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久住 昌之 Kusumi Masayuki (文・写真・画)

東京都出身。ドラマ化された『孤独のグルメ』(谷口ジローとの共著・扶桑社)、『花のズボラ飯』(水沢悦子との共著・秋田書店)ほか、漫画、エッセイ、音楽など多方面で創作活動を展開中。テレビ東京系でドラマ『孤独のグルメ』の第4シーズンが絶賛放映中。

南武線 なんぶせん

川崎から立川までに、浜川崎支線と呼ばれる浜川崎から尻手(しって)を加えた39.6km30駅。京王、小田急、東急と、多くの線と交差する路線。今回は川崎市の登戸から平間までを歩いた。

 

 武蔵小杉の新しい高層マンションや新しい工場やビルが林立しているのを横目に、大きく折れ曲がって行く南武線を追いかける。少し離れると庶民的な古い住宅地だ。巨大マンション群との見た目の落差が激しい。向河原(むかいがわら)の小さな駅が現れる。駅舎に細いステンドグラスが入っていて、嬉しくなる。


向河原駅のステンドグラス。見逃したくない

 そして、その嬉しくなった気持ちが、そこからどんどん広がった。向河原商栄会の商店街が南武線に沿って続いているのだ。トンカツ屋、居酒屋、衣料品店。学校帰りの中学生やおじちゃんおばちゃんが歩いている。

 そこを越えてまた南武線と歩いて行くと、平間駅まで続く商店街。ここがまた庶民的で賑やかですごくいい。個人商店に元気があり、店先に並んだお総菜に心和む。こんな場所にこんな町が。そして駅に到着。平間温泉はすぐ見つかった。


生活と線路が交わるところ。平間駅のそば。
焼き鳥買って行こうか

お総菜の台。こういう商店街が好きなんです

 4時15分。入って裸になって頭からつま先まで石けんでよく洗う。汗と日焼け止めをきれいに流す。そして湯に浸かる。最高! 流行の炭酸風呂。さらに露天風呂もある。疲れが湯に溶け出て行くようだ。

 ゆっくり入り、出て下着から靴下まで全部着替えて、サッパリした状態で近所の居酒屋「はっちゃん」へ。銭湯に向かう道で目を付けていたのだ。やっぱりいい店。常連が和んでる。店主の感じがいい。カツオ刺しで生ビール。いやもう、このウマさと来たら、連載最高かも。流した汗と疲れた足、最初の失敗から、いい町に辿り着けた自分に乾杯だ!

※「旅の手帖」2014年9月号より掲載しました。

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