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駅弁の女王小林しのぶが選ぶ 絶対に食べたい駅弁

カニだけを使いカニのおいしさを極限まで追求した 越前かにめし 福井駅カニだけを使いカニのおいしさを極限まで追求した 越前かにめし 福井駅

 発売は昭和36年。「越前かにめし」は、半世紀を迎えてなお高い人気を誇る駅弁だ。調製するのは福井の老舗、番匠本店。
 白抜き文字で「越前かにめし」と書かれた赤い包装紙から、カニの形を模した容器を取り出す。ふたを開けると、ぎっしり詰め込まれたベニズワイガニのむき身が目に飛び込む。添付された海苔を振りかけ、スプーンで豪快にすくって口中に放りこむ。カニの風味がふわりと立ち昇り、瑞々しさの中に凝縮された旨みが幸福感をマックスに導く。カニのほかに具材を使わず、カニのおいしさを引き出すことに全力を傾けた成果が見事に表現されている。
 ご飯はセイコガニの卵巣とミソをほぐして炊き込んでいるため、相乗効果となって味覚や香りをいっそう濃くする。ぜいたくで深みのある味わいが、半世紀にわたり多くのファンを引き付けてきた。経年で進化したのは容器。現在では容器ごと電子レンジで加熱でき、温め直すとさらに香りが引き立つという。一度チャレンジしてみてはいかがだろう。



福井が誇るB級グルメ、「ソースカツ丼」も見逃せない!
  • 価格:1100円
  • 種類:海鮮系
  • 調製元:(株)番匠本店
  • 電話:0776-57-0849

淡路島産の玉ネギがブランド肉の旨みを引き出す 但馬牛 牛めし 姫路駅

  但馬(たじま)牛(うし)は、兵庫県産の黒毛和牛のこと。このうち神戸肉流通推進協議会の基準を満たした牛肉については、但馬牛(ぎゅう)、神戸ビーフといったブランド名の使用が許される。売店では、本物の但馬牛を使っている証拠として、駅弁の横に証明書を置いている場合もある。
 長方形のプラスチック容器を発泡材にはめ込み、黒毛和牛の色調をイメージしたパッケージに収めた。中身は、白いご飯の上に但馬牛の煮付け、コンニャク煮、キンピラゴボウ、大根なます、シシトウ素揚げなどを盛り付けた牛めし。
 牛肉は、小豆島醤油で甘辛く煮込んだもので、これだけでも十分にうまいが、オーブンで丸ごと焼いた淡路島産の玉ネギが牛肉のコクを見事に引き出している。肉質の良さか、調製元の高度な技術なのか、冷めてこそさらに味のバランスがよく、うまいのはサスガのひと言。タレのしみ込んだご飯も味わい深い。全体的に濃い口だが、これを中和させるのが大根なます。酢でさっぱりと仕上がっており、口直しにぴったりだ。完食後に2個買ってもよかったと後悔させるほど満足度は高い。

「トレたび」おすすめプレイバック

デザートにはご当地和菓子をどうぞ!

秘伝の酢が味の決め手。カニとご飯のシンプル弁当 かにすし 加賀温泉駅

 日本海近海で水揚げされたベニズワイガニの魅力を凝縮した寿司弁当。茹でる前から朱色をしていることから名づけられたこのカニは、ズワイガニに比べると足は細いが、水分量が豊富で食べると甘く、舌の上でほぐれる食感が好まれている。
八角形の発泡材容器を厚紙のパッケージで包む。裏側に加賀温泉駅周辺の観光案内図を掲載したパッケージは発売当初から変更されておらず、オールドファンに喜ばれているそう。内容は、ベニズワイガニの棒肉を秘伝のリンゴ酢でしめ、酢飯と合わせた押し寿司。酢飯は、県内産のコシヒカリに霊峰白山の清水を使った米酢を加えて炊いたもので、カニとの相性は抜群だ。
 カニ弁当は、ほぐし身を使うことが多いが、この弁当は棒肉を使っているのがポイントで、食感までしっかり楽しめる。そして甘さの中にさっぱり感のあるリンゴ酢が、カニ身のおいしさを増幅させている。別袋に醤油を添えただけで副菜のないシンプルな構成は、調製元の自信の表れだろう。石川の地酒とともに味わいたい逸品だ。

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カニ好きにはたまらない
  • 価格:1000円
  • 種類:海鮮系
  • 調製元:(株)高野商店
  • 電話:0761-72-3311

甘酢でしめたサバと酢飯の味覚のバランスが絶妙 柿の葉寿し 吉野口駅

 柿の葉に含まれる渋柿タンニンには、抗酸化作用や抗菌作用があるという。その柿の葉は江戸時代、熊野灘で獲れたサバを包む材料として利用され、京都などに運ばれた。後年はサバ寿しの旨みと柿の葉の効用を組み合わせた柿の葉寿しに発展し、風味豊かな奈良の郷土料理として今日に伝わる。
 伝統ある柿の葉寿しを製造するのは、奈良県御所(ごぜ)市にある柳屋。明治44年(1911)から吉野口駅で駅弁販売を行なう老舗で、戦時中は食料不足で一時休業するが戦後に復活、駅弁「柿の葉寿し」を発売して20年以上になる。
 柿色のパッケージに包まれた井桁容器に、柿の葉寿しが8カン収まる。1つ取り出して柿の葉を開けると、独特の香りがふわりと漂って食欲を誘う。甘酢でしめたサバのまろやかな味わいと酢飯とのバランスが抜群で、食べ始めたらどうにも止まらない。ローカル色の濃い和歌山線の小さな駅を中心に販売される駅弁だが、伝統に裏打ちされた味わいは深く、そして骨太である。サーモン寿司も楽しめるミックスバージョン(1000円)も販売されている。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

ワンコインでお釣りがくる「きぬ巻時雨寿司」もオススメ!
  • 価格:880円
  • 種類:海鮮系
  • 調製元:(株)柳屋
  • 電話:0745-67-0017
※掲載されているデータは平成23年12月現在のものです。

 

女王PROFILE 小林しのぶ 旅行ジャーナリスト・エキベニスト・駅弁愛好家

 駅弁の食べ歩きは20年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから"駅弁の女王"と呼ばれる。全国各地の調製元と新作駅弁の共同開発を手がけるほか、新聞、雑誌、ウエブ等に連載多数。プロデュースした駅弁は「1000号はっこう弁当」「東京もちべん」(東京駅)ほか。

 フードアナリスト。日本旅のペンクラブ会員。千葉県佐原市出身。

 近著に『全国美味駅弁 決定版』(JTBパブリッシング)、『五つ星の駅弁』(東京書籍)、『どんぶりこ』(交通新聞社) 、『超いまうまい帖』(ぶんぶん書房)、『すごい駅弁!』(メディアファクトリー)などがある。NEXCO東日本で展開している「どら弁当」の監修者でもある。

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