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テツペディア ちょっと気になる鉄道雑学 Vol.14 パンタグラフ

電車や電気機関車の屋上に取り付けられたパンタグラフ

集電靴は英語の“collector shoe”を日本語に訳したもの

電車や電気機関車の屋上に取り付けられたひし形の装置。
みなさんも見たことがあるのではないでしょうか。
これはパンタグラフと呼ばれる集電装置。
今回は、知っているようで意外と知られていないパンタグラフの秘密に迫ります。

パンタグラフの役割は?

電車や電気機関車は、車内にエネルギー源を積まない代わりに、外部から送電線を伝って電気を取り入れています。電気の供給を受けるこの装置を“集電装置”と呼びます。
電力の供給システムは大きく分けて、電車線方式と第三軌条方式の2種類。
パンタグラフは前者で、架空線(上空に張られた電線)から電力を取り入れます。
一方、第三軌条方式は、列車の外部に集電靴(しゅうでんか)と呼ばれる装置を付け、第三軌条と呼ばれる電気供給用のレールから電気を集めます。
パンタグラフは、集電装置の種類の一つでしたが、現在では広義で集電装置の総称として使われています。

上に付いている弓の形をした部分が集電舟

ひし形の秘密

ひし形になっているのは、車両が前後どちらの方向に進んでも同じように作用させるためです。上部の弓状をした部品は集電舟と呼ばれます。下に付いている筒状のバネに押し上げられ、これが架線と接触することで列車に電力を取り入れているのです。
ちなみに、集電舟の一部分だけが磨り減らないように、直線区間の架線はジグザグに張られています。

パンタグラフの名前の由来

日本で初めてのパンタグラフは、大正3年(1914)12月20日の東京駅開業と同時に、京浜線(現在の京浜東北線)の電車に搭載されたもの。形は現在のものとは異なり、トロリーポールと呼ばれる、1本の棒をトロリ線に接触させているだけの集電装置でした。
パンタグラフという名前は、原図をなぞることで絵や図の大きさを拡大、縮小して写し取ることのできる製図具に由来。形と動きが製図器具のパンタグラフに似ていることから転じて列車装置の名称になりました。

集電装置のいろいろ

トロリーポール

図:トロリーポール

最も古くから使われている集電装置。ポールの先端にホイールが取り付けられていて、その溝を架線に接触させることで集電。構造が簡単でコストが安い反面、集電できる方向が決まっているため、進行方向を変えるたびに人力でポールの向きを変えなければならないという短所も。現在では、一部の路面電車やトロリーバスで使われています。

ビューゲル

図:ビューゲル

トロリーポールに代わって登場した集電装置。トロリーポールとは異なり、関節がなく本体の枠と集電舟が一体になっています。こちらも路面電車などで使用されています。

Zパンタグラフ

図:Zパンタグラフ

ビューゲルの改良型として開発。枠組みの途中部分が折り曲げられていて、どちらの進行方向にも対応することができますが、高速運転には向きません。

シングルアーム式パンタグラフ

写真:シングルアーム式パンタグラフ

「く」の字型のアームが付いたパンタグラフ。風を切る音や摩擦によって生じる音の減少、ひし形パンタグラフよりも占有面積が小さいなどの長所があり、最近の主流になっています。

集電装置の種類を見てみると、その変遷がよく分かります。
列車に乗る際にふと見上げて、パンタグラフの形をチェックしてみるのも面白いかもしれませんね。

次回は、「手回り品」を紹介します!

※参考資料
『鉄道用語の不思議』 P125
『鉄道のしくみ』 P76
『詳細 鉄道用語辞典』
鉄道博物館ホームページ
イラスト:
熊谷 江身子

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