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駅弁の女王小林しのぶが選ぶ 絶対に食べたい駅弁

津軽地方の郷土料理をふんだんに詰め込んだ駅弁 ばっちゃ御膳 新青森駅・弘前駅

 津軽料理の普及に尽力する『津軽料理遺産認定・普及協議会』と、弘前の仕出し料理店『サンパレス秋田屋』によるコラボ駅弁。JR新青森駅のほか、JR弘前駅の2階にある自由通路で販売されている。

 竹皮を使ったレトロ調の容器を、津軽の地図の上に弁当名をのせた掛け紙でまく。書はクリエイティブ書道家の岩科蓮花氏に依頼したもので、膳の字に笑顔を盛り込むなど、掛け紙・容器ともにこだわっている。

 内容は、貝焼き味噌、いかめんち、身欠きにしんの醤油漬け、棒鱈とふきの煮付け、人参の子和え、赤かぶの千枚漬けなど、津軽の家庭に古くから伝わる料理をずらりと並べたふるさと弁当。おかずの中では貝焼き味噌が絶品。ホタテ貝を鍋に見立てて味噌を溶かし、その中に卵や長ネギを入れて煮込んだ郷土料理で、この弁当では貝こそ使っていないものの、ダシのよく効いた深い味わいを見事に再現している。地元産の米「まっしぐら」の天日干しを使って炊いたご飯は粘り気があり、冷めてもおいしい。

 ばっちゃ(おばあちゃん)が手作りしたような温かさの伝わる駅弁だ。駅弁と一緒に地酒を用意しよう。



フレンチから郷土料理まで、多彩な食が楽しめる

だれもが認める、日本一のあなご弁当 あなごめし 宮島口駅

  宮島口駅の「あなごめし」を駅弁日本一に押す人は多い。当然だ、その歴史をはじめ、風味、味、盛り付けから容器までどれをとっても他のあなご弁当を圧倒する。

 レトロな掛け紙は、調製元「うえの」がかつて実際に使用していたものを復刻。掛け紙の下には端正な折り箱があり、フタを開けると、醤油の香ばしい匂いが立ち昇る。経木(きょうぎ)の折りは、しっとりとして手になじむ。中には艶やかなご飯が詰められ、その上にすき間なくアナゴの蒲焼がのっている。アナゴの表面はかりっと焼き上がり、中はふわりとやわらかい。秘伝の甘辛いタレがアナゴの味わいをいっそう引き立てている。不満点がひとつも見当たらない見事な仕上がりだ。

 あなごめしのはじまりは明治30年(1897)と古い。宮嶋駅(現在のJR宮島口駅)前に船や汽車待ちの茶店を開業、この茶店が前身である。宮島をはじめとする瀬戸内沿岸には古くから近海産のアナゴを使った「あなごどんぶり」があり、白飯の上にアナゴをのせるのが普通だった。駅弁ではアナゴのアラで炊いた醤油味ご飯を使用して評判となり、現在まで続く人気駅弁へと成長した。工夫と改良が成果をあげた歴史的名品である。

「トレたび」おすすめプレイバック

「フルムーン夫婦グリーンパス」で行く秋の宮島
  • 価格:1470円
  • 種類:炊き込み系
  • 調製元:うえの
  • 電話:0829-56-0006

目を見張るほどうまい、めはり寿司に注目 熊野弁当 新宮駅

 サッカー日本代表のシンボルマークになっているヤタガラスは、熊野山中で道に迷った神武天皇を大和国まで案内したと伝わるカラス。熊野三山(熊野本宮大社、熊野速玉神社、熊野那智神社)では、ヤタガラスをモチーフにした看板や旗を数多く見ることができる。

 「熊野弁当」は、熊野三山参詣の起点となる新宮駅で販売される駅弁。黒いプラスチック容器には、シイタケ、錦糸卵、鶏そぼろをのせた炊き込みご飯のほか、熊野名産のめはり寿し、まぐろの照り焼き、ひじき煮、いかなごのくぎ煮など、ローカル色豊かなおかずがずらりと並ぶ。

 惣菜の中では、めはり寿司に注目だ。南紀地方の農家の昼食として食されていた高菜の握り飯で、目を見開いてほお張るほどの大きさに握られていたことからこの名がついたとか。駅弁では食べやすい大きさに調えられているが、シソとゴマを混ぜ合わせた酢飯は風味がよく、握りたてのようなしっとり感もあって極上のおいしさ。おかずの多様さに加えてボリュームもたっぷりの名品だ。

  • 価格:920円
  • 種類:炊き込み・幕の内系
  • 調製元:丸新
  • 電話:0735-22-8181

日本初の釜めし駅弁。季節を問わず愛される名物 峠の釜めし 横川駅

 駅弁愛好家でなくても、この名前には聞き覚えがあるだろう、横川駅で販売されている「峠の釜めし」は、日本でもっとも有名な駅弁の一つである。

 横川駅は、高崎駅方面からJR信越本線を利用した場合の終着駅だが、横川-軽井沢間が利用されていた当時は、碓氷(うすい)峠越えの拠点だった。急勾配の峠を越えるには、補助機関車を連結してパワーアップを図る必要があり、全列車が同駅で一時停車した。このわずかな時間に駅弁が飛ぶように売れた。列車の出発時には、ホーム上に売り子がずらりと並び、乗客に向かって深々と頭を下げる光景が見られたものだ。

 駅弁のフタを開けると、うずらの卵を取り囲むようにおかずがぎっしりと詰められている。あめ色の鶏肉、黄色い栗、椎茸、グリーンピース、そして紅生姜と、彩り豊かなおかずが食欲をそそる。具材の下には、秘伝のダシを使って炊き込んだご飯が詰められている。ご飯は誰でも親しみやすい薄味に仕上げられており、おかずとのコンビネーションは抜群だ。益子焼の容器は、持ち帰れば、ご飯を炊く釜などとして再利用できる。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

500円で買える玄米弁当も見逃せない!
  • 価格:900円
  • 種類:釜めし
  • 調製元:(株)荻野屋
  • 電話:027-395-2311
※掲載されているデータは平成23年11月現在のものです。

 

女王PROFILE 小林しのぶ 旅行ジャーナリスト・エキベニスト・駅弁愛好家

 駅弁の食べ歩きは20年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから"駅弁の女王"と呼ばれる。全国各地の調製元と新作駅弁の共同開発を手がけるほか、新聞、雑誌、ウエブ等に連載多数。プロデュースした駅弁は「1000号はっこう弁当」「東京もちべん」(東京駅)ほか。

 フードアナリスト。日本旅のペンクラブ会員。千葉県佐原市出身。

 近著に『全国美味駅弁 決定版』(JTBパブリッシング)、『五つ星の駅弁』(東京書籍)、『どんぶりこ』(交通新聞社) 、『超いまうまい帖』(ぶんぶん書房)、『すごい駅弁!』(メディアファクトリー)などがある。NEXCO東日本で展開している「どら弁当」の監修者でもある。

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