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まだまだ知られざるご当地の味 行って食べたい!ニッポンA級発掘グルメ

vol.31 気仙沼のフカヒレ
[宮城県気仙沼市]


宮城県の北東端にある気仙沼市。大島を抱き、複雑に入り組んだ海岸や半島が連なる気仙沼湾は、天然の良港だ。

世界三大漁場のひとつといわれる三陸沖の漁場のほか、世界各地で漁獲された豊富な魚介類に恵まれた気仙沼市魚市場。サンマやカツオ、マグロ、サメ類の水揚げ量が多い。2階デッキから水揚げや仲買人の買い付ける様子を見学できる。

魚市場で水揚げされたサメからすぐさまヒレを切り取り、選別し、40~60日かけて天日干しする。気仙沼市では11~5月頃、ヒレを乾燥させる風景が見られる。

気仙沼市と南三陸町の気仙沼寿司組合加盟14店舗で提供する「気仙沼ふかひれ丼」(5000円程度)は、震災前に比べてフカヒレの大きさが1.5倍に! 味付けや値段は店ごとに異なる。

実物大のホホジロザメが出迎える「シャークミュージアム」。サメの知られざる生態や種類を紹介。震災から復興し、海と再び生きる気仙沼の人々の姿も伝えている。

日本一の生産量を誇り世界が認める名産地

 マグロにメカジキ、春秋のカツオ、秋のサンマなど、港町・気仙沼では四季を通じてさまざまな魚が水揚げされる。なかでもサメ類は、近海マグロの延縄(はえなわ)漁業で混獲され、日本の総水揚げ量の80~90%を占めている。

 水揚げされるのは、ヨシキリザメ、気仙沼ではモウカザメと呼ばれるネズミザメが中心で、漁獲量が少なく希少で高級なジンベエザメが獲れることもあるという。

 そんなサメ類のヒレを乾燥・加工したものがフカヒレだ。コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸などを総称したムコ多糖を含む、コラーゲン類似物質からなり、美肌はもちろん、軟骨の主成分になるなど、健康食品として珍重されてきた。

 そもそも日本でのフカヒレ加工の歴史は古い。清の時代にナマコ、アワビ、そしてフカヒレの俵詰めが、「俵物三品」として広州へ輸出され、広東料理に応用されてフカヒレ料理が確立された。そして現在も、本場中国の高級中華料理店で用いられるフカヒレのほとんどが、世界有数の品質と誉高い気仙沼産だ。

 品質がいい理由は、独特な気候にある。
 気仙沼地方は冬になると晴天の日が多く、寒冷かつ乾燥した北西の季節風が吹く。これが干物の水分を飛ばすのに最適なのだ。また、好漁場である三陸沖で獲れたサメ類は、体内に尿素を溜め込む性質があるため、漁獲直後の身にはアンモニア臭がある。しかし、気仙沼ではすぐに乾燥・加工できるため、鮮度を損なうことなく、良質なフカヒレを作り出すことができるのだ。

気仙沼で味わい倒すフカヒレ文化

 素干ししたフカヒレは、湯漬けして、皮をむき、軟骨を取り除くなど、ていねいな処理を施し、再び天日干しされる。昨今は機械乾燥も増えているが、手間をかけたフカヒレだからこそ、臭みがまったくなく、上品な旨みが凝縮されるという。

 フカヒレに用いられる部位はさまざま。形状が姿のままの「排翅(パイツー)」には主に背ビレ、尾ビレが、ほぐした「散翅(サンツー)」には胸ビレ、腹ビレが用いられ、スープなどに使用されるという。

 震災復興が進む気仙沼では、一時販売中止していた「気仙沼ふかひれ丼」が復活を遂げた。カツオと昆布の和風だし汁で炊いた特大の姿煮が、金色に輝いている。錦糸状のフカヒレも敷き詰められ、酢飯との相性は抜群。まるで寿司職人たちの心意気を表したかのようで、贅沢この上ない味に仕上がっている。

