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『夢見る木造駅舎』なんてことないニッポンの駅。全国には9000を超える駅がある。なかでも明治、大正、昭和、そして平成と生き抜いた木造駅舎は、都会への旅立ちを見送り、帰郷を温かく迎え入れてくれた、ぬくもりの駅。そんな駅舎が消えてしまう前に……。(構成=ボス 文=萩原義弘)

第9回 大隅横川駅・真幸駅(JR肥薩線)

JR肥薩線 大隅横川駅

明治36年(1903)開業
鹿児島県霧島市
登録有形文化財

明治の雰囲気が漂う駅舎に満開の梅が彩りをそえる
築100年を超える駅舎に朝日が当たる
ホームの柱には機銃掃射の跡が残る

JR肥薩線 真幸駅

明治44年(1911)開業
宮崎県えびの市

静まり返った夜の真幸駅。列車はスイッチバックして急勾配を登っていく
山間に今日も響き渡る幸福の鐘
列車を見送る真幸駅友の会の人たち

夢見る木造駅舎まっぷ

 熊本県の八代駅と鹿児島県の隼人駅を結ぶJR肥薩(ひさつ)線。ここには築100年を超える木造駅舎が今でも現役で使われています。

 鹿児島県霧島市の大隈横川駅は、嘉例川(かれいがわ)駅と同じ明治36年(1903)に開業した同線で最も古い木造駅舎です。大正時代に室内を模様替えし、駅舎には電灯がつきました。現在は無人駅となっていて、私が訪れた時には駅の事務室に石の雛人形が展示されていました。ホームの柱の一部には穴があいています。終戦間際の昭和20年7月30日、駅に止まっていた貨車に米軍機が機銃掃射した痕跡です。この時、駅近くの家屋に焼夷弾が落とされるなどし、死傷者が出ました。明治から使われてきた駅舎は、戦争の悲惨さを伝える貴重な木造駅舎でもあります。

 JR肥薩線で唯一宮崎県にあるのが真幸駅です。明治から戦前にかけて駅のある真幸地区は鉱山や林業などで賑わいました。昭和47年7月6日、大規模な土石流が発生。駅舎は奇跡的に残ったものの、多くの家屋が被害を受けました。ホームには流れてきた巨大な岩が残っています。現在は真の幸せの駅として、全国から多くの人が訪れます。東京から家族で訪れていた吉竹真幸さんは、この線を利用していた亡き祖父に名前をつけてもらいました。「来ることができ、やっと念願が叶いました」と笑顔を残し列車に乗り込みました。人々に愛され続ける木造駅舎は今年100周年を迎えます。

インフォメーション

BS1・NHKワンセグ2「にっぽん木造駅舎の旅」

放送は終了いたしました。
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