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駅弁の女王小林しのぶが選ぶ 絶対に食べたい駅弁

やわらかさを増した蒲焼きとご飯の相性が抜群|うなぎ弁当(赤ワイン仕込)|浜松駅

 浜松の特産品といえば、うなぎ。浜名湖では1世紀以上前からうなぎの養殖が始まり、戦後から昭和40年代中ごろにかけて生産量を増やした。うなぎ弁当も各社が古くから販売しており、人気は安定して高い。そこに割って入ったのが、創業160年の自笑亭。長年の研究の末、うなぎを赤ワインに漬け込むとやわらかい食感に仕上がることを発見した。

 この駅弁の登場は2001年。浜名湖産のうなぎを軽く蒸してから赤ワインに漬け、表を2回、裏を1回焼いて仕上げている。アルコールは焼き工程で飛ばされるが風味は残されており、フタを開けると香ばしい匂いがふわりと立ち昇る。

 肝心の味覚はどうか。何より驚かされるのは蒲焼きのふっくら感だ。口中に入れてもなおフワフワとした食感を楽しめるが、コシがあり歯応えも十分で文句なしにうまい。硬めに炊いたご飯との相性も見事だ。

 容器にはカップ入りのタレ、山椒、わさび漬けが添えられている。中でも秀逸な味わいなのがわさび漬けで、タレの甘さを巧みに緩和させながら完食へと導く。浜松のうなぎここにあり、をしっかりアピールする内容充実の駅弁だ。

  • 価格:2500円
  • 種類:海鮮系
  • 調製元:(株)自笑亭
  • 電話:053-442-2121

2組の親子がそろい踏み。ユニークな海鮮系駅弁|にしんかずのこさけいくら|長岡駅

 早口言葉のようなネーミングがユニークだ。紙製のパッケージには、サケやニシンを水揚げする漁のイラストと弁当名がプリントされており、「中身はどうなっているの?」と興味を抱かせる。

 容器内の4つのトレーには、ニシンとカズノコ、サケとイクラという2組の海の幸の親子の料理が収まる。ニシン親子から紹介すると、味付けご飯に上にのるのは身欠きニシンの甘露煮とカズノコの塩漬け。サケ親子の料理は、イクラとサケフレークのコラボのほか、笹の葉にくるんだサケ寿司というラインナップ。親子対決としては、カズノコに肩入れしてしまう。ふっくらと炊き上がったニシンの甘露煮は、厚い身の芯までタレが染み渡って極上の仕上がり。駅弁のおかずとしては珍しいカズノコも、シャキッとした歯応えと上品な味わいの融合が見事で、2切れで終わってしまうのが残念なほど。

 4つの料理はいずれもご飯がつけられているので、ボリューム的にも大満足。調製元の海鮮系駅弁としては一番人気というのも納得の出来栄えだ。

  • 価格:1050円
  • 種類:海鮮系
  • 調製元:(株)池田屋
  • 電話:0258-33-2430

肉汁と甘辛ダレが絡み合ったトンカツがうまい|白金豚弁当|花巻駅

 花巻市内にある「まるろく」が調製する駅弁。発泡材でつくった枠に赤いプラスチック製容器を収めている。中身は、白いご飯の上に白金豚(はっきんとん)のカツをのせたトンカツ弁当だ。

 白金豚は、高源精麦がオリジナル生産するブランド豚。この名称は、宮沢賢治が『フランドン農学校の豚』の中で豚が上質な食肉を産み出す様子を「自然界の触媒だ! 白金と同じ事なのだ」と表現したことに由来するという。現在は、山間の湧き水を釜石産の鉱石でろ過したミネラル豊富な活性水を飲ませて育てている。こうした努力の積み重ねにより、やわらかい肉質と、まろやかな味わいが特長の良質な豚に成長している。

 味噌ダレをかけた白金豚のカツはつやつやと黄金色に輝いており、いかにもおいしそう。さっそく一切れつまんでみる。カツは冷めてもさくっと歯切れがよく、肉汁と甘辛のタレが絶妙に絡み合った極上の味覚が口いっぱいに広がる。トンカツ好きなら、ご飯がもりもりと進むこと請け合いの逸品だ。

 付け合わせは、ゆで卵、菜の花の辛子和え、漬物(味噌漬け)。このうち漬物は6枚も入っており、丁寧な仕上がりに心が和む。

  • 価格:1000円
  • 種類:肉系
  • 調製元:まるろく
  • 電話:0198-23-2825

旨みたっぷりの宮崎県産のシイタケを使った駅弁|元祖椎茸めし|宮崎駅

 発売から半世紀以上が経つロングセラー駅弁。この弁当を食べてシイタケが好きになったというファンも多く、昭和の時代から宮崎県を代表する駅弁のひとつだ。

 ふたを開けるとどこか懐かしい盛りつけ。鶏がらスープで炊いたご飯の上にシイタケの切り身、鶏そぼろ、錦糸卵がのり、昭和30年~40年代に母が詰めてくれた弁当を思い出す。シイタケは、宮崎県産の上質な干しシイタケを水で戻した後、甘辛汁でじっくりと煮込んだもので、弾力性があり肉のよう。かみ締めるたびにシイタケの旨味と甘辛いタレの風味のコラボが口の中いっぱいに広がる。卵焼きなどのおかずと炊き込みご飯との相性も抜群で、ひとつひとつ手作りしているのがわかる。ほかに高野豆腐、かまぼこ、煮物など。デザートは季節ごとに変わるが、中心となる内容は発売以来ほとんど変わっていないとのことで、県産の素材を生かした完成度の高さへの自信がうかがえる。

 椎茸めしに、煮物や焼き物などのおかずを加えた2段重ねの「上等椎茸めし」(920円)も販売されている。どちらを選んでも千円札1枚でおつりがくるリーズナブルな価格がうれしい。

■「トレたび」おすすめプレイバック■

古代ロマン漂う神秘の国・宮崎へ
  • 価格:720円
  • 種類:炊き込み
  • 調製元:宮崎駅弁当(株)
  • 電話:0985-24-2913
※掲載されているデータは2014年2月現在のものです。

 

女王PROFILE 小林しのぶ 旅行ジャーナリスト・エキベニスト・駅弁愛好家

 駅弁の食べ歩きは20年以上に及び、食べた駅弁の数が5000を超えることから“駅弁の女王”と呼ばれる。全国各地の調製元と新作駅弁の共同開発を手がけるほか、新聞、雑誌、ウェブ等に連載多数。プロデュースした駅弁は「1000号はっこう弁当」「東京もちべん」(東京駅)ほか。

 フードアナリスト。日本旅のペンクラブ会員。千葉県佐原市出身。

 著書に『全国美味駅弁 決定版』(JTBパブリッシング)、『五つ星の駅弁』(東京書籍)、『どんぶりこ』(交通新聞社) 、『超いまうまい帖』(ぶんぶん書房)、『すごい駅弁!』(メディアファクトリー)などがある。NEXCO東日本で展開している「どら弁当」の監修者でもある。

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