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まだまだ知られざるご当地の味 行って食べたい!ニッポンA級発掘グルメ

vol.16 志摩のあのりふぐ [三重県志摩市]


操業期間は10月~2月。マグロ漁にも用いる延縄(はえなわ)漁で行われる。延縄の長さは、長いもので数kmにも及び、ロープの先に、アジやイワシなどのエサを付けた釣り針が一定間隔で付く。

安乗岬周辺は、日本有数のトラフグの産卵場所。稚魚の放流も昭和61年より、安乗漁師たちの手で始められている。

入札は船上で一隻ずつ行われ、仲買人は船を移動しながら品質を素早くチェックしていく。入札後は船内イケスから厨房へと直送される。最盛期、漁港に居並ぶ様は壮観だ。

「安乗宿屋の六人衆」。飲み会をきっかけに集い、地元小学校でふぐ調理実習なども行う。ふぐ勉強会で編み出された新たなふぐ料理は、六人衆の各宿で味わうことができる。

志摩の海と漁師たちが育んだ天然トラフグ

 志摩は古くから伊勢神宮や朝廷に海の幸を献上してきた「御食国(みけつくに)」。木曽川、長良川などの河川を通じて山から流れ出た豊富な栄養分が、伊勢湾、そして太平洋へと注ぎこみ、黒潮とぶつかることで、四季を通じて豊かな漁場となる。
 海底が砂地の海は、潮の流れが早く泥がたまらない。それゆえ、トラフグをはじめ、伊勢エビ、アワビなどの魚介は、臭みのない上質な身に育つのだ。

 「あのりふぐ」とは、遠州灘から熊野灘にかけての海域で獲れた体重700g以上の天然トラフグのこと。安乗(あのり)漁港を中心に水揚げされ、志摩市内限定で取り扱われているブランド食材だ。
 もともと志摩市の安乗地区周辺では、トラフグのメッカ・下関への出荷が主だった。しかし、「安乗のふぐ」としても売れるのではないか、と漁師たちが考えたことを機に、1999(平成11)年、まずは地元の伊勢神宮に「あのりふぐ」の名前で奉納。
 その後、地域の旅館が「あのりふぐグルメプラン」を設定すると、徐々に知られるように。漁師、旅館、料理店、観光協会が協力し合って、作り手みんなの顔が見える地域ブランドへと築き上げてきた。

 とはいえ、もともとフグが多く獲れた海域ではなかったという。
 天然のトラフグ自体は、昭和初期、すでに他の魚とともに混獲されていたが、戦後は、千葉から和歌山にかけた海域にまでフグ漁に出かけていたそう。しかし、1984(昭和59)年頃、乱獲によりトラフグが西日本で激減したことを知ると、安乗漁師たちは愛知、静岡の漁業者にも呼び掛け、いち早く操業協定を締結。トラフグの資源管理や稚魚放流をすることで、漁獲高を増やしていったという。

旨味を守る漁師の知恵と皮まで使いきる料理人

 安乗地区の「ふぐ延縄(はえなわ)協議会」に登録するのは現在37隻。夜明けから行う延縄漁で釣り上げられたフグは、お互いを傷つけあわないよう、するどい歯を切ってから船内のイケスへ放り込まれる。そして夕刻、漁を終えた漁船は、帰港した順番に漁港に整列。すると、それを待ちうけていたように、仲買人が次々と漁船に乗り込んでいく。
 安乗では、船上で一隻ずつ、順番に入札を行っていく独特の方法がとられている。それは、魚に触れる機会を極力なくし、魚体を傷つけずに品質を守るために編み出した、安乗漁師の知恵。ふぐのストレスが少ないため、旨味も逃げにくく、弾力ある身を食せば、噛むほどに旨味がぐんぐん増していくのだ。

 ふぐ料理は、刺し身、鍋が基本だが、実は新たなる料理の開発も行われている。
 あのりふぐのブランド化と同時に、宿屋の主たちで結成されたのが「安乗宿屋の六人衆」。その一人、『丸寅』の三代目、迫間勝利さんは「フグはどんな食材と合わせても旨いんです」と、洋食風、中華風などにも果敢にチャレンジしている。失敗作も多いと笑うが、ひれスープ、トゲ皮煎餅など、表層のトゲ皮から身皮まで3種ある全ての皮を使った料理も編み出している。そんなフグの旨味を、丸ごと味わうのも一興だ。

SPOT いざ、あのりふぐを食べよう!

