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テツペディア ちょっと気になる鉄道雑学 Vol.25 みどりの窓口

誰もが知ってる「みどりの窓口」。JRグループのきっぷ類の発券だけでなく、レンタカーや航空券、旅館・ホテルの宿泊予約もできちゃいます。
こんな便利な窓口ですが、将来なくなるかも!?と予測している人もいるんです。
設置から46年目を迎えた「みどりの窓口」について調べてみました。

指定席予約を「職人技」からコンピュータに

東京駅八重洲口にある「みどりの窓口」。午後11時まで営業していて便利だ


 「来週の水曜日、○△駅午前11時着の新幹線指定券2枚。並びの座席にしてください」
 みどりの窓口の係員がパソコンのような端末をササっと操作し、きっぷを印刷して手渡してくれる――。
 見慣れた光景ですが、1ヵ月に運行される何十万本もの列車と膨大な座席数の中から希望の席を数秒で見つけ、発券してくれるこのシステムは、とってもスゴいと思いませんか。

 この巨大コンピュータ・オンライン・システムは、「マルス」(MARS=Multi Access seat Reservation System)と呼ばれ、昭和35年(1960)に日本で誕生しました。いまは旧国鉄の中央情報システム管理センターを引き継いだ、鉄道情報システム株式会社(JRシステム)が管理・運営をしています。

 マルスができる以前はどうだったのでしょう。
 指定券の発行は、すべて台帳管理でした。駅の窓口で予約の申込みをすると、対応した係員が電話で乗車券センターの「乗車券割り当て係」に問合せます。割り当て係は、指定された列車の台帳を見て空席を探し、それを窓口に打ち返します。係員は指定券に手書きして精算する、という流れでした。
 乗車券割り当て係は、中華料理店で使うような円卓に各列車の台帳を納め、くるくると回転させて目当ての台帳を取り出したそうです。回転速度は秒速1mにもなったといわれていますが、目の前を通りすぎる一瞬の間に目指す台帳を見つけ、記帳し、また元に戻す作業は熟練した職人技が必要だったのでしょうね。

 しかし、この方法では、高度経済成長の波に乗って全国にネットワークが広がった鉄道網と指定席車両の増加に対応しきれず、コンピュータ化、つまりマルスの開発につながっていきました。

指定席専用窓口「みどりの窓口」誕生!

設置場所によっては名前が「みどりの窓口」でない場合もあるが、ロゴマークは共通


 昭和35年に産声をあげたマルスですが、当初予約できるのは、東海道本線の下り特急「第1こだま」「第2こだま」だけ。座席数も1日あたり4000席だったそうです。
 この後、少しずつ改良されたものの、東京オリンピックが開かれた昭和39年10月に開業した東海道新幹線も、座席数が多くてマルスでは予約できませんでした。
 これが飛躍的にパワーアップしたのが、昭和40年です。この年に本格稼動した「MARS-102」は、1日あたりの予約処理座席数10万席、1列5席の座席配置にも対応できるシステムに成長しました。
 そして、この年の10月には端末500台が全国主要駅などに置かれ、指定券専用窓口の「みどりの窓口」が誕生したのです。
 ちなみに、みどりの窓口という名前は、ここで発券されるきっぷの色が淡い緑色をしていたからだ、と言われています。
 みどりの窓口が生まれた後も、マルスは進化を続け、いまや単なる座席予約だけでなく旅客総合販売システムとして、みどりの窓口の取り扱い業務は、特別企画乗車券や宿泊券、レンタカー券、航空券、ICカード定期券の取り扱いなど、めざましく拡大しています。
 とはいえ、そもそも指定券予約の事務を、人の手による職人技からコンピュータ化させた象徴として「みどりの窓口」があるとも言えます。そう考えると、みどりの窓口のロゴマークが電車のシートに人が座っている姿なのも納得がいきますね。

廃止・縮小される「みどりの窓口」

新幹線や特急の乗車券や指定券も買える自動券売機も増えている

 日本の鉄道の発展を指定券予約というかたちで支えてきたみどりの窓口ですが、近年では、窓口の廃止や営業時間の短縮などが進められています。
 その理由のひとつとして、マルス中央装置への予約・照会が、マルス端末以外にもインターネットや携帯電話からできるようになったことが挙げられます。
 JR東日本の「えきねっと」JR西日本の「5489サービス」「e5489サービス」東海道・山陽新幹線の「エクスプレス(EX)予約」など、各社が独自のサービスを展開しています。
 また、利用者自らが乗車券や指定券、定期券などを買うことができる券売機もどんどん増えています。
 こうしたことから「将来的には、みどりの窓口はなくなる」と予測している運輸アナリストもいます。
 ただ、券売機の操作に慣れない高齢者だけでなく、パソコン世代の若者にとっても、知識と経験の豊富な窓口スタッフに相談に乗ってもらえるのが「みどりの窓口」です。
 誰でも安心して気軽に利用できる旅先案内人として、これからも進化し続けてほしいですね。

※掲載されているデータは平成23年1月現在のものです。
参考:『みどりの窓口を支える「マルス」の謎』杉浦一機 草思社、『鉄道の基礎知識』所澤秀樹 創元社、『きっぷの話』徳江茂 成山堂書店

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