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まだまだ知られざるご当地の味 行って食べたい!ニッポンA級発掘グルメ

vol.30 宇佐市の安心院(あじむ)すっぽん[大分県]


安心院には古くから山岳仏教の聖域がある。写真の仙の岩には100mもの大絶壁や屏風岩が連なり、頂上から由布岳や鶴見岳も望める。

養殖場「安心院すっぽんセンター」の様子。

約30度の温泉水が満ちた養殖場ゆえ、スッポンは冬眠知らず。孵(ふ)化から1年~1年半かけて、500g~1kgに育てられる。現在、安心院市内には2軒のスッポン養殖場がある。

安心院すっぽん振興会の会長も務める、塚﨑清彦さん。養殖場2代目であり、スッポン料理店「安心院亭」も営む。

すっぽん鍋セット(4~5人前)1万1500円をはじめ、スッポンから抽出したコラーゲン450円~など家庭で味わえる食材も販売。

安心院すっぽん料理統一メニュー2880円は、安心院すっぽんウィーク期間中のみ味わえる。安心院すっぽん振興会加盟店がランチタイムに提供。各店1日10食限定、要予約。

清流と自然に彩られた安心院は古くからスッポンの桃源郷

 古くから日本で食されてきたスッポンは、滋養強壮の代表格。タンパク質や脂質が少ない低カロリー食材で、ビタミンやアミノ酸、カルシウムが豊富。甲羅やその周りのエンペラはコラーゲンそのものだ。プルンプルンの美肌や血液サラサラ効果、むくみや冷え性の改善も期待でき、栄養ドリンクや健康食品の原料に用いられることが多い。

 そんなスッポンを特産としているのが、大分県宇佐市安心院(あじむ)地区だ。約20年前には、ミエゾウの化石の発見とともに、300~400万年前と推定される日本初のスッポンの化石も発掘されている。「スッポンはそんな昔からいたようですが、姿形は今とほとんど変わらないんですよ」と、安心院すっぽん振興会の会長である塚﨑清彦さんは顔をほころばす。

 太古の昔は湖だった地は、現在田んぼが広がっているが、津房(つぶさ)川や深見川が流れ、天然のスッポンが今も生息しているという。
「安心院盆地は豊かな自然と清流があり、スッポンに適した環境なんです。だから、養殖も始まったんですよ」と、塚﨑さんは付け加えた。

 安心院でのスッポン養殖開始は昭和47(1972)年。現・安心院亭の前身「塚崎養魚場」が先駆けたという。
 スッポンは元来、臆病気質で、人里から離れ、日当たりがよく、冬は寒くない温暖な場所を好むという。水温が低ければ、秋から冬にかけて冬眠もする。

 しかし、安心院では通年養殖に成功している。その大きな理由は、天然温泉の存在だ。スッポンにとって理想的な30度前後の温泉が湧き出ていることから、温泉水をそのまま利用。さらに、スッポン同士がお互いに顔を合わせずに済むよう、プールサイズの広々スペースを確保。ストレスを感じることなく、のんびりと育っている。なんと贅沢なスッポンたちだろうか。

安心院だからこそ味わえるリーズナブルで多彩な味わい

「あにこれ鼈(スッポン)の好産地としての
 総ての条件を完備させる理想の水郷ならずや」

『美味求真』木下謙次郎著

 大正14(1925)年に刊行された木下謙次郎の名著により、安心院はスッポンが名物と世間に知らしめられた。著者は大正時代の政治家で、美食家としても知られた人物。大正9(1920)年創業の料亭「やまさ旅館」初代・山上作太郎と親交が厚く、スッポン料理屋を始めるようにしきりに促したとか。やがて軒並びの宿でも、それまでの川魚料理に加え、スッポン料理を出すようになったという。

 現在は、安心院すっぽん振興会に名を連ねる8軒を中心に料理を提供。地区内に2軒あるスッポンの養殖場では、切り身や加工食品が販売されている。家族がそろう盆暮れ正月や、宴の席などでスッポン鍋を囲む機会が多いという安心院地区。地元小学校の給食にも登場するなど、安心院の郷土の味として、しっかり根付いているようだ。

 とはいえ、スッポンは一般的には高級食材だ。食べる機会はなかなか少ない。そこで、食べたことのない人たちでも気軽に味わえるきっかけ作りとして、年に2回「安心院すっぽんウィーク」を催している。2000年に始まったこのイベントは、参加店舗で統一メニューを同価格で味わえる、スッポン料理の食べ比べだ。
 しかも、地元産焼酎・ワインのプレゼントや、食事券や地元特産品が当たる食べ歩きラリーなど、豪華な賞品も。滋味深い安心院のスッポンを食べながら地産品を当てる、またとないチャンスを逃すまじ!

