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久住 昌之 Kusumi Masayuki (文・写真・画)

東京都出身。昭和56年、泉晴紀とのコンビ「泉昌之」で書いた短編漫画『夜行』でデビュー。実弟・久住卓也とのユニットQ.B.B作の『中学生日記』(青林工藝舎)、ドラマ化され放映中の谷口ジローとの共著『孤独のグルメ』(扶桑社)、水沢悦子との共著『花のズボラ飯』(秋田書店)ほか、漫画、エッセイ、音楽など多方面で創作活動を展開。

八高線 はちこうせん

八王子駅(東京都八王子市)から倉賀野駅(群馬県高崎市)までの全23駅。92.0km。関東平野の西部を走る。今回歩いたのは埼玉県入間市、東京都瑞穂町、昭島市、八王子市あたり。

 まずは、東京から始めようと、路線図を睨む。そして目を付けたのが八高線だ。これは今までに数回しか乗ったことがない。八高線で埼玉に越境しよう。おそらく、多摩川も渡っている。よし、電車に乗り降りして、多摩川越えと県境越えをしよう。たしか八高線は単線だ。本数も少なく、地方感もある。ちょっとワクワクしてきた。

 ところが歩こうと決めた当日は、朝から小雨。雨の散歩は傘がいるので、今ひとつ開放感がない。いつも片手を傘に取られている。


道路の水たまりに電柱。きれいなので撮った

 八王子から13時38分発川越行きに乗る。4両編成。本当は午前中に乗りたかったが、仕事が終わらずこの時間に。車体がステンレスの今風ので、緑とオレンジのシールのラインが入ってるのが、ちょっと味気ない。ボクは全然、鉄チャンではないが、ちゃんとペンキ? で塗られた車両がやっぱり好きだ。でもドアはボタンを押して自分で開け閉めする方式。

 乗客にはどう見ても観光客ではない外国人も多かった。乗った時、端の座席に若い女子高生が眠っていて、起こしてあげようかと思ったらその子とボクの間に人が何人か座ってしまったので、なんとなく起こしにくくなってしまった。そしたら運よく何かの拍子に目を覚まし、大慌てで降りていった。

 逆の例を思い出した。知人が女子高生の時、終点で眠っているおじさんがいたんだそうだ。それで起こしてあげないとかわいそうかと思って、腕組みして眠っている男の前に歩み寄り、勇気を振り絞って「あの、終点ですよ」と声をかけた。そしたら男は目を閉じたまま「知ってるよ」と憮然とした声で答えたそうだ。乙女の親切心台無し。

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