『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
奇稲田姫(くしなだひめ)駅の愛称をもつ神話の里の駅。奇稲田姫誕生の地は奥出雲町(旧横田町)とされ、姫を祀る稲田神社が駅から徒歩30分ほどのところにあります。奇稲田姫は八岐大蛇(やまたのおろち)の退治に登場する素戔嗚尊(すさのおのみこと)の妻であり、奥出雲町はまさしく八岐大蛇伝説ゆかりの神話の里なのです。
昭和9年(1934)に竣工の駅舎は茅葺き入母屋造りの稲田神社を模しています。駅前には広場が整備されていて、駅舎の横に保存されている木次(きすき)線で使用されていた「腕木式信号機」も一見の価値があります。「たたら製鉄」の歴史や伝統的な技術などを見学することができる「奥出雲たたらと刀剣館」も駅から徒歩約10分で行くことができます。
建物のみならず注連縄(しめなわ)も立派な神社風の駅
トロッコ列車「奥出雲おろち号」も停車する(季節運行)
毎年8月4・5日に開催される津嶋神社(津島ノ宮)の夏季大祭の日のみ営業される日本一営業日数の少ない臨時駅です。2日間のみ営業する駅ですが、木造平屋建ての小さな駅舎が建っています。
津嶋神社は子供の守り神として知られ、夏季大祭も子供の健やかな成長を祈願するものです。営業日には大勢の親子連れも訪れるので、ホーム上の安全確保のために要員が詰めています。ホームはカーブの途中に位置し、乗降口とホームの間に大きな隙間ができるので、安全に配慮したものです。
瀬戸内海の沖合約250mにある神社へ渡る津島橋の板も普段は外され通行禁止になっていますが、夏季大祭中のみ敷き詰められ、島へと渡ることができます。年に2日のみ営業される駅に降り立ち、2日のみ架かる橋を渡って、子供の成長を祈りたいものです。
年に2日のみとはいえ、「津島ノ宮駅」という改札スタンプも押してもらえる
津嶋神社の大祭の日のみ通行できる橋を渡って神社へと向かう
河童が頬杖をついた形がユーモラスな久大本線の駅。平成4年、駅から歩いて10分ほどのところにある福岡県立浮羽工業高校の生徒達によりデザインされ、改築されました。
暴れ川であった筑後川が流れる田主丸町では、度々大洪水に苦しめられたことから、水神信仰が生じ、そこから河童への信仰も生まれ育ったそうです。駅のホームに河童の像があるほか、特産の柿やブドウを持つ「楽太郎河童」や、昭和28年の大水害後に作られてから大きな水害が起こっていないという「28水河童」など、町の至るところに河童の像や絵が設えられています。
駅の2階は「河童資料館」になっていて、河童の写真や資料が展示されています。
筑後川に棲むという河童の顔の形をしたユニーク駅
駅周辺には河童のオブジェがいっぱい。写真は駅前の「楽太郎河童」
写真協力:佐藤正樹(小幌駅)/斉木実(土合駅)/奥出雲町(出雲横田駅)/三豊市(津島ノ宮駅)/久留米市、田主丸観光協会(田主丸駅)
※掲載されているデータは平成21年2月現在のものです。