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達人の鉄道利用術

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6「鉄道の日」をマスターする

10月は、日本の鉄道にとって特別な月です。
10月14日は「鉄道の日」であり、それにともなうおトクなきっぷの発売、
鉄道関連のイベント開催などがあるからです。
この秋、鉄道をより楽しむなら、特別な10月をいかに過ごすかがポイントになるでしょう。

10月14日が「鉄道の日」である理由

 日本の鉄道ファンにとって、まもなく迎える「10月」は特別だ。新橋駅~横浜駅間で、明治5年(1872)9月12日に開通した日本の鉄道。それに由来して10月14日は「鉄道の日」とされ、さまざまな動きがある。ちなみに、9月開業にもかかわらず、記念日が10月なのは、明治5年の日本では「旧暦」が使われており、9月12日を現在の「新暦」に直すと10月14日にあたるためである。

 10月の動きでまず注目したいのは、「乗り鉄」に便利なきっぷの発売だ。JRグループでは例年、「鉄道の日」を記念した「秋の乗り放題パス」を期間限定で発売する。乗車開始日から連続する3日間、全国のJR線の普通・快速列車の普通車自由席、BRT(バス高速輸送システム)、JR西日本宮島フェリーに乗車できるフリーきっぷで、いわば「青春18きっぷ」の秋バージョンだ。「青春18きっぷ」と同様に、青い森鉄道線、あいの風とやま鉄道線、IRいしかわ鉄道線の一部区間もJR線へ通過利用する場合に限り、乗車できる。さらに「秋の乗り放題パス北海道新幹線オプション券」を購入すれば、北海道新幹線奥津軽いまべつ駅~木古内(きこない)駅間の普通車の空いている席、および道南いさりび鉄道線木古内駅~五稜郭駅間の普通列車を、「オプション券」1枚につき片道1回利用できる(ただし北海道新幹線と道南いさりび鉄道線の連続利用が条件)。

 今年、平成28年の発売期間は9月17日(土)から10月21日(金)までで、利用期間は10月8日(土)から10月23日(日)までのうち連続する3日間。価格は大人7710円、子ども3850円だ。ただし、「青春18きっぷ」とはいくつか違いがあるので注意したい。

  • 根室本線を走る普通列車の車窓から。秋の気候は過ごしやすく、鉄道旅行にもおすすめの季節だ。

    平成28年8月に発生した台風の影響により、根室本線の一部区間は不通となっており、代行バスが運行されています(平成28年9月12日現在)。

  • 鉄道が開通した明治5年の新橋駅と現在の駅とは位置が異なる。開通時の場所には「旧新橋停車場 鉄道歴史展示室」がある。

うまく使いこなしたい「秋の乗り放題パス」

 10月の鉄道記念月間を機に発売される「秋の乗り放題パス」。過ごしやすいこの季節、乗り放題きっぷを利用していざ鉄道の旅に出かけよう。そこで、いくつかの注意点を確認したい。まず、「1枚を1人で、連続する3日間で利用する」ことが条件だ。「青春18きっぷ」のように、乗車日を飛び石で、また複数人で使うことはできない。平成28年の「秋の乗り放題パス」利用期間のうち、土・日曜・祝日が連続するのは10月8日(土)から10日(月・祝)までのみである。

 そのため「3日間連続利用が条件となると、休みがとれないから使い勝手が……」と思われるかもしれないが、それもまたよく検討してみよう。


 たとえば東京駅から長野県の松本駅まで、中央本線・篠ノ井線を普通列車で途中下車せずに往復すると、乗車券は8000円(大人1名)。また、東京駅から長野県の辰野(たつの)駅まで中央本線で向かい、そこから飯田線を南下。豊橋駅から東海道本線で東京駅まで戻る普通列車の1泊2日の旅を楽しむと、普通乗車券は1万480円(大人1名、東京駅~辰野駅・豊橋駅経由~東京駅)。無理に3日間使わなくとも、乗車券の料金の元は取れるのだ。途中下車して寄り道すればその分、さらにおトク度は増す(ただし東京駅~松本駅間を往復する場合、中央本線・篠ノ井線経由のきっぷは大都市近郊区間内のみの利用になるため、途中下車できない)。

 また、乗車可能な区間と発売場所がJR西日本エリア限定の「鉄道の日記念 JR西日本一日乗り放題きっぷ」も登場する。利用期間などの基本的なルールは「秋の乗り放題パス」と同じだが、1日間有効で、利用期間最終日の10月23日(日)まで発売しているのが大きな特徴だ。そのため日帰り旅行でも利用しやすい。料金は大人3000円、子ども1500円。西日本エリアを利用するならおトクなきっぷだ。金沢~糸魚川間の第三セクター鉄道にも乗車できる。

 これらのきっぷは、「青春18きっぷ」にはない子ども料金が設定されているのも特徴だ。子どもを連れての鉄道旅行では、「青春18きっぷ」よりおトクになる場合もあるだろう。夕日にきらめく線路沿いのススキなど、家族で利用して、秋にしか味わえない車窓風景を楽しみたい。

  • 中央本線の上諏訪駅から、6時間以上かけて飯田線を普通列車で全線走破する旅もおもしろい。

  • 普通列車のグリーン車自由席は、別途グリーン券を購入すれば「秋の乗り放題パス」でも利用できる。

鉄道イベントが多い10月。新幹線車両基地公開も!

 そして、もうひとつ挙げられる10月の大きな話題が「イベント」だ。とくに有名なのは、日比谷公園(東京都千代田区)で行なわれる「鉄道フェスティバル」。JRをはじめとする全国の鉄道会社がブースを出展する「鉄道祭」で、オリジナルグッズの販売、各種ステージイベントなどが催される。平成28年は10月8日(土)・9日(日)の2日間、10~17時の開催予定だ。

 ほかにも、「鉄道の日」に関連したイベントとして「鉄道フェスティバル in 東北」(10月4日)や「YOKOHAMAトレインフェスティバル」(10月1・2日)などが行なわれる。車両基地系では、10月16日にはJR西日本の博多総合車両所(福岡県那珂川町)、10月22日にはJR東日本の新幹線総合車両センター(宮城県利府町<りふちょう>)で基地を一般公開する。おトクに乗って、見学して、イベントに参加して……と、鉄道を思う存分楽しめる季節、それが10月なのだ。ぜひ楽しみたい。


 新暦で表すと明治5年(1872)の10月14日に新橋駅~横浜駅間で開業した日本の鉄道。実はそれ以前の6月12日(新暦)、品川駅~横浜駅間で“仮開業”しており、日本初の鉄道開業駅は品川駅と横浜駅である。なお、開業時の横浜駅は現在の根岸線桜木町駅にあたる。この10月に開業区間へ乗車して、往時の車窓風景に思いを馳せるのも、乙な楽しみ方のひとつかもしれない。

  • 平成27年に日比谷公園で行なわれた「鉄道フェスティバル」の様子。多くの老若男女が訪れた。

  • 博多総合車両所の一般公開。連結器カバー取り外しなどが実演されることも。

次回は“「新幹線」をマスターする”です!

恵 知仁

文・写真 / 恵 知仁 ● Megumi Tomohito

1975年東京都生まれ。鉄道ライター、イラストレーター、WEBメディア「乗りものニュース」編集長。
小学生の頃から鉄道旅行記を読みあさり、カメラを持って子どもだけでブルートレインの旅へ出かけていた「旅鉄」兼「撮り鉄」。
日本国内の鉄道はJR・私鉄の全線に乗車済みで、完乗駅はJRが稚内駅、私鉄がわたらせ渓谷鐵道の間藤(まとう)駅。

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