『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

久住 昌之 Kusumi Masayuki (文・写真・画)

東京都出身。ドラマ化された『孤独のグルメ』(谷口ジローとの共著・扶桑社)、『花のズボラ飯』(水沢悦子との共著・秋田書店)ほか、漫画、エッセイ、音楽など多方面で創作活動を展開中。旅先ならずともちょっと出かけて朝風呂に入り、ついでに一杯飲んで帰るという新刊、『ふらっと朝湯酒』(カンゼン)発売中。

指宿枕崎線 いぶすきまくらざきせん

九州新幹線の終着駅、鹿児島中央(鹿児島市)から山川(指宿市)を経由し、枕崎(枕崎市)までの36駅。87.8km。鹿児島湾に沿って走る。西大山(指宿市)はJRで最も南にある駅だ。

 

 今月は鹿児島に出かけた。指宿枕崎線(いぶすきまくらざきせん)につたい歩きするためだ。羽田から鹿児島までは飛行機。関東は雪晴れで快晴、しかも窓際の席。関東平野がハイビジョンの如くクリアに見える。窓から目が離せない。で、来るかな来るかな、と思っていたらドカーンと来ました雪をかぶった富士山! 感動しましたね。鉄道と関係ないけど。

 鹿児島までたった2時間弱。その晩は鹿児島市内に泊まり、夜の街に出て「こむらさき」で九州ラーメン。茹でキャベツどっさりでおいしかったぁ。さらに天文館で濃い味の味噌おでんつついて芋焼酎。

 で、翌日さっそく鹿児島中央駅から指宿枕崎線につたって歩き始める。線路は市街地では市電と並ぶようにして走っている。市電はいろんな広告塗装が施されていて面白い。中でも、上下が白黒に塗り分けられ「まるでパトカーみたいだな」と思ったら、本当に鹿児島警察署の「生活安全号」だった。


飛行機から驚くほどくっきりした雪の富士山を見下ろす

パトカーみたいな色だな、と思ったら県警のPR号でした

 鹿児島は知的な感じがする県だ、と2年前に初めて訪れた時思った。街の本屋が大きくて品揃えやレイアウトがよかったり、歩いている人のファッションセンスがよかったり、歩いていても学校がやたら多い。やっぱり薩摩藩の血が脈々と受け継がれているのだなぁ、と感心してしまう。

 ところが1時間ほど歩くうちに、最近買ったウォーキングシューズが左のくるぶしに当たって痛くなってきた。東京で1週間ほど履き慣らしてきたのだが。
 マメでも潰したら嫌だと思い、途中のコンビニで絆創膏を買い、道端で患部に貼った。ところが、まったく効かない。しかたなくもう1枚貼り、それでも痛いのでもう1枚重ねて貼った。ほとんど変わらない。そこで靴下の中にティッシュペーパーを折って詰めた。少し和らぐ。歩き方を注意しながら歩き続けた。

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