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駅弁の女王小林しのぶが選ぶ 絶対に食べたい駅弁

来島海峡の急潮にもまれた極上タイの炊き込みご飯|鯛めし弁当|今治駅

 東側が来島(くるしま)海峡に面した愛媛県今治市は、マダイの漁場として有名だ。日本三大急流のひとつに数えられるほどの厳しい環境の中で育ったタイは身がよく締まり、瀬戸内海を代表する名産品としてその名を全国にとどろかせている。

 このタイをふんだんに使った駅弁が二葉の「鯛めし弁当」。長方形のプラスチック容器には炊き込みご飯とおかずが詰められており、フタを開けた瞬間、タイの香りがふわりと漂って食欲をそそられる。タイの骨とアラからとった濃厚なダシ汁で炊いたご飯の上には、手作業でほぐしているというタイの身がのり、淡雪が降り積もったような様子が美しい。口に運ぶと、ご飯の一粒ひと粒にタイの旨みがしっかり染み込んでおり、上品で淡白なタイの風味を生かすように薄口に仕上げた職人技に感心させられる。

 おかずはエビ天ぷら、きんぴらごぼう、野菜の煮物、有頭エビ、玉子焼きなどで、いずれも主役の鯛めしをじゃましないシンプルな味付けがほどこされている。この1160円弁当のほか、買い求めやすい840円・950円バージョンも用意されている。

今治で、穏やかな海と上質なコットンに出会う
  • 価格:1160円
  • 種類:海鮮系
  • 調製元:(株)二葉
  • 電話:0898-22-1859

半世紀にわたり愛される、牛肉弁当の元祖|元祖特撰牛肉弁当|松阪駅

 日本で初めてブランド牛肉を使った駅弁ということで、“元祖特撰”と命名されている。初売りは昭和34年(1959)7月15日、紀勢本線全線開通を祝う松阪駅で行われた。1個150円という値段は当時もっとも高価だったため、このときは3個しか売れなかったという。けれど松阪駅にうまい駅弁ありという評判は口コミで全国に広まり、着実に販売個数を伸ばしていった。

 本来、牛肉は冷めると固くなる。そこでこの駅弁では、厳選した肉の下味に赤ワインを加え、焼き方に工夫を凝らし、さらに仕上げに絡める秘伝のタレを完成させたことで、ジューシーでやわらかい牛ステーキを完成させた。駅弁コンテストに数多く出品して受賞したり、全国の有名百貨店で行われる駅弁大会でも大いに好評を博し、いまも変わらないうまさを提供している。

 明治28年(1895)創業の新竹商店は、松阪駅唯一の駅弁調製店。日本初のメロディ付き駅弁「モー太郎弁当」など多くの牛肉弁当を取り扱う。平成14年(2002)から松阪牛の判定基準が厳しくなったため、現在の使用肉は黒毛和牛と表記されている。

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幻の名張延伸 名松線の鉄道遺産を紹介
  • 価格:1260円
  • 種類:肉系
  • 調製元:(株)新竹商店
  • 電話:0598-21-4350

県産の食材をふんだんに取り入れた幕の内駅弁|常陸之國美味紀行|水戸駅

 弁当販売を行っていた地元企業が廃業したため水戸駅では駅弁不在がしばらく続いたが、市内で飲食店チェーンを経営する「しまだフーズ」が弁当調製を引き継いだ。一昨年の5月頃から「常陸之國美味紀行」を含む4種類の駅弁の販売がスタートしており、現在も継続されている。

 駅弁「常陸之國美味紀行」は、茨城県産の素材にこだわった幕の内タイプの弁当で、県産のコシヒカリを炊いたご飯のほか、焼きザケ、ワカサギ甘露煮、エビの天ぷら、レンコンのはさみ揚げ、そして水戸名物の梅を使ったシュウマイなど多彩なおかずを詰め合わせた。野菜をふんだんに取り入れているのが特徴で、健康に気を配る熟年層や、多品種のおかずを少しずつ味わいたい女性客などを中心に好調な売れ行きという。

 おかずでは、茨城名産のウナギの蒲焼きが絶品。脂がほどよくのったウナギに特製の醤油ダレが絡み合い、香り高い旨みを味わわせてくれる。サツマイモを使ったデザートまで用意されており、スキのない完成度の高さが見事だ。

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水戸駅も通過する常磐線用の最新鋭交直流特急形電車

オリーブオイルで食べる新感覚のスモークサバ寿司|吾左衛門鮓 燻し鯖|米子駅

 米子を拠点に隆盛した廻船問屋の主人、米屋吾左衛門が、舟子(しゅうし)たちのために考え出した弁当が「米屋吾左衛門鮓」のはじまり。この伝統を継承する吾左衛門鮓シリーズには、サバ・マス・タイなどをメインにした商品が揃う。そのひとつが「燻(いぶ)し鯖」で、北欧の伝統的な調理法“燻製”と日本の“寿司”とのコラボレーションによって誕生したアイデア弁当だ。

 燻し鯖は、ノルウェー産のサバをアップルビネガー、ワインビネガー、赤ワインビネガー、イタリア・モデナ産バルサミコ酢のブレンド酢に漬け込んだ後にスモークし、昆布巻きの押し寿司に仕立てたもの。添付のナイフで好みのサイズに切り分けた後、別封のオリーブオイルと3種のペッパー(ブラック、ホワイト、ピンク)をつけて食べる。ブレンド酢が上品な香りを醸し出す中で、肉厚の昆布がサバの旨みを巧みに引き出しており、伝統に支えられた豊かな風味が口中いっぱいに広がる。

 消費期限は製造日から3日間となっているため、自宅に持ち帰って赤ワインやウイスキーを呑みつつ味わうのも楽しそうだ。

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鬼太郎ファミリーが描かれた妖怪列車で行く
  • 価格:1869円
  • 種類:海鮮系
  • 調製元:(株)米吾
  • 電話:0120-535-474
※掲載されているデータは平成25年4月現在のものです。

 

女王PROFILE 小林しのぶ 旅行ジャーナリスト・エキベニスト・駅弁愛好家

 駅弁の食べ歩きは20年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから"駅弁の女王"と呼ばれる。全国各地の調製元と新作駅弁の共同開発を手がけるほか、新聞、雑誌、ウェブ等に連載多数。プロデュースした駅弁は「1000号はっこう弁当」「東京もちべん」(東京駅)ほか。

 フードアナリスト。日本旅のペンクラブ会員。千葉県佐原市出身。

 近著に『全国美味駅弁 決定版』(JTBパブリッシング)、『五つ星の駅弁』(東京書籍)、『どんぶりこ』(交通新聞社) 、『超いまうまい帖』(ぶんぶん書房)、『すごい駅弁!』(メディアファクトリー)などがある。NEXCO東日本で展開している「どら弁当」の監修者でもある。

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