『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

「曲線区間でも安心・安全・スピードアップ! 振り子式特急」曲線区間が多い路線でのスピードアップを実現した振り子式車両。今回はそのメカニズムと振り子式車両で運転される特急列車を紹介します。

南紀の美しい海岸線を車窓に走る 283系特急「オーシャンアロー」[JR西日本]

 紀勢本線の特急列車のサービス向上とスピードアップを図るために開発された283系は、曲線ベアリングガイド式台車と制御付き自然振り子装置を採用したJR西日本の振り子式直流電車です。平成8年7月31日から特急「スーパーくろしお(オーシャンアロー)」で営業運転を開始し、平成9年3月8日改正からは特急「オーシャンアロー」として運転されています。最高速度は130km/hで、京都〜新宮間の所要時間は約4時間20分に短縮されました。イルカに似たスピード感のあるスタイルが特徴の先頭車両は、前面展望がワイドに楽しめるパノラマ型グリーン車です。また、中間の3号車には南紀の海岸線の風景を楽しめる展望ラウンジが設置されるなど、ハイグレードなリゾートアクセス車両となっています。

データ
運転線区
東海道本線・阪和線・紀勢本線
運転区間
京都・新大阪〜新宮
最高速度
130km/h

283系特急「オーシャンアロー」はイルカのようなスピード感あふれるスタイルが特徴

283系の先頭に連結されたグリーン車内から眺めるワイドな前面展望風景

世界初の振り子式気動車として登場 2000系特急「南風」「しまんと」[JR四国]

 非電化区間の特急列車のスピードアップを図るために開発された2000系は、制御付き自然振り子装置を採用したJR四国の世界初となる振り子式気動車です。平成元年3月11日改正から3両の試作車が特急「南風」「しまんと」で営業運転を開始し、平成2年11月21日改正から増備された量産車を使用して本格的な営業運転が開始されました。最高速度は120km/hで、岡山〜高知間の所要時間は約2時間30分に短縮されました。車体は軽量化を図ったステンレス製で、グリーン室と普通室を設置した1号車は大型2枚窓の丸みを帯びたデザインとなっています。なお、アンパンマンとその仲間たちが車体に描かれた「アンパンマン列車(ピンク)」と「アンパンマン列車(ブルー)」があり、1日4往復の「南風」に使用されています。

データ
運転線区
瀬戸大橋線・予讃線・土讃線・土佐くろしお鉄道
運転区間
岡山・高松〜高知・中村・宿毛
最高速度
120km/h
(N2000系は130km/h)

最高速度130km/h対応のN2000系を先頭に走る特急「南風」

ゆったりとしたリクライニングシートが配置された特急「南風」の普通車車内

シックで斬新なデザインが人気の的 883系特急「ソニック」[JR九州]

 日豊本線博多〜大分間のスピードアップを図るために開発された883系は、制御付き自然振り子装置を採用したJR九州の振り子式交流電車です。平成7年4月20日改正から特急「ソニックにちりん」で営業運転を開始し、平成9年3月22日改正からは特急「ソニック」として運転されています。最高速度は130km/hで、博多〜大分間の所要時間は約2時間10分に短縮されました。車体は軽量化を図ったステンレス製(前頭部除く)で、直線を基調とした精悍なスタイルが特徴です。当初は編成ごとに塗色が変えられていましたが、平成17年3月から実施されている車両のリニューアルでは九州の東海岸をイメージしたメタリックブルーに統一されています。なお、1号車のグリーン車には展望スペースのパノラマキャビンが設置されています。

データ
運転線区
鹿児島本線・日豊本線
運転区間
博多〜大分・佐伯
最高速度
130km/h

精悍なスタイルの車体にメタリックブルーの塗色が輝く883系特急「ソニック」

883系特急「ソニック」1号車の半室グリーン室。高級感あふれるシートは黒革張りで電動リクライニング付き

写真協力:結解学/思いで鉄道探検団
イラスト:熊谷江身子/素材ダス

※掲載されているデータは平成21年5月現在のものです。

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