 気仙沼にはフカヒレを食すほかにも、見どころが多数ある。気仙沼市魚市場で早朝から行なわれる水揚げの様子を眺めたり、市場隣の「気仙沼 海の市」に立ち寄ったりするのもいい。鮮魚店やレストランが建ち並ぶうえ、2階には日本唯一の「シャークミュージアム」も併設され、サメの知られざる生態を目の当たりにできる。足を延ばして「復興商店街」に向かえば、フカヒレのスープやレトルト品、缶詰、グッズなど、多彩なフカヒレみやげも手に入る。震災復興とともに復活した、気仙沼産フカヒレの上品な旨み。地元の市場や料理店で、その食感をぜひとも味わいたい。

【気仙沼 海の市・シャークミュージアム】
時間:8:00~17:00(シャークミュージアムは9:00~最終入館16:30、入場料大人500円)、不定休
住所:気仙沼市魚市場前7-13
交通:大船渡線気仙沼駅から車で10分
TEL.0226-24-5755
詳細はこちら

SPOT いざ、フカヒレを食べよう

江戸末期より、フカヒレやサメ肉の加工が行なわれていた気仙沼。時間をかけてボイルされたフカヒレは、さまざまな料理へと変身する。姿煮がインパクト大なラーメンやチャーハンはもちろん、握り寿司や洋食も。高級食材ながらリーズナブルに提供するお店もあり、さまざまなスタイルに変化(へんげ)するフカヒレを味わって。

丹精込めた姿煮が鎮座する贅沢なラーメン|福建楼

創業40年。横浜中華街の高級料理店で修業を積んだ3代目の勢津文正さんは、良質なフカヒレを扱う。チャーハン、餃子など、フカヒレ料理は5品提供。なかでも、秘伝の中華風タレをじっくり煮含めた名物の姿煮がのるラーメンは、しこしこの麺に旨みがよく絡む。通販でも購入可。

フカヒレ姿煮ラーメン:2300円
営業時間:11:30~14:30・17:00~21:30L.O.、木曜休
住所:気仙沼市南町2-2-28 二-1F(気仙沼復興商店街 南町紫市場内)
交通:気仙沼駅から徒歩15分
TEL.090-9299-0807 店ホームページはコチラ

中華ではなく、和風仕立てのふかひれ寿し|気仙沼あさひ鮨 気仙沼店

フカヒレ業者の相談を受けて昭和61年に考案され、フカヒレ料理の先駆けとして登場。淡白なフカヒレは酢飯に合うようほぐし、ゴマ油で風味付けた甘酢醤油に漬け込んでいる。プリッとしたハリツヤがあり、食べれば思いのほか繊維が太い。アクセントに添えたカイワレ大根も効いている。

ふかひれ寿し:1貫750円、2貫1510円
営業時間:11:00~14:30・17:00~20:30L.O.、月曜休(祝日の場合は営業)
住所:気仙沼市南町1-2-2 ホ-1-2(気仙沼復興商店街 南町紫市場内)、
交通:気仙沼駅から徒歩15分
TEL.0226-23-2566 店ホームページはコチラ

地元民御用達の洋食店で味わう洋風仕立てのフカヒレ丼|Restaurant BRUNCH(ブランチ)

地元水産会社から仕入れたフカヒレをていねいに戻した後、さらにコンソメで煮込み、ハニーバルサミコやバジル、チーズなどで風味付け。甘酸っぱさとともにコリコリとした食感が小気味よく、みずみずしい野菜とともに口のなかでハーモニーを奏でだす。洋食店ならばこその独創的なフカヒレ丼だ。

サラダ仕立てのふかひれ丼:1080円(6月以降は要予約)
営業時間:11:30~14:45L.O.・17:30~21:00L.O.、月曜休(祝日の場合は翌日休)
住所:気仙沼市上田中2-2-17
交通:気仙沼駅からBRT10分の南気仙沼駅下車、気仙沼西高行きミヤコーバス10分の反松公園下車、徒歩1分
TEL.0226-22-4171 店ホームページはコチラ

TICKETS|いざ、気仙沼へ行こう!

<東京から>

東京駅から東北新幹線「やまびこ」で約2時間30分の一ノ関駅下車、
大船渡線に乗り換えて約1時間25分の気仙沼駅下車

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取材・執筆・構成:佐藤さゆり(teamまめ)
写真提供:気仙沼市産業部観光課、福建楼、気仙沼あさひ鮨、Restaurant BRUNCH
※掲載されているデータは2016年3月現在のものです。

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