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久住 昌之 Kusumi Masayuki(文・写真・画)

東京都出身。ドラマ化された『孤独のグルメ』(谷口ジローとの共著・扶桑社)、『花のズボラ飯』(水沢悦子との共著・秋田書店)ほか、漫画、エッセイ、音楽など多方面で創作活動を展開中。

流鉄流山線 りゅうてつながれやません

馬橋(松戸市)から流山(流山市)までの5.7㎞、6駅。
平成20年までは総武流山線と呼ばれていた。
かつて西武鉄道で使われていた車両が2両編成でいくつも走っている。

 


住宅の間を走り抜ける流鉄。かなり距離が近い

 千葉県流山市の流鉄(りゅうてつ)流山線につたい歩きに行った。下りの始発・馬橋(まばし)から、終点の流山まで全部歩くことにした。短いのだ。全長5・7㎞。ボクにとったら楽勝の距離。

 しかし午前中、西武池袋線の清瀬で別の仕事があり、終わって食事してから、バスや電車を乗り継いで、常磐線の馬橋に着いたのは、もう午後2時半だった。冬の早い日の入りを考えると、だらだら歩いていたら最後は写真も撮れなくなる。それまでに果たしてなにか面白いことはあるのだろうか。いい景色はあるだろうか。調べないで、線路だけを頼りにして、道を間違えて迷わないか。実は毎回不安である。だけどその不安こそ、長い散歩の楽しみだ。だって必ず思わぬことに遭遇するからだ。

 常磐線馬橋駅の跨(こ)線橋から流鉄のホームが見えた。階段を下りると、線路の進む方向にまっすぐ続く川沿いの道があった。少し歩いて、その川が新坂川という川であることがわかった。川はどっちに流れているかわからないくらい静かな水面をしていた。大きなカモが数匹泳いでいたが、別に風情がある川でもない。「新」と付くぐらいだから、人工的に造られた用水路かもしれない。

 流鉄の小さな踏切を渡ってみた。単線の線路の脇すぐのところまで民家が迫っている。その接近具合は、鎌倉の江ノ電を思い出させた。でも流鉄車両の方がずっと大きいはず。と、思っていたら踏切の音がしたので待っていると、薄い黄緑色の2両編成の電車が現れた。フロントガラスが大きな目のように2つに分かれている。これは見たことがある。西武新宿線だ。その車両のお古を塗り替えたものであろう。西武線のときの通勤実用電車っぽさが薄れ、なかなかチャーミングな車両に見えた。

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