『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
《晴れの国》を唱う岡山・倉敷。江戸時代の繁栄を象徴する蔵屋敷や日本初の西洋近代美術館として開館した「大原美術館」などが建ち並ぶ美観地区は、町全部がおシャレな美術館のようである。人生のパートナーとなる人と、互いの将来を築き合う誓いをたてる《晴れの日》を、この繁栄と文化を今に伝える町で迎える素晴らしさ。
大原美術館のエントランスに立つロダンの力強い彫刻『カレーの市民』は、二人のこれからの人生に勇気と志を与えるであろうし、倉敷を訪れる多くの旅人たちに二人の幸をお裾分けもできる。“幸せは分かち合うほど大きくなる”という古人の教えを確認しに、倉敷へ。
ここは、昔と今とを美しく調和させ、先人の知恵を次代へ伝えていこうとしている町だから、1日や2日ではつかみきれない宝がありそうな予感……。たっぷり時間をかけてそんなお宝を感じてみたい。この宝のような歴史と文化の町を、二人を育んだすべての人たちにもプレゼントしよう。
柳の木が影を映す美しい倉敷川。船着き場に現れる花々に彩られた一艘の川舟と船頭さん。新郎新婦の「川舟ウエディング」が間もなく始まるのだ。「きれい!」の歓声が上がる。見ると観光客に囲まれて、晴れやかな表情の新郎新婦が歩いて船着き場に向かっているところ。外国人観光客たちが「ワンダフル!」を繰り返しながらカメラを向けているが、外国人ならずともうっとりしてしまう。見知らぬ花嫁花婿さんに惜しみない笑顔と拍手を送る観光客たち。あの笑みもその笑みも優しい。この結婚式に出会えたラッキーな偶然をみんなが喜び合っているのだ。
二人を乗せて船着き場を離れた舟は、御影石で造られた中橋の下を潜り倉敷考古館前で停止。ここで二人は誓いの言葉を読み上げる。ギャラリーから湧き起こる拍手。かくも温き人前結婚式! 川面といわず道といわず、ほのぼのとした幸せがそこら中で踊っている。祝福のシャワーの中、新郎新婦を乗せた川舟はゆっくりゆっくりお披露目の櫓を漕ぎ出していった。
折角の倉敷宿泊。ウエディングの翌日は倉敷観光を楽しみたい。そこで、2つのプランをご紹介しよう。倉敷と日本ジーンズの聖地・児島をめぐるプランA。
朝の倉敷は、静かな倉敷川や朝日に輝く白壁の町家が凛とした美しさを見せてくれる。まずは入館者が比較的少ない朝一番に「大原美術館」へ。十分に時間をとりたい美術館だが、とれないなら見たい作品を事前にチェックしておくといい。美術館の後は「倉敷民藝館」へ。かつて米蔵だった3棟の土蔵が堂々たる姿で迎えてくれる。川の反対側にある「桃太郎のからくり博物館」で桃太郎を楽しみ、お土産に倉敷銘菓「むらすゞめ」を買ったら、児島のベティスミス・ジーンズミュージアムへ足を延ばしてみよう。特典付きの1日乗車券を買って児島駅発着の「ジーンズバス」(金・土・日曜・祝日運行)を利用すると便利に回れる。
アクセス●岡山駅からJR山陽本線で約15分の倉敷駅下車。岡山へは(新幹線のぞみ利用で東京から約3時間30分、名古屋から約1時間45分、新大阪から約50分、博多から約1時間50分)。倉敷から児島エリアへは下津井電鉄バスで児島駅まで約1時間。倉敷から玉島エリアへはJR山陽本線で倉敷駅から新倉敷駅まで約10分。新倉敷駅から玉島中央町へ井笠バスで約10分
おトクなきっぷ情報●「岡山・倉敷ぐるりんパス」往復新幹線(特急列車)普通車指定席と、大原美術館や岡山後楽園など全16施設の入場(園)券、岡山市内路面電車、ジーンズバス、JR自由周遊区間などがセットになった便利なきっぷ。
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おトクなアクセス●「駅から観タクン岡山」 駅前タクシー乗り場のタクシーを利用して周辺の観光地をおトクな価格で気軽に周遊できるタクシー観光プラン。2時間4,900円(小型タクシー1台1回あたり)。
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文・写真:西本梛枝 写真協力:倉敷市観光課、桃太郎のからくり博物館
※掲載されているデータは平成21年12月現在のものです。