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五能線「リゾートしらかみ」停車駅 一覧

“奇跡のブナ林”にあるコバルトブルーの“神秘の湖”

 日本海の荒々しい海岸線を縫うように走るJR五能線。青森駅、東北新幹線の全線開業に沸く新青森駅から、ジョイフルトレイン「リゾートしらかみ」に揺られること3時間余り、または秋田新幹線秋田駅からは2時間余り、世界遺産「白神山地」の玄関口・深浦町に到着する。大きく採られた車窓に広がるダイナミックな海岸風景。乗客たちは子どものように大きな車窓に張り付いて、その風景を楽しんでいる。

 白神山地は総面積約13万ha、世界最大級のブナの自然林が残る“奇跡の森”だ。青森から秋田に広がるこの山岳地帯には、天然記念物のクマゲラやイヌワシなど貴重な動植物が生息している。遺産保護のため入山できる場所は限られているが、深浦にはそんな“奇跡の森”が生み出した「十二湖」がある。

 鶏頭場(けとば)の池、王池など様々な湖沼がある中で、一番人気は「青池」だ。コバルトブルーの湖水をたたえる“神秘の湖”は、近頃はパワースポットとしても注目を集めている。十二湖駅からバスで約15分。奥十二湖のバス停から10分も歩けばたどり着ける快適なアクセスも魅力だ。白神山地に精通したガイドが案内する有料のトレッキングツアーも実施されているので、一味違った白神の魅力を発見できる。

 ブナ林に足を踏み入れると気づくのが、空気の冷たさ。山の天気は変わりやすく、晴天の日でも場所によって気温の変化が激しい。そのため動きやすく乾きやすい長袖・長ズボンに防寒具は必需品だ。底が厚い履きなれたシューズのほか、紫外線予防に帽子も被っていこう。

 トレッキング後の楽しみも尽きない。日本海に沈む夕陽。広大な大海原を黄金色に染め上げる落日を見ていると、瞳がいつしか涙で潤む……そんな感動体験が待っている。

  • コバルトブルーの神秘の湖「青池」。深さ9mの湖は真冬でも凍ることはない
  • 白神山地を熟知するガイドとめぐるトレッキングツアーもおすすめ
  • 森山海岸沿いを走る「リゾートしらかみ」。夕暮れ時の車窓は特に美しい
  • 深浦名物「夕陽海岸」。水平線に夕陽が沈む瞬間はまさに感動的

日本海に沈む夕陽の大パノラマが広がる感動温泉

 トレッキングで心地よい疲れに満たされた体を癒すには温泉が一番! 名湯秘湯が多い青森県の中で、深浦町には全国に名を轟かす名湯「黄金崎不老ふ死温泉」がある。日本海の波飛沫が今にもかかりそうなほど海に隣接した、岩場に面する混浴露天風呂だ。ひょうたん形の浴槽にはナトリウム-塩化物泉の湯が満ち溢れ、生まれたばかりの透明の湯が、酸化して茶褐色になっていく様がたまらない。太陽の光が差す日中も十分に満足できるが、深浦は“夕陽に近い町”。ぜひ黄昏時に浸かりたい。眼前に広がる夕陽の大パノラマ。茶褐色の湯が目線の高さに広がる黄金色の海原と相まって、自分が海に浮かんでいるような錯覚さえ感じる。まさにオンリーワンの感動温泉だ。

 感動温泉はこれだけにとどまらない。開閉式のドーム型展望露天風呂から日本海の絶景を楽しめる「ウェスパ椿山」の鍋石温泉。高台に位置する開放的な温泉から見下ろす日本海は、不老ふ死温泉とは違ったパノラマが味わえ、水平線に沈む夕陽や漁火の風景が格別に美しい。

 また、巨大な水車がシンボルの「みちのく温泉」は源泉かけ流し100%で、なんと遊離二酸化炭素含有量が日本一の天然温泉。心地よい青森ヒバの香りに包まれて入浴すれば、極上の癒しが味わえるだろう。

 いずれの温泉も宿泊施設を兼ねているので、息を呑むほどの絶景が広がる温泉に存分に浸かって、旅の疲れをゆっくりと癒してみたい。

  • ウェスパ椿山の展望露天風呂。天気がよく暖かい日にはドームが開放される
  • 黄金崎不老ふ死温泉の混浴露天風呂。泉質は体を温める効果が高いナトリウム-塩化物泉

山海の幸を盛り込んだ美味なる地産地消の膳

 温泉に浸かって疲れを癒し、その土地ならではの美味に舌鼓を打つ。多くの旅人にとって旅の醍醐味である「温泉」と「食」。深浦町は温泉だけでなく、食の魅力にも溢れている。白神山地と日本海が育む豊富な山海の幸が、様々な味わいで旅人を楽しませてくれるのだ。

 イカやアワビ、サザエをはじめ、下北半島の大間で有名なマグロも、実は深浦が県内で一番の水揚げ量を誇る。しかも、美味で安い。また、春から秋にかけては栄養たっぷりの白神山地で育ったネマガリタケやミズといった山野草も深い味わいを醸す。山菜独特のエグミや臭みもなく、心地よいほどシャキシャキしたミズは、その味わいがクセになる逸品だ。

 深浦町と隣接する鯵ヶ沢(あじがさわ)町では、美味なる山海の幸をいろいろな形で味わってもらおうと「白神海彦山彦食の旅」を実施し、町内の提供店で「地産地消メニュー」を提供している。「白神地産地消の会」のシェフ(主婦)たちが地元で普段食べられている味を盛り込んだ「地産地消夕食膳」をはじめ、久六島産のサザエのつぼ焼き、海草料理、刺身、焼魚など実に多彩だ。四季折々、旬の食材が異なるため、何度訪れても違った味が楽しめる。

 自然に、食に、温泉に。深浦町には一度では味わい尽くせない魅力がいっぱいある。日本が世界に誇る「白神山地」を堪能したら、その自然の恵みをたっぷり楽しみたい。

  • 地元のお母さんたちがシェフを勤める「白神地産地消の会」
  • ブリやマダイ、サザエなどの魚介類のほか、山菜やキノコなど多彩な食材が魅力

白神散策後はココでのんびり! 夕陽に近い町・深浦のホテル・旅館

ウェスパ椿山
日本海に面した高台にあるリゾート施設。天然温泉のお風呂を完備したコテージが自慢。
アオーネ白神十二湖
十二湖の麓にある自然体験型リゾート施設。地産地消の食事がセットになった宿泊プランも。
黄金崎不老ふ死温泉
日本海を望む海辺の露天風呂で有名。和室・洋室・和洋室全ての客室がオーシャンビュー。
みちのく温泉
巨大な水車が目を引く100%天然温泉の宿。旬の幸をふんだんに盛り込んだ料理も自慢。
深浦観光ホテル
日本海を一望する高台にある湯宿。展望露天風呂からは日本海に沈む夕陽の絶景が楽しめる。

深浦町の旅館・ホテルの詳細はコチラ

写真協力:裏辺研究所(リン)
※掲載されているデータは平成23年3月現在のものです。

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