愛知県の豊橋駅と長野県の辰野駅を結ぶ、JR東海の飯田線。秘境駅が多いことで知られる路線だが、私は「飯田線の夏」が好きだ。
まずおすすめが「鳳来(ほうらい)峡」である。湯谷(ゆや)温泉駅(愛知県新城市)付近で、辰野方面に向かい進行方向右側に展開する宇連(うれ)川の渓谷だ。板を敷いたような川底から「板敷川」とも呼ばれており、車窓からもその「板敷」のような様子を楽しめる。底が浅く、水が澄んでいるのだ。
想像してほしい。車窓に広がる、両岸を木々に挟まれた渓谷。夏の木漏れ日を受けてきらめく、澄んだ川の水。そして、板張りを想わせる川底。見ているだけで涼やかで、水遊びをしたくなる。