【第13回 安心院すっぽんウィーク4】
開催期間:2016年2月14日~3月14日
問い合わせ:宇佐市観光まちづくり課 観光振興係 TEL.0978-32-1111
詳細はコチラ

【安心院すっぽん振興会 加盟店】
ワイナリーレストラン 朝霧の庄:TEL.0978-44-1236
料亭 やまさ旅館:TEL.0978-44-0002
本家活宝 安心院亭:TEL.0978-44-2118
滝見苑:TEL.0978-48-2749
津房館:TEL.0978-48-2208
仙人田茶屋 両築:TEL.0978-34-2525
井ノ口養魚場:TEL.0978-44-2151
安心院すっぽんセンター(切り身販売のみ):TEL.0978-44-1866

SPOT いざ、安心院すっぽんを食べよう

人が集うときにはスッポン鍋を囲むという安心院地区。1980年代の大分県一村一品運動がきっかけで、料理のバラエティが広まったという。従来の水炊きにはじまり、コース料理に欠かせない刺身や唐揚げ、はたまたラーメンや雑炊など手軽なものまで。コラーゲンも豊富で、体力回復にも効果あるというスッポン料理で、この冬を乗り切ろう!

気軽なスッポン料理を
ワインとともに味わう愉悦|ワイナリーレストラン 朝霧の庄

西日本有数のワイン産地でもある安心院。そのワイナリーレストランには、宇佐の地産食材メニューがずらり。そのひとつがスッポンだ。醤油ベースのとろみのあるスープを卵とブラックペッパーで仕上げたラーメンは、滋味深い旨みに縮れ麺がよく絡み、癖になる味。スッポン雑炊もまた格別。

すっぽんラーメン:1620円、
すっぽん雑炊:1620円
営業時間:9:00~16:00(3~11月は8:30~16:30L.O.)、12月30日~1月1日休
住所:宇佐市安心院町下毛828−2
交通:JR日豊本線中津駅から安心院行きバスで1時間5分の安心院支所前下車、徒歩20分
TEL.0978-44-1236 店ホームページはコチラ

数々の美食家たちを
虜にしてきた老舗料亭|料亭 やまさ旅館

安心院にスッポンありと、世に知らしめた名料亭には、松本清張も足を運んだ。脂が十分にのった1kg以上のスッポンを厳選し、敷地内の養殖池で1カ月以上餌断ち。臭みやクセのない、スッポン本来のもつ、上品な旨みに惚れる。特製ポン酢でじっくり堪能を。食事のみの利用可。要予約。

安心院すっぽん鍋コース(写真):4320円~、
1泊2食付き:1万152円(サービス別)~、
すっぽん定食(昼食):2700円
営業時間:11:00~15:00・17:00~20:30、不定休
住所:宇佐市安心院町下毛1785
交通:JR日豊本線中津駅から安心院行きバスで1時間3分の安心院高校前下車、徒歩3分
TEL.0120-393-803 店ホームページはコチラ

生産者直営の名店で
活きのよさを満喫!|本家活宝 安心院亭

清流・津房川を引き込んだ養殖池を備え、冬眠させるなど、天然環境に近い形で養殖。加工、販売、専門料理店も営む、スッポン一筋の店だ。水炊きはもちろん、肝付の刺し身、茶碗蒸しなどに加え、大分大学と共同で開発したスッポンゼリーまで付くスペシャルコースがおすすめだ。

スッポン料理水炊きコース:1人4320円~、
スッポン料理スペシャルコース:1人1万800円
営業時間:11:00~21:00(17:00以降は要予約)
住所:宇佐市安心院町新原59-4
交通:JR日豊本線中津駅から安心院行きバスで1時間3分の安心院高校前下車、徒歩15分
TEL.0978-44-2118 店ホームページはコチラ

TICKETS|いざ、安心院へ行こう!

<福岡から>

JR博多駅から特急「ソニック」で1時間12分の中津駅下車、
安心院行きバスに乗り換えて約1時間5分

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取材・執筆・構成:佐藤さゆり(teamまめ)
写真提供:宇佐市まちづくり観光課、安心院すっぽん振興会、料亭 やまさ旅館
※掲載されているデータは2015年12月現在のものです。

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