『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

  • mixiチェック

現地でカンパイ! これぞ飲むべき 全国 美酒の旅|千葉県神崎町|vol.16 発酵文化が花咲く里・神崎で ていねいに醸した千葉の酒

「暴れ川」ともいわれた利根川下流域にあり、平坦な地が広がる神崎。千葉で最も小さな町だが、近年「発酵の里」として知られつつある。

「酒・人・心」をテーマに、心に響く酒造りをめざす「鍋店」。詳細な製造管理データを蓄積しながら、高品質な酒造りに挑む。

「寺田本家」では2000年より生?造りを再開。稲から採取した稲麹を自家培養し、全量無農薬の米で仕込んでいる。

明治10(1877)年創業の「フジハン醤油」。醸造を一時休止していたが、昨年より再開。昔ながらの大きな火入れ釜を用い、地場産原料で作る醤油は、塩気が効いて、大豆の旨みがストレート。1リットル260円。

発酵文化に親しむため、神崎町内の小学校では「大豆から育てる味噌仕込み体験授業」が行なわれ、1年発酵させた後、給食で味わう。

毎年、盛況の一途をたどる「発酵の里こうざき酒蔵まつり」。ほろ酔い気分で、町自慢の農産物や発酵食品も味わえる。

かつて「関東の灘」といわれた地で江戸期より醸す2つの酒蔵

 ゆったり流れる利根川が、千葉と茨城の合間を縫うように蛇行している。千葉県北東部に位置する神崎町は、利根川下流域を水源とする豊かな水と、肥沃な土地に恵まれ、江戸時代より農産物がよく育つ。そんな米や大豆を用いた、味噌、醤油などの発酵食品の醸造が盛んな地だ。人々はいつしかここを「発酵の里こうざき」と呼ぶようになった。

 酒造りは江戸期が最盛期で、半径500mほどの地域に7つもの酒蔵が軒を連ね、「関東の灘」の異名を誇っていたという。ところが明治31(1898)年、成田鉄道の郡(こおり)駅が開業して鉄路が発達していくと、水運は廃れていき、それと同時に醸造業も衰退していく。それでも2軒の造り酒屋は、踏ん張り続け、今もって健在だ。

 1軒は、江戸初期の延宝年間(1673~1681)に創業した「寺田本家」。江戸時代の醸造法である、手のひらで仕込む生?(きもと)造りで醸している。もう1軒は、成田山新勝寺の門前で元禄2(1689)年に蔵を構えた「鍋店(なべだな)」。こちらは良質な水をこだわり求め、神崎に出蔵を設けたという老舗だ。

酒蔵からはじまり町に広がる発酵文化

 2つの酒蔵では用いる原料も、仕込み方も違う。けれど、例年新酒が出揃う3月になると、それぞれの酒蔵で新酒まつりが行なわれ、地元の人々に親しまれてきた。そんななか、2つの蔵の酒蔵まつりを同時に開催しようというアイデアが飛び出したのだ。これを機にと、他の醸造業、農家、地元商店、住民、町が一体となった「発酵の里こうざき酒蔵まつり」が2009年よりスタート。両蔵を結ぶ街道沿いでもさまざまな催しが行なわれ、初回来場者は2万人にも上ったというから驚きだ。

 このまつりの成功に端を発し、神崎町は発酵文化をキーワードに、まちづくりを始めた。麹(こうじ)店、味噌醸造、醤油醸造が再注目され、酒粕や酒の仕込み水を用いた自家発酵のパン屋も誕生。また酒蔵も負けじと、自社杜氏による千葉県産米を用いた個性溢れる酒造りに邁進。自慢の麹や酒を用いた関連商品も数多く考案・開発されている。

 酒蔵まつりでは、普段なかなか見られない酒蔵見学や無料試飲のほか、まつり限定酒の販売も。また、祭囃子や踊り、バンド演奏がステージで繰り広げられ、沿道には約200もの露店が立ち並ぶ。酒造りをきっかけに、神崎で豊かに花開いた発酵文化を、存分に味わい倒したい。

【発酵の里こうざき酒蔵まつり2016】
日時:2016年3月13日(日)9:00~15:30
場所:神崎町神崎本宿(河岸通り~鍋店神崎酒造蔵)
※当日はJR成田線下総神崎駅から会場まで無料シャトルバス運行。
問合せ:発酵の里こうざき酒蔵まつり実行委員会 TEL.0478-72-2114
詳しくはこちら

