頭にして停車するかを知ることができる。


 先頭の停車位置がわかれば、あとは列車の編成や車両のドア位置、前に記した「一両の長さは在来線が約20メートル」から計算し、並ぶべき乗車位置の割り出しが可能だ。


「4」と書かれているのが「停止位置目標」。4両編成の列車はそこを先頭に停車

「停止位置目標」は特定の列車、車両ごとに決まっていることもある

 最後に、どの場合にも通じる大原則なのだが、より確実に座席を確保するテクニックとして「周囲をよく見て焦らない」というのも重要だ。乗客同士のトラブルが起きにくくなるうえ、先述したホームの立ち食い店をのぞいてみるなど、行動に余裕があると旅もより彩りを増すだろう。

プロフィール 文・写真:恵 知仁●Megumi Tomohito
1975年東京都生まれ。鉄道ライター、イラストレーター、WEBメディア「乗りものニュース」編集長。
小学生の頃から鉄道旅行記を読みあさり、カメラを持って子どもだけでブルートレインの旅へ出かけていた「旅鉄」兼「撮り鉄」。
日本国内の鉄道はJR・私鉄の全線に乗車済みで、完乗駅はJRが稚内駅、私鉄がわたらせ渓谷鐵道の間藤(まとう)駅。
※掲載されているデータは平成28年5月現在のものです。

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