木のおもちゃをイメージした日南線の観光列車
神話が息づく宮崎の豊かな自然を満喫できる列車として登場したのが、宮崎駅と南郷駅を結ぶ日豊本線・日南線の観光特急「海幸山幸」です。車両は「木のおもちゃのようなリゾート列車」をコンセプトにしたデザインで、日南市特産の「飫肥(おび)杉」が車体外観や内装にふんだんに使用され、まさに木の温もりを感じる列車となっています。列車は2両編成で、2号車の一部座席(9席)が自由席のほかは指定席です。なお、「海幸山幸」の列車名は、宮崎・日南エリアが舞台となっている「海幸彦」「山幸彦」の神話に由来しています。
宮崎駅を発車して大淀川を渡った列車は、次の南宮崎駅から日南線に入ります。「こどものくに」の玄関口となる子供の国駅や日南海岸の景勝地「青島」の最寄り駅の青島駅に停車した列車は、左手車窓に日向灘の風景を映し、鬼の洗濯板と呼ばれる波状岩の景観を車窓に見ながら走ります。そして、海岸線から緑深い山間に入ると車窓も一変しますが、列車名のように海と山の変化に富んだ風景が楽しめます。油津港や七ツ岩、大島が車窓に映し出されると、列車は間もなく終着駅の南郷駅に到着します。
鉄道コンシェルジュ ミスターKのとっておき情報
木のおもちゃのような温もりを感じるリゾート車両
温もりを感じる木のおもちゃをイメージした2両編成の車両(キハ125形400番台)の側面は、飫肥杉を使用したユニークなデザインを採用。車両正面はレトロ感を感じる特徴的なスタイルで、白色が南国のリゾート列車の雰囲気を醸し出しています。さらに車体には可愛いロゴマークも描かれており、列車に乗る前から南国リゾート列車旅への期待感が高まります。
ゆったり座席配置の普通車指定席
列車は全車両が普通車ですが、座席は2+1席配置のリクライニングシートのゆったりとしたものです。座席のひじ掛けやテーブル、荷物棚、床板などに特産の飫肥杉が使用され、車両に入った瞬間からリゾート感を味わうことができます。なお、座席モケットは1号車が暖色系、2号車には寒色系が使用され、「山幸彦」「海幸彦」に合わせた異なる雰囲気を演出しています。
贅沢な空間を演出するソファーシート
1号車「山幸」・2号車「海幸」ともにゆったりと広々した贅沢な空間として、フリースペースのソファーシート(各6席)を備えています。語らいやくつろぎのひと時を楽しむことができます。なお、1号車のソファーシートの前に特産品などを販売するサービスカウンター、2号車のソファーシートの前には飫肥杉で作った木工作品などを展示する大型の木製展示棚があります。
特産品などを販売する1号車のサービスカウンター
1号車の先頭部分にあるのが、特産品などを販売するサービスカウンターです。宮崎県産のマンゴー果汁を使用した爽やかな「宮崎マンゴー地サイダー」や国内地ビールの2大コンテストでW金賞を受賞したラガービール「太陽のラガー」、まろやかで神秘的な味わいが魅力の焼酎「海幸山幸」、宮崎銘菓「チーズ饅頭」、駅弁、乗車記念品などが販売されています。
海幸山幸伝説を紹介する紙芝居サービス
車内では、列車名の由来となった日本神話の「海幸彦」「山幸彦」の伝説を手作りの紙芝居で紹介するサービスが行われています。宮崎・日南エリアを舞台とした神話を紙芝居で見ることにより、このエリアの旅が思い出深いものとなります。また、乗車記念の「記念乗車証」がプレゼントされますので、裏面に車内設置の記念スタンプを押して旅の記念にしましょう。
鬼の洗濯板をはじめ南国の車窓を満喫!
日南線沿線には、宮崎の観光スポットとして知られる「青島神社」や「堀切峠」、「鵜戸神宮」「鬼の洗濯板」「飫肥城下町」「日南海中公園」など、数多くの見どころがあります。途中下車して街歩きや観光スポット巡りを楽しめ、飫肥名物の「天ぷら」「厚焼き卵」なども味わえます。往路は車窓から日向灘や山間の車窓風景を楽しみ、復路は途中下車の旅を楽しむのがベストです。
列車情報
運転日 | 土曜・日曜・祝日を中心に運転 |
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運転区間 | 日豊本線・日南線 宮崎駅~南郷駅間 |
運転時刻 |
【1号】宮崎駅10:13発 → 南郷駅11:45着 【4号】南郷駅15:30発 → 宮崎駅16:51着 ※2号・3号が運転する日もあります |
著者紹介
- ※文/ミスターK(結解喜幸)
- ※写真/JR九州、交通新聞クリエイト
- ※掲載されているデータは2018年8月現在のものです。
- ※運転日・運転区間等は変更となる場合があります。