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駅弁の女王小林しのぶが選ぶ 絶対に食べたい駅弁

昭和世代の郷愁を誘う東京駅の名物駅弁|チキン弁当|東京駅・上野駅・新宿駅・品川駅・大宮駅

 発売は東海道新幹線の開業とほぼ同時期というロングセラー。唐揚げの横に添えられていたポテトチップスをメニューからはずすなどパッケージや内容は少しずつ変更されているが、いまも高い人気を誇る名物駅弁だ。

 取っ手が付いて持ち運びに便利なバスケット型のパッケージにプラスチック製の白いトレーを収める。2分割されたトレーの半分はチキンライス、もう半分には鶏肉の唐揚げが入っている。チキンライスは、いわゆる“ケチャップご飯”で、その上にグリーンピースと玉子そぼろをのせている。適度に甘い仕上がりは、昭和時代のビッグイベント、大阪万博を知る世代にとって懐かしい家庭の味だ。唐揚げは4つ入っており、冷めてもおいしいのは伝統のなせる技だろう。衣の味付けは濃口なので、添付されたレモンの汁をたっぷり降りかけて食べるのがお勧めだ。

 唐揚げの下にはサニーレタスが敷かれており、不足しがちな野菜の栄養を補うことができる。ドレッシング付きなのも気が利いている。

東京駅から東海道新幹線で関西へ

ブリとカブの取り合わせが豊かな風味を醸し出す|ぶりのすし|富山駅

 富山の駅弁で、真っ先に思い浮かぶのは“ますのすし”。酢飯の上に淡い朱色のマスを敷き詰めた押し寿司だが、マスをブリに変えたのがこの駅弁。少しクセのある味わいにファンが多い。

 ブリを大胆に描写したイラスト付きのボール紙の中には、適度な湿り気を維持する木製容器(曲物)が入っている。フタをとり、笹の葉を一枚ずつはがすと、ようやくブリの押し寿司が登場する。内容は、県産米を炊いたご飯の上に、熟練の職人が厳選したブリ、かぶら、千切り人参、刻み昆布をのせて笹の葉で包み、素材同士がよく馴染むようにしっかりと押したもの。ボリューム感たっぷりの円形寿司を、付属のプラスチック製のナイフで切り分け、ひと口ほおばる。脂の乗ったブリの身と、あっさり仕立てだが歯応えのよいかぶらの組み合わせが絶妙で、上品で深みのある味わいを醸し出す。

 見た目よりもボリュームがあるが、その場合は時間を置いて食べるのがお勧め。押し寿司は味が馴染むまで時間を要するため、調製から20~30時間後が食べ頃になるそうだ。

  • 価格:1300円
  • 種類:海鮮系
  • 調製元:(株)源
  • 電話:076-429-3100

鮮魚の旨みと塩気の絡みが絶妙な親子駅弁|鮭めし|洞爺駅

 洞爺湖観光の入口となるJR室蘭本線洞爺駅の売れ筋駅弁。リニューアルごとに内容は進化しているが、北海道の地図と鮭のイラストをプリントした掛け紙のデザインと、弁当の人気の高さは変わらない。

 中身は、白いご飯の上にサケとイクラをたっぷりのせた親子弁当で、ピンク色のサケと赤いイクラの間に黄色の錦糸玉子を敷き詰めたカラフルな光景が食欲を刺激する。イクラと錦糸玉子をはさんで2ヵ所に置かれたサケは、魚体が銀色に輝く銀毛鮭(ぎんけざけ)のほぐし身で、隠し味として混ぜ込まれたタケノコが食感にアクセントを与えてとても食べやすい。塩加減もじつによい塩梅で、ビールも進み、ご飯がもりもり食べられる。

 弁当中央に、川の流れのように配されたイクラも絶品。量がたっぷりあって、旨みと塩気が絶妙に絡み合う。サケめしだが、「サケとイクラの親子弁当」といってもよいぐらいだ。北海道で駅弁を食べる醍醐味が凝縮されたひとときといえるだろう。

 付け合わせは白花豆煮、茎ワカメ、大根の桜漬け。いずれも丁寧に味付けられており、箸休めにぴったりだ。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

洞爺湖&ニセコへ! レール&自転車でエコな旅
  • 価格:945円
  • 種類:海鮮系
  • 調製元:洞爺駅構内立売商会
  • 電話:0142-76-2221

懐かしくておいしい、黒はんぺんに魅了される|駿河名産つまみ喰い 天晴れ!! 富士山弁当|新富士駅

 富士山をモチーフにした富陽軒の駅弁。テレビ番組の人気グルメ番組でも堂々2位に食い込んだこともある実力派だ。

 古きよき昭和時代の映画看板を思わせるレトロ調のイラストをプリントした掛け紙で発泡材を包んでいる。ふたを開けると隙間なくびっしりとおかずが詰まっている。こんな駅弁はうまいに決まってる。中身は映画とは無関係だが、ご飯が富士山に見えるように仕切ったのが視覚的におもしろい。頂上の部分に桜エビを配置したのは、葛飾北斎の『富嶽三十六景 凱風快晴(がいふうかいせい)』、いわゆる“赤富士”をイメージしたからだそう。

 おかずには朝霧牧場で育った豚の味噌焼き、由比の桜エビ、手作りこんにゃく、蒲原の黒はんぺんなど、駿河周辺の名物をぎっしりと詰め込んだ。おかずのメーンは豚肉西京味噌漬けでしっかり味付けされていい感じ。しかし、個人的には黒はんぺんのフライがうまい! さくっとした食感と、ほのかに甘い味覚とのハーモニーが見事で、学校帰りに食べたような懐かしい味わいもこの駅弁にベストマッチ。心の中で「あっぱれ!」と叫びたくなる一品だ。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

静岡駅で絶対買いたい! 大人気スイーツ
  • 価格:1000円
  • 種類:幕の内
  • 調製元:(株)富陽軒
  • 電話:0545-61-2835
※掲載されているデータは平成25年4月現在のものです。

 

女王PROFILE 小林しのぶ 旅行ジャーナリスト・エキベニスト・駅弁愛好家

 駅弁の食べ歩きは20年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから"駅弁の女王"と呼ばれる。全国各地の調製元と新作駅弁の共同開発を手がけるほか、新聞、雑誌、ウェブ等に連載多数。プロデュースした駅弁は「1000号はっこう弁当」「東京もちべん」(東京駅)ほか。

 フードアナリスト。日本旅のペンクラブ会員。千葉県佐原市出身。

 近著に『全国美味駅弁 決定版』(JTBパブリッシング)、『五つ星の駅弁』(東京書籍)、『どんぶりこ』(交通新聞社) 、『超いまうまい帖』(ぶんぶん書房)、『すごい駅弁!』(メディアファクトリー)などがある。NEXCO東日本で展開している「どら弁当」の監修者でもある。

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