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ネーミングの妙と歴史、調べます『国鉄&JR列車名研究所』人と同じように列車にもそれぞれ名前がある。ネーミングが“キラリ”と光る列車たち。その名前に込められた想いと、その列車の歩んできた道のりを調べてみました。

第1回 「やまびこ」

東北本線の気動車準急時代、福島、宮城、岩手3県を日帰り往復できることから、その愛称が付けられた「やまびこ」。「山彦」は「こだま」と同義語で、前年にデビューしたビジネス特急「こだま」の東北版、ビジネス準急をアピールしましたが、東北の山並みに「山彦」が響く牧歌的なイメージも大きくあります。東北新幹線開業時は一般公募され「やまびこ」は第5位でしたが、在来線での実績が評価され採用されることになりました。

東北新幹線開業時に発行された記念切手

第1章 在来線特急「やまびこ」誕生

 昭和34年2月1日、福島〜盛岡間の東北本線の気動車準急として「やまびこ」は誕生しました。キハ55系が使用されたビジネス準急で、後には青森まで延伸され長距離列車に発展しましたが、「やまびこ」としての運転は長く続かず、昭和38年10月1日改正で「あぶくま」「むつ」に分割され消滅します。

 昭和38年10月1日改正では上野〜秋田間の気動車特急「つばさ」に盛岡編成が増結されます。この盛岡編成は、仙台〜盛岡間電化完成の昭和40年10月1日改正で、上野〜盛岡間の電車特急として独立し、愛称を「やまびこ」としました。

 特急「やまびこ」は上野〜盛岡間を気動車の「つばさ」時代より25分短縮させた7時間5分で結び、当時最速の「はつかり」を追い抜きました。

 車両には「雷鳥」等で実績を積んでいた481系交直流特急形電車の50Hz版である483系が新製投入されました。編成は10両で食堂車と一等車(グリーン車)が連結してあります。

 昭和43年10月改正など特急列車の増発が行なわれ、東北本線では「ひばり」「はつかり」などが増発され華やかな活躍を見せますが、「やまびこ」はそれら特急列車を主役に、常にサポートしながら走りづけます。昭和46年7月に毎日運転の臨時特急「やまびこ71号」が登場し、「やまびこ」はようやく2往復に増強されます。昭和47年3月15日改正では「やまびこ71号」が定期化され、また1往復の増発が行なわれ「やまびこ」は3往復体制になります。さらに、このうちの1往復は東京駅に乗り入れを行ない、東京〜盛岡間が6時間10分で結ばれました。

 昭和53年10月1日改正では絵入りヘッドマーク化され、1往復が加わり4往復運転となり華やかになりましたが、特急「やまびこ」は東北新幹線開業でその使命を終え、愛称は名誉にも新幹線に譲ることになりました。昭和57年6月22日、上野〜盛岡間で4往復の「やまびこ」がラストランを行ないました。

特急やまびこ 東北本線船岡付近(S45.4)
東北本線を快走する「やまびこ」。クロ、クハ481ボンネット車は昭和48年に姿を消した
特急やまびこ 上野駅(S57.6.22)
485系で活躍をした晩年の姿。北海道向けの1500番台も転属し見ることができた

第2章 東北新幹線で大活躍

 昭和57年6月23日、東北新幹線大宮〜盛岡間が開業。「やまびこ」は新幹線列車となり同区間を3時間17分で結び飛躍的に時間が短縮されました。編成は12両でビュフェ車とグリーン車が連結されました。昭和60年3月14日改正では上野駅が開業し、最高運転速度240km/hでスーパー速達タイプの「やまびこ」が登場。所要時間は2時間45分となりました。

 平成2年には使用車両の200系に2階建て車両が登場。開放型のグリーン室と1・2人用グリーン個室、4人用普通個室で構成され、翌年にはカフェテリア車も加わり、16両編成が現れました。同年6月には東京乗り入れも果たし「やまびこ」は華やかで活況を呈し、控えめだった在来線時代とは比較にならないほど飛躍をします。

 平成4年7月1日改正では日本初の新在直通運転となる山形新幹線が開業し、東京〜福島間では新設の「つばさ」に「やまびこ」が併結して走ります。車両も200系ばかりでしたが、平成6年にはオール2階建てのE1系「Max」がデビュー。そのスタイルと設備に人々は驚きました。

 平成9年3月22日改正では秋田新幹線が開業。「こまち」が登場し、東京〜盛岡間では「やまびこ」に併結されて運転されます。この改正では最高運転速度275km/hの「やまびこ」がE2系により設定され、東京〜盛岡間を最速2時間21分で結びます。同年には新しいオール2階建て車両、E4系もデビューします。

 平成14年12月1日改正では、八戸へ延伸開業し、これにより「はやて」が新設。「やまびこ」速達列車は同列車に譲り、次第に「はやて」のサポートへと移行していき速達列車も廃止されます。

 現在、「やまびこ」は200系、E2系、E3系、E4系で運転され、速達列車は「はやて」に譲っていますが、東北の主要都市を連絡し首都圏を結び、依然、重責を担う動脈列車として大きく君臨しています。

200系
開業当時からの古強者200系。現在も緑帯のオリジナル塗色に戻され元気に活躍中だ
E2系
主力となるE2系。最高運転速度275km/hで「はやて」に劣らない走りをする
E4系
大量輸送のE4系Max。E3系「つばさ」を併結して15両編成で運転を行なう

魅力の200系2階建て車両

 現在でこそオール2階建てのMAXの登場により2階建て車は一般的ですが、200系2階建て車がデビュー当時は東海道・山陽新幹線の100系に並んで大きく注目されました。階上は眺めのよいグリーン席、階下はプライベートが保たれる1・2人用グリーン個室、木製テーブルのある向かい合わせのオープンタイプの4人用普通個室で、これにカフェテリア車が加わり、ゆったりと過ごせ大変に魅力的で好評でした。

 しかし、後に最高運転速度275km/hのE2系など、速達、大量輸送の新系列の後継車が登場すると徐々に活躍の場が狭まり、普通個室は「トレインマッサージ」として開店するなど晩年はユニークな営業も見られましたが、平成16年3月に定期運用から離脱。後に廃車されてしまいました。

200系2階建て
東海道・山陽新幹線100系同様、特別な存在感があった2階建て車

文・写真:斉木実  写真協力:交通新聞サービス、裏辺研究所
※掲載されているデータは平成22年9月現在のものです。

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