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駅弁の女王小林しのぶが選ぶ 絶対に食べたい駅弁

鹿児島県をかたどった容器に土地の特産品がぎっしり
かごっま弁
鹿児島中央駅

 九州新幹線鹿児島ルートの全線開通を記念して発売された新作駅弁。かごっま弁とは鹿児島弁のことで、その名称が示すとおり、鹿児島の特産品を詰め込んだ内容が早くも話題を呼んでいる。

 長方形の発泡材容器にプラスチック製のフタをのせ、鹿児島弁とその標準語訳を掲載した掛け紙を巻いている。8つに仕切られた容器には、さつますもじ、豚角煮、きびなご南蛮漬、黒豚コロッケ、薩摩芋の甘露煮、さつま揚といった特産品が盛り込まれている。見た目にもゴージャスで、どこから手をつけたらよいのか迷ってしまう。さつますもじは、ほんのりと地酒の風味が香る郷土色豊かなちらし寿司で、シイタケなどの具材がアクセントを加えている。バラエティに富んだおかずの中では、黒豚コロッケが絶品。肉厚で噛み応えがあり、ご飯との相性も抜群だ。食事の締めは、「げたんは」と呼ばれる黒砂糖菓子。さくっとした食感が楽しく、後味もよい。

  • 価格:840円
  • 種類:幕の内
  • 調製元:明和食品
  • 電話:099-243-7117

とろけるようにやわらかいニシンが絶品
さけとにしんの親子わっぱ
新潟駅・新津駅

 鉄道の街として知られる新津地区の中心にあるのが新津駅。信越本線、磐越西線、羽越本線という3つの路線を利用できるターミナル駅で、各路線では美しい田園風景を堪能できる。列車旅のお供にふさわしい駅弁が新津駅にはいくつもあるけれど、今回は「さけとにしんの親子わっぱ」を紹介する。サケとニシンの2組の親子が競演する弁当だ。

 サケやニシンが泳ぐ様子を描いた厚紙のパッケージに発泡材のわっぱ容器を収めている。中身は、酢飯の上に焼きサケ、イクラの醤油漬け、ニシン煮、カズノコなどをのせたもの。彩り豊かなおかずの中では、ニシン煮が絶品だ。特製ダレに浸けて煮込んだニシンは、箸を入れただけで身がほどけるほどやわらかく、舌にのせると、とろけるような食感。長時間にわたってじっくりと煮込んでいるため、小骨を気にせずに食べ進むことができるのはサスガである。

 ちなみにこの駅弁では、おかずを先に平らげても問題ない。なぜならご飯が特別においしいから。新潟県産米を使ったご飯には白ゴマとショウガのみじん切りを混ぜており、さっぱりと上品な味わいに仕上がっている。これはもう主役級の存在感。単体で食べて新潟の極上米を楽しんでほしい。

「トレたび」おすすめプレイバック

阿賀野川の渓谷と山並みの中を走る観光SL列車
  • 価格:950円
  • 種類:海鮮系
  • 調製元:神尾商事(株)
  • 電話:0250-22-5511

丁寧に調理された煮物が絶品。おかず満載の幕の内弁当
大宮弁当
大宮駅

 ストレートなネーミングのこの駅弁は、大宮駅限定で販売されている幕の内弁当だ。そもそも大宮駅は、5本の新幹線路線を含む11本の路線が乗り入れる日本有数の交通拠点。掛け紙には、廃線になった西武大宮線まで描いた大宮駅周辺の絵地図や、歌詞中に大宮駅が登場する「地理教育鉄道唱歌」などがプリントされており、“鉄道の街”大宮の歴史をインプットできる仕組みになっている。

 肝心の中身を紹介しよう。4つに区分けされた容器には、刻みウナギをのせた茶飯をはじめ、アユ甘露煮、サケ味噌漬焼き、鶏肉梅肉挟み焼、野菜の煮物や揚げ物など、埼玉の名産を巧みに取り込んだおかずがぎっしり詰められている。

 丁寧に調理されたおかずは、ご飯に合うのはもちろん、酒のつまみとしても重宝する。中でも感動を覚えるのは調製元自慢の煮物。彩り豆腐、六方里芋、穂竹、レンコン、花人参、シイタケと種類豊富で、しかも薄口に仕上げているため野菜の旨みが見事に活かされている。ひと噛みごとに幸せを味わえるといっても過言ではない。デザートのおはぎもうまく、客の心をとらえて離さない希少な大宮の駅弁だ。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

大宮駅から埼玉新都市交通で約3分の鉄道博物館へ
  • 価格:1200円
  • 種類:幕の内
  • 調製元:(株)NRE大増
  • 電話:03-3810-7551

アツアツの豚肉がうまい! 加熱式の肉どんぶり
ぶた八の豚どん
帯広駅

 焼き豚肉を白米の上にのせた豚丼は、帯広が発祥といわれる。帯広では、現在でも牛丼より豚丼の人気が高く、市内にある多くの料理店が独自に工夫した豚丼を提供して味覚を競い合っている。

 「ぶた八の豚どん」は、その名のとおり、帯広市にある炭焼き豚丼の専門店「ぶた八」が調製する駅弁だ。中身は、甘辛の特製ダレに浸け込んで炭火で焼いた北海道産の豚肉をご飯の上にのせただけのシンプルな内容だが、加熱式になっているのがミソ。ひもを引くとシューッという音とともに蒸気が噴き出す仕組みで、8分ほど待つと完成する。

 フタを開けると、炭火焼きならではの香ばしい匂いがにわかに立ち昇り、見事なまでに食欲を刺激する。熱々状態の豚丼に添付の特製ダレをふりかけると、厚めの豚肉が褐色の輝きを帯びて、早く召し上がれと催促するようだ。ザラメと醤油を煮詰めたタレは甘みを抑えており、豚肉の旨味を引き出している。タレがじわじわと侵食した“タレご飯”も絶品で、一心不乱にかき込んでしまうこと請け合いの見事な仕上がり。熱が加わらないように漬物を別袋に入れたのも気が利いている。帯広の豊かな自然が広がる車窓風景を眺めながら味わいたい一品だ。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

プチ豪華な大人の帯広・十勝旅
  • 価格:1200円
  • 種類:肉系
  • 調製元:ぶた八
  • 電話:0155-23-2911
※掲載されているデータは平成24年10月現在のものです。

 

女王PROFILE 小林しのぶ 旅行ジャーナリスト・エキベニスト・駅弁愛好家

 駅弁の食べ歩きは20年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから"駅弁の女王"と呼ばれる。全国各地の調製元と新作駅弁の共同開発を手がけるほか、新聞、雑誌、ウエブ等に連載多数。プロデュースした駅弁は「1000号はっこう弁当」「東京もちべん」(東京駅)ほか。

 フードアナリスト。日本旅のペンクラブ会員。千葉県佐原市出身。

 近著に『全国美味駅弁 決定版』(JTBパブリッシング)、『五つ星の駅弁』(東京書籍)、『どんぶりこ』(交通新聞社) 、『超いまうまい帖』(ぶんぶん書房)、『すごい駅弁!』(メディアファクトリー)などがある。NEXCO東日本で展開している「どら弁当」の監修者でもある。

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