発酵の里こうざきで酒蔵見学してみよう
寺田本家

無添加無濾過の“百薬の長”たる酒をめざし、米作りから手がける蔵。五人娘純米 しぼりたて生原酒「しぼったまんま」720ml・1728円は、在来種の千葉錦などを用い、もろみを残した薄濁り。若々しくも芳醇な味で頬が緩む。酒蔵まつり当日は、12種の試飲、販売、蔵見学ツアーに加え、発酵料理教室、発酵コスメのワークショップ、酒蔵まつり限定のどぶろく販売など、盛りだくさん。

蔵見学:1・2月に限定開催(2016年度の受付は終了)
交通:JR成田線下総神崎駅から徒歩20分
TEL.0478-72-2221
詳しくはこちら

鍋店 神崎酒造蔵

「個性ある酒を造りたい」と、1997年より自社スタッフで醸す。「不動 一度火入れ純米大吟醸」720ml・1645円は穏やかな香りを放ち、熟成するほど深みを増す。まつりでは、20種ほどの酒(無料・有料試飲あり)を用意するほか、まつり直前までもろみの様子を確認して搾った「仁勇蔵祭り限定酒」を販売。蔵人による酒蔵案内もあり、酒好きにはたまらない。

蔵見学:平日13:30~15:00(土曜は営業日のみ可能、要予約)
交通:JR成田線下総神崎駅から徒歩15分
TEL.0478-72-2001
詳しくはこちら

これぞ神崎が育んだ地酒 3大ポイント
豊かな地下水

三国山脈の大水上山の南の雪渓が源流で、流域面積は日本一。その利根川の豊かな水が地下水として流れている神崎町。清らかで水質がよいことから、江戸時代には「関東の灘」とも呼ばれるほど、酒蔵が林立していた。

米

8月に収穫する早場米の産地で、肥沃な土壌により稲作が盛ん。酒米も育成され、「寺田本家」では、在来種の「中生神力(なかてしんりき)」や、千葉錦を自家栽培。また「鍋店」では町内産「ふさこがね」を用いた酒も醸している。

江戸への水運

酒をはじめ、醤油や味噌などの蔵が河岸の街道沿いに建ち並んでいたという。かつては、江戸と東北を結んだ利根川水運の要所。多くの酒樽を、高瀬舟で一気に江戸市中へと運んでいた。写真は現在のこうざき船着場。

酒蔵まつりと楽しむ! 特選ご当地自慢
道の駅 発酵の里こうざき|発酵食品が百花繚乱!

発酵がテーマの道の駅が昨春オープン。神崎の発酵食品・スイーツをはじめ、全国の発酵食品をも集めた「発酵市場」に、味噌や塩麹などを用いた豚肉の味噌麹焼き定食950円など、発酵料理を提案するレストラン「オリゼ」などもあり、発酵文化を発信している。

■道の駅 発酵の里こうざき

住所:千葉県香取郡神崎町松崎855
時間:9:00~18:00(レストランは10:00~)
休み:なし(施設メンテナンスで臨時休あり)
交通:JR成田線下総神崎駅から車7分
TEL. 0478-70-1711
・詳しくはこちら

神崎神社「なんじゃもんじゃの木」|水戸の黄門様が名付けたという巨木

約1300年前に大沼浦二ツ塚(現・茨城県)より遷座し、交通、産業の神として信仰されている神崎神社。境内にクスノキの巨木があり、一説によると、水戸光圀公が「この木はなんというもんじゃろか」と呟いたことから「なんじゃもんじゃの木」と親しまれ、舟唄にもなったとか。

■神崎神社「なんじゃもんじゃの木」

住所:千葉県香取郡神崎町神崎本宿1944
交通:JR成田線下総神崎駅から徒歩25分
TEL. 0478-72-2114(神崎町まちづくり課)
・詳しくはこちら

菜の花|春を告げる一面の黄色いお花畑

全国各地で取り組まれている「菜の花プロジェクト」は、遊休農地に菜の花を植え、農村景観を再現すると同時に菜種油の生産も確立しようというもの。神崎神宿(しんしゅく)地区では、4月上旬から5月上旬にかけて一面黄色い絨毯を敷きつめたように花咲き、春の訪れを実感。

■菜の花

住所:千葉県香取郡神崎町神崎神宿(こうざき天の川公園付近)
交通:JR成田線下総神崎駅から車6分
TEL. 0478-72-2114(神崎町まちづくり課)

チケット TICKETS  
経路検索
あなたの出発地+目的地「下総神崎駅」で経路検索するならコチラ
宿泊探索
千葉県宿泊施設を探すならコチラ


取材・執筆・構成:佐藤さゆり(teamまめ)
写真提供:神崎町まちづくり課、寺田本家、鍋店、フジハン醤油、道の駅 発酵の里こうざき
※掲載されているデータは2016年2月現在のものです。

バックナンバー

このページのトップへ