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駅弁の女王小林しのぶが選ぶ 絶対に食べたい駅弁

生ワサビ付きで楽しめる3種類のアジ寿司|港あじ鮨|沼津駅

 1891(明治24)年創業の老舗、桃中軒が調製する人気駅弁。沼津名産のアジをメーンとする「押し寿司とは異なる駅弁」をつくるために半年以上かけて開発に取り組み、完成にこぎつけた。

 紙製の容器には、「にぎわい鯵鮨」「ぬまづ鯵鮨」「鯵わい太巻き」と名付けられた3種類の寿司が詰められている。にぎわい鯵鮨は、伊豆天城産のワサビの茎の塩漬けを混ぜた握り寿司を色鮮やかなワサビの葉で包んだもの。ぬまづ鯵鮨は、獲れたてのアジをオリジナルの酢で締めた本格江戸前寿司で、帯状に巻いたシソの葉が目印となる。そして、中心に置いたアジの切り身を酢飯と海苔で巻いたのが鯵わい太巻き。かぶりつくと、アジと海苔が醸し出す海の香りが口中を満たす。

 バラエティーに富んだ3種類の寿司だけでも十分に満足だが、これに風味とアクセントを加えるのが伊豆天城産の生ワサビ。添付された小さなおろし金を使ってすりおろし、醤油をつけて寿司を食べるのが桃中軒お勧めの味わい方。ツンとくる刺激とともにワサビ特有の香りが立ち上り、食欲を増進させる。

“乗って見て撮って愛でる”近郊列車で行く富士山をめぐる旅
  • 価格:880円
  • 種類:海鮮系
  • 調製元:(株)桃中軒
  • 電話:055-963-0154

色合いの美しい押し寿司はとろりと甘いエビが主|甘えび寿し|加賀温泉駅

 全国でも珍しい、甘エビをメーンにした押し寿司弁当。使っているのは日本海の近海で揚がるホッコクアカエビだが、食べたときに甘い味がすることからこの通称で呼ばれるようになったという。

 紙製の箱を開けると、真空パックされた棒寿司が現れる。石川県産のコシヒカリを使った銀シャリと桜色の甘エビのコンビネーションが美しく、中央にトッピングされた山椒の芽も爽やかなアクセントになっている。甘エビは、塩で締めてから一匹ずつ丁寧に殻をむいたもので、この素材を押し型に敷き、酢飯を詰めて軽く押すと寿司が完成する。添付されたナイフで切り分けるのももどかしく、さっそくひと口。とろっとした甘い味覚とぷりっと弾けるような食感が見事で、食べはじめると手が止まらなくなる。調製元伝統の酢を混ぜたご飯も洗練された味わいで、甘エビの旨みを存分に引き出している。押し寿司タイプなのでボリュームもたっぷりだ。

 調製元の高野商店は、福井県で代々旅館業を営んできた老舗。

「トレたび」おすすめプレイバック

こちらも名物!加賀温泉駅の「かにすし」
  • 価格:1250円
  • 種類:海鮮系
  • 調製元:(株)高野商店
  • 電話:0761-72-3311

オホーツクの二大海産物、タラバとイクラがどっさり|磯宴(たらば・いくら)|網走駅

 昭和の初頭から網走駅構内で弁当販売を行っている老舗、モリヤ商店が展開する磯宴(いそうたげ)シリーズのひとつ。容器を収めるパッケージの中央をくりぬき、中身が見えるように工夫している。

 内容は、オホーツクの海の幸として人気のタラバガニとイクラをたっぷり味わえる海鮮弁当。甘めに味付けした茶飯の上にカニのほぐし身を敷き、さらにタラバガニの太い棒身を2本のせた。サイドには錦糸玉子と醤油漬けにしたイクラを添えており、色彩の美しさが食欲をそそる。さっそく棒身にかぶりつくと、想像以上に弾力があり、甘みを含んだ濃厚な旨みが口中に広がる。厚めに敷かれたほぐし身もその下の茶飯も甘口だが、カニ本来の味覚が隅々まで行き渡っているため全体の調和がとれており、うまいうまいと感動しているうちに完食へと導かれてしまう。

 この駅弁は、駅構内にある待合室の売店で販売されている。時間帯によっては注文販売となり、受け取るまでに10分ほど要することもある。時間に余裕をもって購入するとよいだろう。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

釧路駅から網走駅へ
  • 価格:1260円
  • 種類:海鮮系
  • 調製元:モリヤ商店
  • 電話:0152-43-2015

冷めてもおいしい新品種米つや姫は駅弁に最適|やまもり弁当|山形駅

 山形駅で弁当販売を行っている森弁当部が調製。長方形の容器を覆いつくす大きな懸け紙には、“つや姫デビュー記念弁当”と記載されている。つや姫は、2010年から販売されている米の新品種で、産地の山形県ではコシヒカリよりもおいしいと盛んにPRしている。

 フタを開けて驚くのは、ぎっしりと盛られた白飯のボリューム。全体のほぼ半分を、つやつやとしたご飯が占めている。弁当名のやまもりは、「やま形県・もり弁当部」の略称だと思っていたが、白飯の「山盛り」でもあったのだ。ふっくらと炊き上がったご飯は甘みと旨みがあり、冷めてもおいしい。駅弁にぴったりの新品種といえそうだ。

 おかずには鶏の照り焼き、塩鱒、牛カルビ、豚角煮、玉こん、しそ巻きなど山形の味覚をふんだんに詰め込んだ。中でも「里芋入り巾着」は絶品。とろけるようにやわらかい里芋が巾着の中に隠されており、巧みな職人技に感心させられる。濃すぎない程度に抑えた、おかずの味つけは見事。山形を訪れた際はぜひ味わってほしい名品だ。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

山形県のワイナリーと温泉を楽しむ旅
  • 価格:1100円
  • 種類:幕の内
  • 調製元:森弁当部
  • 電話:023-623-1380
※掲載されているデータは2013年12月現在のものです。

 

女王PROFILE 小林しのぶ 旅行ジャーナリスト・エキベニスト・駅弁愛好家

 駅弁の食べ歩きは20年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから“駅弁の女王”と呼ばれる。全国各地の調製元と新作駅弁の共同開発を手がけるほか、新聞、雑誌、ウェブ等に連載多数。プロデュースした駅弁は「1000号はっこう弁当」「東京もちべん」(東京駅)ほか。

 フードアナリスト。日本旅のペンクラブ会員。千葉県佐原市出身。

 近著に『全国美味駅弁 決定版』(JTBパブリッシング)、『五つ星の駅弁』(東京書籍)、『どんぶりこ』(交通新聞社) 、『超いまうまい帖』(ぶんぶん書房)、『すごい駅弁!』(メディアファクトリー)などがある。NEXCO東日本で展開している「どら弁当」の監修者でもある。

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