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久住 昌之 Kusumi Masayuki (文・写真・画)

東京都出身。ドラマ化された『孤独のグルメ』(谷口ジローとの共著・扶桑社)、『花のズボラ飯』(水沢悦子との共著・秋田書店)ほか、漫画、エッセイ、音楽など多方面で創作活動を展開中。

弥彦線 やひこせん

東三条(三条市)から弥彦(弥彦村)までの17.4km、8駅。
今回は上越新幹線が停車する燕三条から新潟平野の水田地帯を抜け、越後一ノ宮・彌彦神社の境内にある弥彦までを歩いた。

 

 今、調べたら、元々「彌彦神社」で「いやひこじんじゃ」と読んだらしい。が、今は「やひこ」に読み方を統一しているようだ。鳥居は高さ30.16mで、建立当時は日本一だったが、今は熊野本宮大社の33.9mに次ぐようだ。当然ながらいずれも鉄筋コンクリート造り。勉強になった。それにしてもデカイわけだ。10階建てビルに相当するのだから。

 鳥居をくぐり、神社に到着か? と思ったが、道はそのまま、また刈り取られた稲田の中に。しかし、山は目の前にぐっと近づいてきた。そして弥彦線矢作(やはぎ)駅。無人駅だが、柱が朱色。確かに神社の息がかかっている。越えて線路沿い弥彦小学校。イチョウ並木がきれい。

 線路に沿った道が少し上り坂に。「ようこそ弥彦温泉郷」の立て看板。郷、というほど温泉があるのか。入るしかないかな。いよいよ弥彦山の山肌がくっきり見えてきた。紅葉した山に向かって線路がゆっくりカーブしている。ああ、ここも列車が来たら、最高の弥彦カットが撮れるのに!


即身仏の看板。顔が剥がれかかっているのを直して!

 少し行くと田んぼの中に大きなお坊さんの立て看板。よく見ると「即身仏 弘智法印霊場 西生寺」とある。即身仏! 写真では何度も見た。こんなところにあったのか。遠いからはっきり見えないが、顔の部分の板(ブリキ?)が剥がれかかっていて、コワイ。ボクが言うのもなんだが、早く直してほしい。

 着いた、と思ってしまったら、そこからが結構遠かった。道脇に花が植えられており「おやひこ街道」と石に書いてあるのだが、歩けど歩けど神社は現れず、神社のような駅舎の弥彦駅に着いたのは1時45分だった。急に観光客がたくさんいる。年齢層は高めだが、若いカップルや家族も少なくない。人気観光地じゃないか。今までの道のりにほとんどひと気がなかったのが嘘のよう。


名もない大イチョウ。青空に輝いていた。感動した
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