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『夢見る木造駅舎』なんてことないニッポンの駅。全国には9000を超える駅がある。なかでも明治、大正、昭和、そして平成と生き抜いた木造駅舎は、都会への旅立ちを見送り、帰郷を温かく迎え入れてくれた、ぬくもりの駅。そんな駅舎が消えてしまう前に……。(構成=ボス 文=萩原義弘)

第2回 坪尻駅・美作滝尾駅・若桜駅(JR土讃線・因美線・若桜鉄道)

JR土讃線 坪尻駅

信号所として昭和4年に設置され、25年に開業。徳島と香川の県境近く、四国山地を流れる川の流路を変え、川底に建設された坪尻駅は、深い谷底にあり秘境駅としても人気。また、四国に2つ残るスイッチバック駅の1つとしても知られ、ベンチだけの待合室がある駅舎は、列車停車中に鉄道ファンで束の間賑わう。住所●徳島県三好市池田町西山立谷2486-3

待合室には記念スタンプやノートが置かれている
初めて坪尻駅に停車した「アンパンマントロッコ列車」

JR因美線 美作滝尾駅

津山市から中国山地を貫き、鳥取市まで続く因美線の駅。昭和3年の開業時に建てられた。日本の良き風景と調和した美しい佇まいの駅舎は、映画『男はつらいよ』シリーズの最終作にも登場し、昨年、登録有形文化財として登録された。昭和45年に無人駅となったが、駅事務室と備品が当時のまま残される。
住所●岡山県津山市堀坂

登録有形文化財に登録された駅舎
1日の乗降客は平均50人ほどで、朝夕は学生が多い
駅の事務室は当時のままで保存されている

若桜鉄道 若桜駅

昭和5年に開業。JR因美線の郡家(こおげ)駅から若桜駅までを結ぶ若桜線の終着駅。木の風合いが当時の雰囲気を今に伝える。機関車が方向転換するための転車台や、水を補給する給水塔などを修復、現代に蘇らせたことで一躍有名に。構内には、若桜線を走っていた蒸気機関車もあり、SL時代を思い起こさせる。
住所●鳥取県八頭郡若桜町若桜345-2

駅舎は昭和5年、旧国鉄若桜線開業当時のもの
待合室には腕木式信号機やタブレットなどが展示してある
兵庫県に展示されていたSLを譲り受け復活

夢見る木造駅舎まっぷ

 JR土讃(どさん)線の坪尻駅は香川県と徳島県の山深い県境近くにあります。駅のある場所は谷底で、かつては川が流れていました。険しい四国山地に鉄道を通すためにトンネルを掘って川を迂回させ、そこに線路を敷いたのです。開通した当時は信号所でしたが、昭和25年に駅になり、平成22年に60年を迎えました。駅の目前には自然林が広がり、鳥のさえずりや川のせせらぎが聞こえてきます。

 人が暮らす西山地区に行くには駅から山道を20分くらい登らなければなりません。同地区に住む開清(ひらききよし)さんは長年この駅を利用してきました。「昔は天秤棒で野菜を担ぎ、池田方面に行商に行く人が20人もいた」と賑やかだった頃のことを話してくれました。しかし年々地元の利用者は減り続け、今や利用者は開さん1人となってしまいました。近年、人里離れた秘境駅が人気を呼び、この坪尻駅も谷底の駅として全国に知られるように。地元の利用者に代わって、今は秘境駅ファンが訪れる駅となっています。

 山陰の鳥取市と岡山県の津山市と結ぶJR因美(いんび)線に美作滝尾(みまさかたきお)駅があります。人気映画『男はつらいよ』の最終作に登場する駅としても知られています。古い木造駅舎は昭和3年に建てられたもので、まるで昭和初期にタイムスリップしたような雰囲気が味わえます。座布団の敷いてある木の椅子に座り、しばし列車を待っていると、ついうとうとしてしまいました。そんな居心地のよい駅でもあります。

 若桜(わかさ)鉄道は鳥取県の東部を走っています。旧国鉄時代の昭和56年に廃止の危機がありましたが、地元の人たちの強い要望で存続することになり、第三セクターとして運営されています。同鉄道は、終点の若桜駅を含め、多くの駅で今も木造駅舎が使われています。若桜駅の構内にはSLの給水塔や転車台もあり、平成21年からSLの運行を始め、人気を呼んでいます。

 平成20年、木造駅舎などの古い施設が一括して国の登録有形文化財に登録されました。貴重な文化財が旅人を迎えてくれる駅です。

インフォメーション

BS1・NHKワンセグ2「にっぽん木造駅舎の旅」

・BS1…
金曜15:20〜15:25
土曜21:45〜21:50(再放送)
日曜23:30〜23:45(ダイジェスト版を再放送)
・ワンセグ2…
月〜金曜12:55〜13:00
土曜…0:10〜0:35(5本分まとめて放送、随時)
●DVD『中部・関東・甲信越』編、『東北・北海道』編
番組テーマ音楽「待合室」など特典CD付き
●『にっぽん木造駅舎の旅 100選』
平凡社より好評発売中

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