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駅弁の女王小林しのぶが選ぶ 絶対に食べたい駅弁

秋田比内地鶏 こだわり鶏めし 秋田の名産品を彩りよく配した地鶏づくし弁当 秋田駅

 薩摩地鶏、名古屋コーチンと並ぶ日本三大美味鶏の一つ、比内地鶏を贅沢に使った駅弁。調製元の関根屋では30年ほど前に同様の駅弁を販売した歴史があり、往時の味覚を再現しているという。

 内容は、比内地鶏のダシで炊きあげた鶏めしの上に地鶏の照焼やごまそぼろ、つくねなどをのせた地鶏づくしの弁当。じゅんさいの酢の物、人参と大根のいぶりがっこといった秋田の名産品も彩りよく配されており、見ているだけで食欲が刺激される。

 おかずのメインとなる地鶏の照焼は弾力があり、噛むほどに肉の味が濃く滲み出てくる。油断するとあっという間に食べ終えてしまうので、じっくり味わってほしい。団子のように楊枝に刺したつくねもしっとりと仕上がっており、塩分を控えた鶏めしとの相性は抜群だ。脇を固めるおかずも主役に引けを取らないおいしさ。中でもいぶりがっこは、人参と大根がほどよくスモークされており、香ばしい匂いが野菜のおいしさをいっそう引き立てる。内容が少し異なる加熱機能付きバージョン(1100円)もある。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

秋田駅をめぐる旅 「リゾートしらかみ」で行く
  • 価格:950円
  • 種類:肉系
  • 調製元:(株)関根屋
  • 電話:018-833-6461

稲荷寿し 濃い甘口がクセになるシンプルないなり寿し弁当 豊橋駅

 いなり寿しの駅弁は全国各地にあるが、とくに高名なのが豊橋駅の「稲荷寿し」だ。豊橋市のとなり豊川市には、いなり寿し発祥の地、豊川稲荷があり、浅からぬ縁がある。

 掛け紙に描かれているのは、豊川稲荷と稲荷神の使いであるキツネのイラスト。この図柄は、昭和30年代に商標登録したものを現在まで使い続けている。レトロ調の古風なデザインが、伝統の重みと風格を感じさせる。

 中身は、長方形の容器にいなり寿しを7個収めた極めてシンプルな弁当。酢飯を包む揚げは、熱湯で油抜きした後、醤油と砂糖を合わせた秘伝のタレに漬け込んで40分近く煮込んだもので、とても甘く仕上がっている。けれど、あっさり、かつ硬めに仕上げた酢飯と揚げの相性はすばらしく、次第に甘さが気にならなくなる。いなり寿しにラップをかけ、紅生姜をビニール袋に詰めて、食べ物同士が触れないように工夫したのも見事な配慮だ。

 ボリューム感があるので、購入は1個で十分。熱くて濃いお茶とともに味わいたい。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

豊橋駅をめぐる旅 鉄道ミュージアムの歩き方
  • 価格:480円
  • 種類:いなり寿し
  • 調製元:壺屋弁当部
  • 電話:0532-31-1131

黒毛和牛モー太郎弁当 厳選の黒毛和牛をふんだんに使ったすき焼き弁当 松阪駅

 新竹商店は、創業115年を超える松阪の老舗弁当店。狂牛病(BSE)騒動で打撃を受けた時期もあったが、2002年に発売したこの駅弁で反撃ののろしを上げた。

 素材は、松阪市中町にある精肉店「丸中本店」から仕入れた黒毛和牛のすき焼き肉を使用し、生姜風味のタレを絡めて仕上げた。冷めても硬くならない極上の牛肉をご飯の上に乗せ、すき焼きの煮汁をかけるとでき上がり。肉をやわらかくする添加物や保存料は一切使っていない。

 パッケージにもこだわった。素材がホルスタイン種とは異なるのを全面に打ち出すため、容器は黒毛和牛の顔をかたどった。上フタの裏側には光センサーをつけており、ふたを開けると童謡『ふるさと』のメロディーが流れる。日本初のメロディー付き駅弁の完成である。

 こうした工夫の数々も楽しいが、やわらかくてジューシーに仕上がった牛肉が何より贅沢。百貨店などで開催される駅弁大会では、あっという間に売り切れることから、ついたあだ名が「秒殺のモー太郎」。その真の実力を、駅売りで味わってほしい。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

松阪駅をめぐる旅 野田隆の乗りテツ紀行
  • 価格:1260円
  • 種類:肉系
  • 調製元:あら竹
  • 電話:0598-21-4350

 元祖珍辨たこめし タコの産地が誇る老若男女に人気のタコ飯 三原駅・福山駅・尾道駅

 三原市は、瀬戸内有数のタコの産地。漁は世襲制で、獲りすぎないように管理しながら漁業を営んでいる。瀬戸内沿線ではそれぞれ特色を生かしたタコ飯を手作りしているが、三原にもタコをメーンにしたロングセラーの駅弁がある。発売開始は1953(昭和28)年だから、じつに半世紀以上の歴史を誇るロングセラー商品だ。当初は「たこめし」という名称だったが、のちに製造元の先々代社長、「珍彦(うずひこ)」さんの一文字をとって現在の弁当名に落ち着いた。

 タコの8本足にちなんだ八角形の容器に炊き込みご飯を敷き詰め、その上に煮タコ、エビ、椎茸、タケノコ、錦糸玉子などを盛り付けた。甘めに煮つけたタコは、ほどよい身の柔らかさと吸盤のこりこり感が絶妙にからみ合って、クセになるおいしさ。噛むほどに甘味が身の内側からにじみ出てくる。タコの旨みをたっぷりしみ込ませたご飯との相性も抜群で、長い歴史が培った巧みの技を存分に味わえる。

 三原市では8月8日を「タコの日」と定めて各種イベントを開催している。この夏は、駅弁持参で参加してはいかがだろう。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

三原駅・福山駅・尾道駅をめぐる旅
  • 価格:950円
  • 種類:海鮮系
  • 調製元:(株)浜吉 
  • 電話:0848-62-2121
女王PROFILE 小林しのぶ 旅行ジャーナリスト・エキベニスト・駅弁愛好家

 駅弁の食べ歩きは20年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから"駅弁の女王"と呼ばれる。全国各地の調製元と新作駅弁の共同開発を手がけるほか、新聞、雑誌、ウエブ等に連載多数。プロデュースした駅弁は「1000号はっこう弁当」「東京もちべん」(東京駅)ほか。

 フードアナリスト。日本旅のペンクラブ会員。千葉県佐原市出身。

 近著に『全国美味駅弁 決定版』(JTBパブリッシング)、『五つ星の駅弁』(東京書籍)、『どんぶりこ』(交通新聞社) 、『超いまうまい帖』(ぶんぶん書房)、『すごい駅弁!』(メディアファクトリー)などがある。NEXCO東日本で展開している「どら弁当」の監修者でもある。

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