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テツペディア ちょっと気になる鉄道雑学 Vol.16 列車の冷房

毎日暑い日が続きますね。そんな夏の通勤や通学には欠かせない列車内の冷房。
なぜ冷風は上から出てくるの? 弱冷房車はいったい何度に設定されているの?
今回は、私たちの生活に欠かせない列車の冷房システムの仕組みに迫ります。

なぜ冷える!?知っているようで知らない冷房の仕組み

冷房の仕組み(※図解は簡略化したものです)

列車の冷房は、家庭用のエアコンと基本的な仕組みは変わりません。エアコンは、「室内機」と「室外機」がセットになっています。室内機は部屋の中に設置され冷風を噴出する装置。室外機は部屋の外にあり熱風を排出する装置。室内機と室外機はパイプでつながれ、その中を「冷媒」という物質が循環しています。

室内の暑い空気中には、「」が多く含まれています。その熱を冷媒に取り込み室外に放出することで、室内の温度を下げています。つまり、冷媒とは、空気中の熱だけを運ぶ乗り物のようなものなのです。

室内機の中では、冷媒が液体から気体の状態に変化し、そのとき発生する「気化熱」(液体が気体になる時に熱を奪うこと)によって室内の熱を奪っています。つまり、乗り物である冷媒は熱を乗せて室外へと向かい、熱を奪われた冷たい空気は送風機によって室内に送り出されるのです。

室内機の熱交換器で熱だけが冷媒に乗ると、空気は冷たくなり排出されます。一方、熱を乗せた冷媒は、室外機までたどりつくと、熱交換器で気体から液体に圧縮されます。熱を奪われた冷媒はまた熱を受け取りに室内機へ向かいます。この一連の循環が冷房です。その時に生じた「凝固熱」は、熱風として室外に排出されます。そのため、室外機から出る風は熱いのです。

では、列車の冷房にはどんな種類があるのでしょうか。

中央線の集中式クーラ

485系の分散式クーラ(写真は特急「きぬがわ」)

横流ファンの吹出口と扇風機

冷房にはどんな種類があるの?

車両用の冷房装置は、冷房機器(クーラ)ユニットの配置場所により、集中式分散式集約分散式などに分かれます。

集中式は、1車両を1台のクーラで冷房する方式。車体中央の屋根上または床下に大型の冷房装置1台を設置し、天井裏のダクトを通して冷風を噴出します。長所は、機器が1台で済むため安価、保守点検が容易なこと。短所は万一故障した場合、車両全体に影響が及んでしまうことでしょう。集中式は、見た目は1台でも、中には2組の冷却機が搭載されているものもあります。JR東日本の通勤列車などによく見られるシステムです。

分散式は、1車両を小型のクーラ複数台で冷房化する方式。冷風ダクトはなく、装置ごとに吹出口が付いています。長所は騒音源が分散することや、万一1台が故障しても冷房が効かなくなることがないこと。短所は、クーラの数が多いため保守コストがかかることです。クーラユニットが多いためにパンタグラフとの併置は難しく、485系電車のうちのパンタグラフのない車両などで見られます。【パンタグラフの記事はこちら!

集約分散式とは、集中式と分散式それぞれの利点を生かそうと考案された方式。中型の冷房装置を、分散式(6~8台)より少なく搭載します。保守コストは分散式よりかからず、1台が壊れても冷房機能が継続、車体を補強する際には集中式より軽装で済むのです。

そのほか、冷房では車内を均等に冷やす工夫もなされています。最近では、クーラは、吹出口の内側にファンが回っている「横流(おうりゅう)ファン」が主流になってきています。少し古めの車両では、天井に扇風機が付いていて、懐かしい感じを醸しています。

「弱冷房車」の表示

弱冷房車は何度に設定されている?

ところで、ほとんどの列車には、弱冷房車(関西では「弱冷車」ともいいます)が1~2車両連結されています。それらの車内温度は、いったい何度に設定されているのでしょうか。

普通の冷房車の温度は、ほぼ25~26度に設定されています。それに比べて、多くの弱冷房車は、2度高い27~28度に設定されています。冷房が効きすぎている場合や、冷え性の人には、適度な温度といえるでしょう。

暑い外から乗車したとき、涼しい車内は嬉しいですよね。しかし、冷房が強く効いたエリアに長時間いた後、再び暑い外気にさらされると乳幼児やお年寄り、女性などは「冷房病」になることもあります。列車内に限らず、夏の日本ではどこでも起こりうることです。冷房車と弱冷房車を上手に乗り分けて、快適な夏を過ごしましょう。

写真協力:裏辺研究所(裏辺金好)

次回は、「フルムーンきっぷ」を紹介します!

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