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駅弁の女王小林しのぶが選ぶ 絶対に食べたい駅弁

あっさり仕立ての特製つゆが穴子の旨みを引き出す 穴子弁当(あっちっち弁当) 西明石駅

 個性豊かな駅弁開発を得意とする神戸市の「淡路屋」が調製。加熱式容器を取り入れた「あっちっちスチーム弁当」シリーズの一つで、ほどよく温まったうまい駅弁を食べられるのが好評だ。

 弁当の中身の画像を掲載した厚紙のパッケージに、円形の容器を収める。内容は、白いご飯の上に錦糸卵と肉厚の穴子の蒲焼を5つのせたシンプルな穴子弁当。アナゴは明石の名物。彩りとして艶やかな三つ葉を添えている。ひもを引いて中身を加熱させた後、添付の「特製つゆ」をかけて食べる。おかずのメーンとなる穴子は、加熱によってふっくらとなり、やわらかさも増す。口の中に入れるとふわりととろけていく。アナゴは濃い口のつゆも合うが、この駅弁ではあっさりとした味覚を採用しており、脂ののった穴子とのバランスのよさが際立つ。つゆがじんわり染みたご飯も絶品。飽きることなく、もりもりと食べられる一品だ。

 加熱式容器を使っているため、見た目ほどのボリュームがないのが残念。しかしアナゴの仕上がりは上等、さすがに老舗淡路屋の調製である。この値段なら十分に納得できる内容だ。

日本全国のうなぎとあなごの駅弁を紹介!
  • 価格:1000円
  • 種類:海鮮系
  • 調製元:(株)淡路屋
  • 電話:078-431-1682

内助の功を思わせる、やさしさに満ちた手づくり駅弁 一豊御膳 掛川駅

 掛川駅に東海道新幹線が停車するようになった1988年に登場のロングヒット駅弁。一豊は戦国武将の山内一豊で、土佐国の領主となる以前は近江国掛川に所領を与えられ、城の修築や城下町の整備、大井川の堤防造りなどを実行した名君として知られていた。

 発泡材容器に掛川城の写真などを掲載したボール紙のフタをのせ、淡いピンク色の風呂敷で包んでいる。中身は、山菜と茶飯という2種類の梅の形のご飯のほか、舞茸と海老の天ぷら、さつまいも素揚げ、ミートボール、6種類の煮物、わさび漬などを詰め合わせた幕の内風の弁当。一豊本人ではなく妻の千代をモチーフにしているため、戦国武将という豪壮なイメージとは異なる、彩り豊かな仕上がりになっている。

 おかずでは2種類の天ぷらが絶品。別袋に入れられた抹茶塩をふり掛けると、ほどよい塩加減が舞茸や海老の旨みを引き出して、極上のおいしさを味わわせてくれる。デザートは、掛川の特産品である葛を使った菓子。その味わいは、夫をいたわる内助の功のような優しさに満ちており、華やかな食事の締めくくりにふさわしい。

「トレたび」おすすめプレイバック

山内一豊ゆかりの地で「掛川おでん」をいただく
  • 価格:1000円
  • 種類:キャラクター
  • 調製元:(株)自笑亭
  • 電話:053-442-2121

幅広い年齢層に親しまれる懐かしの洋食弁当 横濱オムライス 新横浜駅・東京駅

 パッケージのイラストは、横浜赤レンガ倉庫2号館を描いたもの。レトロ調の描写は、弁当名の「横濱」という旧字によく合っており、食べる前から横浜を舞台にしたさまざまなストーリーが脳裏に浮かんでワクワクさせられる。

 内容は、半熟卵とグリーンピースをのせたオムライスを中心に、ハンバーグ、ポテトフライ、焼売(しゅうまい)、牛蒡(ごぼう)サラダ、コーンコールスローサラダなどの多彩なおかずを詰め合わせた洋食駅弁。一見するとお子様ランチ風だが、メインのオムライスは、鶏の挽き肉と玉ねぎ入りのケチャップライスの上にとろりとした半熟卵をのせたもので、とにかくこれがうまい。濃い口になりがちなケチャップライスの味覚を卵が中和し、酸味と甘みの絶妙なコンビネーションが味わいに奥行きを与えている。ちょっと洒落た皿に移し替えたら、一流レストランのオムライスと見まごうくらいだ。

 プレーンのままでも十分においしいが、袋入りのケチャップとウスターソースのMIXソースが添えられているため、食べながら味覚を調節できる。箸のほかにスプーンを入れた心遣いも見事。子どもから大人まで満足できる一品である。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

横浜駅の名物駅弁「シウマイ弁当」が登場!

滋味豊かな広島産カキを多彩な料理で味わえる しゃもじかきめし 広島駅

 広島駅の“冬の風物詩”といっても過言ではないロングセラー弁当。長方形のパッケージを開けると、宮島みやげとして有名な開運しゃもじが!と思ったら、しゃもじをイメージした駅弁の容器。赤いプラスチック製だ。

 中身は、県産米にカキの身をふんだんに入れて炊きこんだカキ飯の上にカキ煮、カキフライ、カキ味噌和えなどを配した贅沢なカキ尽くし弁当。おかずでは、カキ煮とカキフライは好対照の仕上がりだ。見た目よりも格段に濃厚な味わいのカキ煮は、炊き込みご飯との相性が抜群。カキフライにはソースが添付されており、双子のように並ぶ2個のフライにまんべんなくかけると、しっとりとそして意外とあっさりした口当たりが楽しめる。左党に喜ばれているのはカキ味噌和え。カキの旨みと味噌味が絶妙に絡み合い、酒の肴としても極上の一品だ。

 バリエーション豊富なカキ料理の周りには黄金色の錦糸卵、薄桃色の酢生姜、鮮やかな緑色の広島菜漬を配しており、色味に限っては地味なカキ料理を引き立てている。
※3月までの冬季限定発売。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

生産量日本一を誇る広島のカキを体験
※掲載されているデータは平成24年2月現在のものです。

 

女王PROFILE 小林しのぶ 旅行ジャーナリスト・エキベニスト・駅弁愛好家

 駅弁の食べ歩きは20年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから"駅弁の女王"と呼ばれる。全国各地の調製元と新作駅弁の共同開発を手がけるほか、新聞、雑誌、ウエブ等に連載多数。プロデュースした駅弁は「1000号はっこう弁当」「東京もちべん」(東京駅)ほか。

 フードアナリスト。日本旅のペンクラブ会員。千葉県佐原市出身。

 近著に『全国美味駅弁 決定版』(JTBパブリッシング)、『五つ星の駅弁』(東京書籍)、『どんぶりこ』(交通新聞社) 、『超いまうまい帖』(ぶんぶん書房)、『すごい駅弁!』(メディアファクトリー)などがある。NEXCO東日本で展開している「どら弁当」の監修者でもある。

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