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駅弁の女王小林しのぶが選ぶ 絶対に食べたい駅弁

最高ランクの牛肉をすき焼き風に仕上げた極上弁当|佐賀牛すき焼き弁当|武雄温泉駅

 九州新幹線長崎ルートの停車駅になることが予定されている武雄温泉駅で、一昨年から販売されている駅弁。「九州駅弁グランプリ」では第8・9回と連続で、堂々の第1位を獲得して売上が急増している。

 中身はとてもシンプル。県産米を炊いたご飯の上に、牛肉の最高ランクを表わすA5等級の佐賀牛をのせた牛肉弁当だ。そもそも“佐賀牛”は、JAグループ佐賀管内で飼育される黒毛和牛の中で一定の基準を満たした牛肉を指し、それ以下は“佐賀産和牛”と称されるという。これほどの上質なブランド牛肉を使った弁当なのだから、味はお墨付きともいえる。すき焼き風の甘辛味に調理された牛肉は、冷めても柔らかさを失っておらず、舌の上でとろけるような肉質とジューシーな旨みを存分に味わえる。小細工をせず、極上の素材を生かすように考えた直球勝負の内容は感動的ですらある。

 いわゆる「牛肉弁当」はボリューム感に欠ける傾向があるが、この駅弁は深い容器にたっぷり詰められているため満足度は高い。佐賀を訪れた際は、九州駅弁ナンバーワンの味覚をぜひ体験してほしい。

同じく佐賀県の太良町ではカニが名物!
  • 価格:1260円
  • 種類:肉系
  • 調製元:カイロ堂
  • 電話:0954-22-2767

ビッグサイズの「でんすけ」を使った極上のアナゴ寿司|名代あなご寿司|姫路駅

 おもて面に弁当名を大書したパッケージを開けると、大きなアナゴを丸ごと1匹使った寿司が現れる。アナゴの特産地・明石市では、300g以上のアナゴを「でんすけ」と呼んで区別している。このアナゴは、「でんすけ」と呼ぶにふさわしいサイズだ。

 アナゴ寿司を詰めただけのシンプルな内容のため、中身には食べ飽きさせない工夫を凝らした。まずアナゴは、ほんのりと焦げ目がつくまで丁寧に焼き上げた後、甘辛の特製タレを絡めて味を整えた。この焼きアナゴと酢飯の間にシイタケ煮と山椒の佃煮を挟んだのも絶妙なアイデアで、シイタケの食感や山椒の佃煮のぴりっとした味わいがアクセントになって一本調子になるのを防いでいる。肉厚のアナゴをふっくらと焼き上げた手際も見事で、噛むほどに味わいが深まっていく。
 アナゴの旨み、甘辛のタレ、そして風味のよい酢飯が口中で渾然一体となる極上のアナゴ寿司。見た目はちょっと多いかな、と思われる量だが、うまいうまいと感嘆しているうちにあっという間に完食へと導かれてしまうこと間違いない。

「トレたび」おすすめプレイバック

姫路駅で買えるおいしい和スイーツを紹介

噴火湾産のホタテと醤油ご飯との取り合わせが絶妙|北海道老舗の噴火湾ホタテ弁当|苫小牧駅

 苫小牧市にある「まるい弁当」は、創業から1世紀以上が経過した老舗。この駅弁は、弁当製造の老舗が噴火湾産の良質なホタテをメーンにして仕上げたロングセラー商品だ。

 八角形の発泡材容器に香ばしい醤油ご飯を敷き詰め、その上にホタテ、蒸しエビ、昆布、錦糸卵、漬物を盛り付けた。大粒で肉厚の4つのホタテがごろごろと横たわる様子は、噴火湾の砂底に眠る“海の宝石”を眺めるかのよう。水のきれいな噴火湾で育てられたホタテは自家製の特製ダレで味付けられており、ホタテ自体のもつ甘みを活かしている。柔らかく、かつ弾力性に富むホタテの食感も見事。家ではとてもこのようにうまく煮含められない。噛むほどにホタテの旨みが内側からあふれ出て、薄口に仕上げた醤油ご飯との取り合わせも申し分ない。副菜の中でアクセントになるのは漬物。薄切りの大根を苫小牧特産のハスカップに漬けたもので、ほどよい酸味が食欲を促進させる。

 おかずをあれこれと盛り込まなかったのはホタテの味覚に対する自信の表れだろう。素材の旨みを丁寧な調理で際立たせた、磯の香り漂う名品である。

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ホッキの漁獲量全国一を誇る苫小牧へ!

牛丼とメンチカツ丼を一度に味わえる欲張り駅弁|甲州ワインで育った牛と豚の弁当(まんぷく甲斐?)|小淵沢駅

 大ヒット駅弁「元気甲斐」で知られる丸政が調製する肉尽くしの弁当。「(まんぷく甲斐?)」というのはサブタイトルで、これを見ただけで同社製とわかる仕組みだ。
 紙製のパッケージに収められた黒いトレーは2つに分かれており、ひとつには甲州ワインビーフを使用した牛丼、もうひとつにはご飯の上にキャベツとカツを盛り付けたソースメンチカツ丼が詰められている。甲州ワインビーフは、ワインを搾った後に残るブドウ粕を飼料として育った牛肉で、ブドウの皮や種、酵素などの働きにより、柔らかい肉質に改善されているのが特長。添付された練りワサビをつけると、牛肉の旨みがさらに引き立つ。メンチカツに使われているのは、山梨県産の白ワインを飲んで育ったワイン豚。濃口のソースをたっぷりふりかけているが、カツの下に敷かれたキャベツや野沢菜と一緒に食べると味覚がほどよく中和されて、よりおいしく食べられる。
 牛丼とメンチカツ丼を一度に味わえる欲張りな駅弁。地場産の食材をふんだんに使用し、完成度も高い。食後は、すっかり満腹となること請け合いだ。

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長坂~小淵沢間の鉄道写真スポットを紹介
  • 価格:1100円
  • 種類:肉系
  • 調製元:(株)丸政
  • 電話:0551-36-2521
※掲載されているデータは2013年7月現在のものです。

 

女王PROFILE 小林しのぶ 旅行ジャーナリスト・エキベニスト・駅弁愛好家

 駅弁の食べ歩きは20年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから"駅弁の女王"と呼ばれる。全国各地の調製元と新作駅弁の共同開発を手がけるほか、新聞、雑誌、ウェブ等に連載多数。プロデュースした駅弁は「1000号はっこう弁当」「東京もちべん」(東京駅)ほか。

 フードアナリスト。日本旅のペンクラブ会員。千葉県佐原市出身。

 近著に『全国美味駅弁 決定版』(JTBパブリッシング)、『五つ星の駅弁』(東京書籍)、『どんぶりこ』(交通新聞社) 、『超いまうまい帖』(ぶんぶん書房)、『すごい駅弁!』(メディアファクトリー)などがある。NEXCO東日本で展開している「どら弁当」の監修者でもある。

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