てっさ(フグ刺し)に始まり、てっちり(フグ鍋)、そして締めの雑炊まで、コースでまるっと味わうことこそ、フグの醍醐味だ。
志摩市内には、あのりふぐを冬の看板に据えた料理店や宿泊施設が充実。なかでも、料理自慢の宿ならば、ひれ酒をすすりながら、のんびり心ゆくまで味わう、至福の時間となるだろう。

見極めた上質のフグを多彩な料理で味わい尽くす|料理旅館 丸寅

安乗漁協の入札権をもつ宿で、三代目が安乗漁港で獲れたて魚介をしっかり目利き。風味を生かし、3日かけて身を熟成させたあのりふぐは旨味が格別だ。ぶ厚いフグ刺し、鍋、雑炊に加え、フグ皮の前菜3種盛りや昆布締め、煮こごり、トゲ皮煎餅なども登場。めくるめくフグ三昧に感動する。

あのりふぐ料理:1泊2食付き 18,900円(料理のみ13,650円)、ふぐタタキ風・焼き白子付きプランは1泊2食付き 21,000円(料理のみ15,750円)など
チェックイン:15:00 チェックアウト:10:00
食事のみの利用の場合も要予約
住所:志摩市阿児町安乗1408-1
交通:JR鳥羽駅から車で約50分、もしくは近鉄鳥羽駅へ乗り換え、約32分の鵜方駅下車、送迎あり(要予約)
TEL. 0599-47-3315 ホームページはコチラ

離れ島でゆるりと堪能する温泉とフグの妙味|天然温泉 風待ちの湯 福寿荘

船で渡る渡鹿野(わたかの)島は、江戸期より往来する舟が風待ちで立ち寄った島。木造りの粋な湯殿でナトリウム・カルシウム-塩化物泉に浸かれば身体の芯からほこほこだ。冬の醍醐味は味覚の王様ふぐのフルコース。ひれ酒を飲みながら、刺し身、鍋、唐揚げ、雑炊へと辿りつきたい。

安乗ふぐ会席プラン:1泊2食付き21,800円~(全9品)
チェックイン:15:00 チェックアウト:11:00
住所:志摩市磯部町渡鹿野517
交通:JR鳥羽駅で近鉄鳥羽駅へ乗り換え、約32分の鵜方駅下車、無料送迎バス(要予約)利用
TEL. 0599-57-2910 ホームページはコチラ

的矢湾の優美な景観と味わうコラーゲンたっぷりのふぐ料理|汐岬の湯 サンペルラ志摩

波静かな的矢湾に臨んで建ち、全室オーシャンビュー。さらに、保温・保湿効果が高いトゴール鉱石の準天然温泉と露天ジャグジーも開放感がみなぎる。もうひとつの魅力が、上品な甘みをもつあのりふぐ。もちもちした刺し身、コラーゲンがたっぷり抽出された出汁で食べる鍋に、心とろける。

天然あのりふぐコース: 1泊2食付き(平日2名~)18,500円~
チェックイン:15:00 チェックアウト:10:00
住所:志摩市磯部町的矢314
交通:JR鳥羽駅から車で40分、もしくは近鉄鳥羽駅へ乗り換え約25分の志摩磯部駅下車、無料送迎バス
TEL. 0599-57-2130 ホームページはコチラ

志摩市周辺のあのりふぐを扱う宿・飲食店リストはコチラ

ACCESS いざ、志摩へ行こう!

<東京方面から>

JR東京駅から東海道新幹線「のぞみ」で約1時間40分の名古屋駅下車、JR「快速みえ」に乗り換え、約1時間50分の鳥羽駅下車(所要時間約3時間30分)、近鉄線あるいは車利用

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取材・執筆・構成:佐藤さゆり(teamまめ)
協力:あのりふぐ協議会丸寅福寿荘サンペルラ志摩
※掲載されているデータは2013年11月現在のものです。

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