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久住 昌之 Kusumi Masayuki (文・写真・画)

東京都出身。ドラマ化もされた『孤独のグルメ』(谷口ジローとの共著・扶桑社)、『花のズボラ飯』(水沢悦子との共著・秋田書店)ほか、漫画、エッセイ、音楽など多方面で創作活動を展開中。平成21年から足掛け2年をかけて東京から大阪までを散歩した近著『野武士、西へ 2年間の散歩』(集英社)が発売中。

土佐くろしお鉄道(ごめん・なはり線)

後免(高知県南国市)から奈半利(奈半利町)まで全20駅。42.7km。ほぼ高架線で土佐湾沿いを走る。 オープンデッキのあるしんたろう号、やたろう号はともに1日1往復。天気のいい日にぜひ乗ってほしい。

 

 高知に行ったのは初めてだ。土佐くろしお鉄道の、「ごめん・なはり線」をつたい歩くのだ。ところがこの日、あいにく台風26号の影響で雨。さいわい、高知の南をすでに通過していたので、風もなく、雨も小雨だったのだが。

 しかしボクはいきなりドジを踏んだ。前夜高知駅前に泊まり、朝、駅からJR土讃線で出発点の後免(ごめん)駅まで行き、そこから歩き始めればよかった。ボクは何を思ったか、駅前から土佐電鉄なる路面電車を乗り継いで、土佐電鉄ごめん線の後免町(ごめんまち)駅に行ってしまったのだ。今駅数えたら、チマチマ停まって35駅! JRだったらたった5駅だ。
でもこれが楽しかった。町中をのろのろゴトゴト走り、ローカル気分満々。車体が造られたのが昭和33年とある。ボクと同い年。オレはもうこんなに古いのか。全鋼製二軸ボギー車というんだそうだ。ふーん。2回乗り換え約1時間もかかって、後免町駅に到着。のんびり路面電車さんぽだった。今思えば間違えてよかった。

 少し歩いたところに、ごめん・なはり線の後免町駅があった。「ごめんまちこさん」というキャラクターがある。この線の全20駅に、それぞれオリジナルキャラが作られていて、描いたのはすべて高知出身のやなせたかしさん。面白い試みだ。
 雨がパラパラ降っているので、コンビニで400円のポンチョ型ビニールコートを買って着る。これはカメラが出しやすくていいのだ。傘をささないでいいので歩くのも楽。


間違えて乗った土佐電鉄。レトロで楽しい。
木の床に味わいがある

後免町駅のオリジナルキャラ。
全然違うキャラが20駅全部にある

雨の中、ごめん・なはり線と並行して歩く。
さいわい小雨で風はない

 ごめん・なはり線はその大部分が高架なので、つたい歩く者にとっては見失いにくく、助かる。市街地を抜けると、田んぼの中に並行した道があり、人も車もほとんど通らないので、雨でも気分がいい。高知はビニールハウスがすごく多い。特定の野菜でなくいろんなものを作っているようだ。

 立田(たてだ)駅からまた市街地を歩く。高知の民家の屋根はまだ圧倒的に瓦葺きが多く、それだけで風情を感じる。立派な建物の壁には、見たことのない小さな瓦の軒みたいなものがついている。これは強風多雨から漆喰壁を守るための「水切り瓦」といって高知独特の建築らしい。遠くへ来た感じがする。

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