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駅弁の女王小林しのぶが選ぶ 絶対に食べたい駅弁

風味のよい国産しらすはあっさりと上品な仕上がり|しらす弁当|大船駅・鎌倉駅他

 いまやすっかり湘南名物となったしらす。高級食材だが湘南海岸沿いにはしらす料理を出す店が軒を連ねている。このしらすをメインにした駅弁を創作したのは、進取の気性に富んだ大船軒。その歴史は鉄道の日にちなんだ記念弁当として2006年10月14日に30個限定で販売したことから始まる。このとき好評を得たため翌月から通年の発売を開始。2012年に内容のリニューアルを行い、現在に至っている。

 以前の容器は長方形だったが、現在は中央にふくらみをもたせた船形の器を採用している。ご飯の上には、国産しらすをたっぷりのせ、さらにアオサのりと桜エビを散らして彩りを添えた。しらすは、釜揚げした後、ゴマ油で香りをつけている。ほどよい塩加減とゴマ油の風味が見事にマッチしており、香りと味のよさはこの上ない。桜エビを加えた食感のギャップもおもしろく、箸がどんどん進む。 蒸し鶏塩タレ和えをはじめ、煮物7種類、アサリの時雨煮、卵焼きなどを詰め込んだおかずも充実。全体的に上品で淡泊な味に仕上がっており、食後は湘南の風を全身に浴びたような爽快な気分を味わわせてくれる。

首都圏近郊のおでかけはグリーン車で!
  • 価格:880円
  • 種類:海鮮系
  • 調製元:(株)大船軒
  • 電話:0120-014541

味付けご飯の上に大粒の栗がごろごろと横たわ|栗めし|人吉駅

 人吉盆地は古くから栗の名産地として知られる。この特徴を生かして1965(昭和40)年に誕生したのが駅弁「栗めし」。発売以来、多くのファンに愛され、現在では調製元自慢のロングセラーになっている。

 売店ですぐに目につく栗形の容器。フタを開けると、味付けご飯の上に大きな栗の実をのせた中身が現れる。地元の球磨地方でとれた栗は甘味があり、さっぱりと塩味をきかせたご飯が栗の旨みを増幅させている。ご飯には隠し味としてカンピョウが混ぜられており、食感にも絶妙な変化がつけられている。シンプルだが味わい豊かで、うっかりするとご飯と栗だけでどんどん食べ進んでしまう。副菜はエビ、ヒジキ、フキ、レンコン、高野豆腐、肉団子、卵焼きなど。いずれも素朴な味付けで飽きさせず、しかも手づくりの温もりを感じさせる。中でもきゃらぶきの佃煮は絶品で、酒肴としても大いに役立つ。

 人吉駅では不定期だが駅弁の立ち売りも行われており、人気の駅弁を購入できる。見かけたら声をかけてみよう。

「トレたび」おすすめプレイバック

人吉といえば「SL人吉」!
  • 価格:1000円
  • 種類:炊き込み
  • 調製元:人吉駅弁やまぐち
  • 電話:0966-22-5235

手づくりの温もりを感じるホッキ貝入りおにぎり弁当|母恋めし|母恋駅他

 母恋(ぼこい)という地名は、アイヌ語の“ポク・オ・イ”からつけられたといわれる。その意味は、「ホッキ貝がたくさんある場所」。ホッキ貝はウバガイ(姥貝)を正式名称とする二枚貝で、その別名がホッキ貝(北寄貝)。室蘭の内浦湾や苫小牧などでよくとれる。地元名産のホッキ貝の炊き込みご飯をおにぎりにしたのがこの駅弁だ。

 炊き込みご飯は、手間を惜しまずにつくられている。まず地元の湧き水に昆布と鰹節を入れたダシ汁に醤油や酒、味醂、蜂蜜などを加えて煮立てる。沸騰が収まったらホッキ貝を入れ、色が変わったら貝を取り出す。釜に北海道産米を入れ、薄切りにしたシイタケやダシ汁などを加えて炊き上げる。最後に、取り出しておいたホッキ貝を入れ、おにぎりの形に仕上げて完成だ。おにぎりは2つで、ひとつは貝殻の中に入っている。ラップをはがしてほお張ると、ほのかな甘さが感じられて、とてもおいしい。 リンゴのチップでいぶす燻製チーズ、ゆで卵を塩漬けにした燻製卵なども添えられており、十分に満足できる内容だ。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

苫小牧駅でもほっきめし!
  • 価格:980円
  • 種類:炊き込み、海鮮系
  • 調製元:ブロートン99
  • 電話:0143-27-2777

冷めてもうまい高級ブランド肉を味わいつくす|豊後牛めし|大分駅

 90年近く営業を続けてきた梅乃家が2007年に駅弁販売から撤退。その後を受けた弁当製造業の「ビオティックジャパン」が調製している。

 駅弁名を大書した掛け紙で容器を包む。中身は、糸コンニャクと一緒に甘辛く煮込んだ牛肉を、ご飯が隠れるほど豪快にのせた牛めし弁当。メイン食材の豊後牛は、大分県から始まった一村一品運動によって誕生した地域ブランド牛で、2002年に開催された「全国和牛能力共進会」では日本一(内閣総理大臣賞)の栄誉に輝いた。

 牛めし弁当は、かき込むように食べるのがよい。特製のタレに漬け込んだ牛肉は歯切れがよく、かみ締めるたびに肉の旨味を味わえる。ご飯の炊き加減も絶妙で、牛肉の味を巧みに引き立てる。何よりうれしいのは冷めても味が変わらないこと。やわらかい肉質の中に旨みをしっかり感じとれるのは、上質な肉を使用している何よりの証しといえる。彩りよく添えられた高菜の漬物、紅ショウガなどの付け合わせは箸休めにぴったり。見栄えはシンプルだがボリューム感もあり、値段にふさわしい見事な仕上がりだ。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

日豊本線で小倉駅から大分駅へ
  • 価格:1500円
  • 種類:肉系
  • 調製元:(株)ビオティックジャパン
  • 電話:0974-24-5556
※掲載されているデータは2014年1月現在のものです。

 

女王PROFILE 小林しのぶ 旅行ジャーナリスト・エキベニスト・駅弁愛好家

 駅弁の食べ歩きは20年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから“駅弁の女王”と呼ばれる。全国各地の調製元と新作駅弁の共同開発を手がけるほか、新聞、雑誌、ウェブ等に連載多数。プロデュースした駅弁は「1000号はっこう弁当」「東京もちべん」(東京駅)ほか。

 フードアナリスト。日本旅のペンクラブ会員。千葉県佐原市出身。

 著書に『全国美味駅弁 決定版』(JTBパブリッシング)、『五つ星の駅弁』(東京書籍)、『どんぶりこ』(交通新聞社) 、『超いまうまい帖』(ぶんぶん書房)、『すごい駅弁!』(メディアファクトリー)などがある。NEXCO東日本で展開している「どら弁当」の監修者でもある。

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