『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

  • mixiチェック

駅弁の女王小林しのぶが選ぶ 絶対に食べたい駅弁

無農薬の新鮮野菜を豊富に詰め合わせた鶏肉弁当|地鶏めし|松本駅

 信州ならではの食材をふんだんに使ったヘルシー駅弁で、カラフルな掛け紙には「彩りさわやか 無農薬新鮮野菜添え」という宣伝コピーが書かれている。調製元は、大正9年(1920)創業の老舗、イイダヤ軒。

 低農薬有機肥料で栽培した安曇野産コシヒカリを炊いたご飯の上には、おかずのメーンとなる地鶏の胸肉の照り焼きのほか、鶏そぼろ、錦糸卵、シイタケがのっている。これだけ見るとネーミングどおりの「地鶏めし」だが、副菜のパートにはリーフレタスや、赤とさかなどの海藻が色彩も鮮やかに詰め合わされており、存在を激しくアピールする。ドレッシングを別袋にしたのはよいアイデア。野菜がべちゃっとせず、新鮮野菜のぱりっとした感触を目と耳で楽しむことができる。野菜はボリューム豊富で、健康志向の人でも満足できるだろう。

 メーンの照り焼きを忘れてはいけない。厚みのある肉はやわらかく、しかもタレが十分にしみ込んでいるため濃厚な旨みを堪能できる。地場産のご飯との相性も抜群で、次回もリピートしたい名品である。

松本駅ではこれも外せない!月見五味めし!!
  • 価格:840円
  • 種類:肉系
  • 調製元:イイダヤ軒
  • 電話:0263-32-2319

デミグラスソースが和牛ハンバーグの旨みを引き出す|黒毛和牛のハンバーグ弁当|東京駅・新宿駅・大宮駅他

 和牛ハンバーグだけでも食欲をそそるのに、黒毛という名称までついては手を伸ばさずにいられない。3年前の発売直後は1週間限定でサービスのお茶がついていた。調製元のやる気があふれる駅弁だ。

 容器内は、ゴマをふりかけたご飯と、ハンバーグを中心としたおかずに二分されている。メーンは、ひき肉中の8割を黒毛和牛で作ったハンバーグで、ニンジン、ミニタマネギのコンソメ煮、ピーマン、ポテトの素揚げ、ジャンボマッシュルームの揚げ物を添えた。全体を眺めると、副菜はさておき、とにかくハンバーグを味わってほしいという強いメッセージが伝わる。

 肝心のハンバーグは、グリルした後、デミグラスソースで煮込み、特製デミグラスソースをたっぷりかけた。少々固めながらも和牛肉の旨味をしっかり生かしており、昔ながらの洋食店で食べるような味わい深さがある。さっぱりと仕上がったソースとの相性も抜群で、子どもから熟年まで上品な味覚を堪能できるはずだ。

 おかずはプラスチック容器に収められているため、持ち帰ってレンジで温めてから食べることもできる。

「トレたび」おすすめプレイバック

全国各地の牛めし弁当をご紹介!
  • 価格:980円
  • 種類:肉系
  • 調製元:(株)NRE大増
  • 電話:03-3810-7551

薄口のカレーご飯が牛肉のおいしさを引き出す|近江牛大入飯|米原駅

 明治22年(1889)の東海道線開通と同時に駅弁店をスタートさせた井筒屋が調製元。筆者が審査委員として参加した「地産地消駅の弁当メニューコンテスト」では、近畿農政局長賞を受賞した。

 内容は、カレー風味に炊き上げたご飯の上に、日本三大和牛のひとつといわれる近江牛のバラ肉を豪快にのせた牛丼弁当。地産地消をアピールする弁当だけに、和牛はもちろん米やタマネギ、付け合わせの赤かぶまで滋賀県米原市産を使用している。

 自家製タレで炒めた牛肉は冷めてもやわらかく、肉の旨味とタマネギの甘味が融合した深い味わいを醸し出す。“ハイカラ風味”と名付けられたカレーご飯は、見た目ほど辛くはなく、牛肉の味わいを邪魔しない。しかし折にふれてスパイスが刺激をもたらすため、味覚に変化がつき、たぶん牛丼好きでなくとも箸がぐいぐい進むだろう。厚切り肉を盛大に使っているためボリュームもたっぷりで、食後はすっかり満腹になる。弁当名の“大入”にも納得の名品といえそうだ。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

東海道本線に乗って名古屋から米原へ
  • 価格:1000円
  • 種類:肉系
  • 調製元:(株)井筒屋
  • 電話:0749-52-0006

彩りの豊富さで女性に人気の二段重ね弁当|おまつ御膳|金沢駅

 かつて放送されたNHK大河ドラマ『利家とまつ』にちなんで企画された駅弁。調製元の大友楼は、料亭として180年以上の歴史をもつ名店で、「おまつ御膳」のほか「利家御膳」も販売している。

 二段重ね容器の上段は酢飯の上に錦糸卵や海老、椎茸煮などをのせたちらし寿司で、下段には蓮万頭、蒲鉾、五目ダシ巻き卵、煮海老、煮物、笹に包んだ麸菓子などの多彩なおかずを詰め合わせた。二つの容器を並べると、加賀料理の伝統と格式を継承した調製元ならではの美しい色調に目を奪われる。おかずの中で存在感を示すのは、ピンク色の蓮万頭。デザートと間違えそうなこの料理は、上質なたらすり身を使用し職人の手作りでソフトな食感を演出。薄口の上品な味わいが酢飯ともマッチする。また、通常の卵焼きではなく五目ダシ巻き卵を採用するなど随所に工夫が凝らされており、職人技を楽しみながら食べ進むことができる。

 彩りの美しさで女性に人気の駅弁だが、男性がチョイスしても十分に満足できる内容だ。

  • 価格:900円
  • 種類:お寿司
  • 調製元:(株)大友楼
  • 電話:076-221-1758
※掲載されているデータは2013年10月現在のものです。

 

女王PROFILE 小林しのぶ 旅行ジャーナリスト・エキベニスト・駅弁愛好家

 駅弁の食べ歩きは20年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから"駅弁の女王"と呼ばれる。全国各地の調製元と新作駅弁の共同開発を手がけるほか、新聞、雑誌、ウェブ等に連載多数。プロデュースした駅弁は「1000号はっこう弁当」「東京もちべん」(東京駅)ほか。

 フードアナリスト。日本旅のペンクラブ会員。千葉県佐原市出身。

 近著に『全国美味駅弁 決定版』(JTBパブリッシング)、『五つ星の駅弁』(東京書籍)、『どんぶりこ』(交通新聞社) 、『超いまうまい帖』(ぶんぶん書房)、『すごい駅弁!』(メディアファクトリー)などがある。NEXCO東日本で展開している「どら弁当」の監修者でもある。

バックナンバー

このページのトップへ