『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
速くて快適な新幹線&特急列車の旅がメインとなり、全国各地を結んでいた夜行列車は徐々に姿を消してしまいました。一時は風前の灯となった夜行列車でしたが、予約制のフルコースディナーを味わえる豪華な寝台特急列車が誕生すると、夜行列車の旅そのものを楽しむ人が増加。シティホテル並みのシャワールームやトイレを備えた豪華なA個室寝台から昔ながらの2段式B寝台まで、夜行列車の旅を楽しむための寝台も様々なタイプが登場しました。
流れゆく車窓の夜景を眺めながらワイングラスでも傾ければ、ロマンチックなムードに包まれるし、きらめく星空を見上げながらベッドに横になれば、揺りかごのような心地よい揺れにいつしかまどろんで……。穏やかな朝日に徐々に染め上げられる夜明け前の風景は実にドラマチックで、夜行列車の旅ならではの熱い感動を味わうことができるのです。たまには時計をはずして、ゆっくりと過ぎゆく時間の中で、列車旅の醍醐味を味わってみませんか。
美しい新緑が車窓を飾る初夏の北海道。ディーゼル機関車(DD51形)の重連を先頭に走る寝台特急「北斗星」
1階が寝室(写真)、2階がリビングとなるメゾネットタイプのA寝台2人用個室「カシオペアスイート」
日本海に沈む美しい夕日が楽しめる「トワイライトエクスプレス」のサロンカー「サロンデュノール」
平成11年7月16日に誕生した上野~札幌間を結ぶ寝台特急「カシオペア」は、すべての客室がA寝台2人用個室という豪華な寝台列車です。客室内にシャワールーム・トイレ・洗面所が付いた「カシオペアスイート」は、1号車に180度のワイドな展望風景を楽しめる展望タイプが1室のみ(下り列車の上野~青森・函館~札幌間が最後部になる)、上野寄りの1・2号車は1階がベッドルーム、2階はリビングという2階建て構造のメゾネットタイプ各3室を配置。また、2号車には床面積が広い「カシオペアデラックス」1室もあり、シティホテル並みの設備で予約が取れないほど人気の的になっています。
3号車は予約制のフランス料理コース、またはカシオペア懐石御膳が味わえる2階建てダイニングカー(食堂車)、4~11号車は階上・階下・平屋の3タイプがある「カシオペアツイン」、札幌寄りの12号車はハイデッカータイプの展望ラウンジになっています。ディナータイム終了後~23:00は「パブタイム」として各種ドリンクや軽食・おつまみが味わえるので、ゆったりとした上質の時間を楽しみたい大人におすすめです。
専用の電気機関車(EF81形)を先頭に上野駅を目指して朝の東北本線を快走する寝台特急「カシオペア」
※平成22年からはEF510形に置き換え
上野寄りの1号車に設置された展望タイプの「カシオペアスイート」。流れゆく180度のパノラマ風景が楽しめる
昭和63年3月13日、本州と北海道を結ぶ青函トンネルの開業に合わせ、上野~札幌間を結ぶ寝台特急「北斗星」は誕生しました。客室内にシャワールーム・トイレ・洗面所が付いた最高級のA寝台1人用個室「ロイヤル」をはじめ、A寝台2人用個室「ツインデラックス」やB寝台2人用個室「デュエット」、B寝台1人用個室「ソロ」など、1人用または2人用の4タイプの個室寝台を設置。グループ旅行に最適な4人用個室になるBコンパートおよび2段式B寝台もあり、旅のスタイルに合わせて寝台を選ぶことができます。 また、今では少なくなった食堂車「グランシャリオ」が連結されているので、フランス料理コースか北斗星懐石御膳の予約制ディナーをはじめ、「パブタイム」(ディナータイム終了後~23:00)には、軽食やおつまみをお供にアルコールやソフトドリンクを、「モーニングタイム」(翌朝6:30~)には予約不要で朝食を楽しむこともできます。食後のひとときには、ソファーが設置されたロビーでゆったり。シャワールーム(有料)で旅の疲れを癒すこともできます。シャワールームは車内での予約制(先着順)となりますので、食堂車係員または乗務員への早めの申込みが肝心です。
赤い車体に銀の流れ星をデザインした専用のEF81形電気機関車に牽引される寝台特急「北斗星」
※平成22年からEF510形に置き換え
車窓の風景を眺めながら予約制フルコースディナーなどが楽しめる食堂車「グランシャリオ」