『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

  • mixiチェック

中央線では10両編成2本が残るのみとなった201系。国鉄の新性能電車の歴史とともに、中央線の201系にスポットを当てて紹介します。
(文=結解喜幸 写真=結解学)

What's モハ90系?

 昭和20年代の国鉄の通勤形電車は、車体塗色が茶色のモハ72系をはじめとする吊り掛け駆動のモーターを搭載した旧形電車が主力でしたが、昭和28年以降の私鉄各社では新世代のカルダン駆動を採用した高性能な電車が登場していました。

 当時の国鉄では、東海道本線をはじめとする幹線の電化も推進されており、通勤形・近郊形・急行形・特急形など幅広い車種に活用できる高性能な電車の開発が行なわれていました。電動車の必要な機器類を2両に分散して搭載するMM’ユニット方式や、乗り心地が向上するカルダン駆動方式、モーターを発電機として利用しブレーキをかける発電ブレーキなど、旧来の車両とは異なる走行機器類を搭載した新性能電車の試作車として昭和32年に登場したのが、モハ90系電車です。

 全金属製の車体にカラフルなオレンジ塗色を施し、片側4カ所の両開きドアおよびアルミサッシ2段上昇式の全開する客室窓の採用、蛍光灯照明と扇風機の設置など、後の通勤電車の基本となる原形が完成しました。

 昭和32年12月、ラッシュの激しい中央線にモハ90系試作車が投入され、乗り心地の良さから好評を博することになりました。しかし、すべての車両にモーターを搭載した全電動車は使用電力の多さが問題になり、高加速・高減速・高速性能をフルに発揮するには変電所や電気設備の増強が必要でした。

 昭和33年3月には量産車が登場し、中央線のカラフルな電車が首都圏の国鉄の明るいイメージとなり、さらに増備が続けられることになりました。なお、昭和34年6月1日の国鉄の称号規程改正に伴って、モハ90系は101系に変更となっています。

国鉄の新性能電車の第一弾として中央線の快速電車でデビューを飾ったモハ90系

鉄道博物館で保存・展示されるクモハ101形900番台。モハ90系の試作車であった

中央線の主として活躍した101系通勤形電車

 昭和34年6月1日から形式称号が変更となった101系通勤形電車は、混雑率が300%を超える中央線の快速電車に使用されました。その乗り心地の良さや明るい車内、そしてオレンジ色の車体は、茶色一色であった国電のイメージアップが図られ、ほかの路線でも新性能電車の運転を望む声が上がっていました。そこで、中央線の101系化が完了した昭和35年から大阪環状線、昭和36年から山手線にカナリヤイエローの塗色で投入し、まずは東京と大阪の主力路線の101系化が進められました。

 駅間距離の長い中央線では、快速や特別快速などで101系の高速性能を発揮し、快適性の向上と運転時間の短縮が図られました。しかし、全電動車による高速性能を狙った101系には技術的な無理もあり、駅間距離の短い山手線では高加速・高減速ができる車両の投入に期待がかかっていました。それでも、乗客にとっては茶色の旧形電車と比べると乗り心地もよく、快適な101系は各線で活躍を続けるようになりました。

 なお、101系は昭和44年まで総計1,535両の製造が続けられ、中央線では201系が投入された後も昭和60年3月まで活躍。また、中央・総武緩行線や京浜東北線、南武線、鶴見線、関西本線、片町線など首都圏・関西圏を中心に活躍を続けましたが、平成15年11月28日の南武支線尻手〜浜川崎間の運転をもって定期運用が消滅し、戦後の名車のひとつとなる101系は全廃となりました。

約20年間で3,447両が新製された103系通勤形電車

 山手線のような駅間距離の短い線区では、高速性能に重点が置かれた101系よりも高加速・高減速が必要とされていました。昭和38年3月に101系の問題点を改良して登場したのが103系の試作車で、同年12月から山手線で営業運転に入りました。

 山手線にはカナリヤイエロー色の101系が活躍していましたが、103系では車体塗色をウグイス色に変更して新系列車両であることをアピール。昭和39年4月から103系の量産車が投入され、カナリヤイエロー色の101系は中央・総武緩行線に転出しました。

 昭和40年11月にスカイブルー塗色の103系が京浜東北・根岸線、昭和42年12月にはエメラルドグリーン塗色の103系が常磐線、昭和44年12月にはオレンジ塗色の103系が大阪環状線・桜島線に投入され、103系の車体は使用線区に応じて4色(残りのカナリヤイエローは昭和53年3月に赤羽線で登場)が揃いました。さらに、昭和48年3月には中央線にも103系が登場し、中央線では101・103系が揃って活躍していました。

 昭和59年まで増備が続けられた103系は総両数が3,447両の大所帯となり、首都圏・中京圏・関西圏の各路線で活躍する姿が見られ、今でもJR西日本エリアを中心に活躍を続けています。

時代のニーズに応えた省エネ電車201系通勤形電車

 オイルショックを契機に世界的に省エネルギーが叫ばれた時代のニーズに応えて、昭和54年8月に試作車が登場したのが201系です。基本的なスタイルは101系以来の通勤電車を踏襲していますが、正面スタイルは時代に合わせた洗練されたものとなりました。この車両の一番の特徴は、制御装置に電機子チョッパ制御(サイリスタチョッパ)を採用し、電力回生ブレーキを装備して省エネを図った点で、試作車にはそれを示す「省エネ電車」のヘッドマークが取り付けられました。

 昭和56年8月には量産車が登場して中央線の101系の置き換えが行なわれ、昭和57年から中央・総武緩行線、東海道・山陽緩行線にも投入。オレンジ・カナリヤイエロー・ブルーの3色の201系が活躍するようになりました。

 昭和60年3月から中央線の全列車が201系化されましたが、サイリスタチョッパ制御はコストが高いこともあり、201系は1,018両で製造が打ち切られました。なお、当時の国鉄にとって製造コストの高い201系に代わる車両が必要であったため、昭和60年1月に山手線用として低コスト車の205系が登場しています。

最後の2本が活躍を続ける中央線の顔であった201系

 現在、201系が運転されている路線は、JR東日本の中央線東京〜高尾間、京葉線・外房線東京〜上総一ノ宮間、東金線、JR西日本の大阪環状線・桜島線、関西本線JR難波〜加茂間、おおさか東線です。中央線は豊田電車区に10両編成が2本残っており、E233系がメインとなった今では細々と活躍を続けています。中央線用としてE233系は58本配置されているのに対し、現在の201系は2本配置ですので乗車するチャンスはわずかですが、正式な引退が決まる前に中央線の顔であった201系に乗ってみたいものです。

 なお、関西エリアでは車両のリニューアル工事が実施されており、側面の客室窓などがオリジナルと大きく異なっています。

中央線201系 愛されて30年キャンペーン実施中!

 昭和54年8月20日、初めて中央線に投入された201系電車は、現在残っている2編成(H4編成・H7編成)のうち、1編成(H4編成)が今年6月20日に、残る1編成(H7編成)が今年10月に廃車となります。第1弾に引き続き、7月1日から「さよなら中央線201系」キャンペーン<第2弾>を実施します。  <第2弾>では、<第1弾>で好評を博している“さよなら”運転をH7編成を使用して行なうとともに、H7編成が所属している豊田車両センターでの「中央線201系展示会」を開催します。また、H4編成と同様、H7編成についても松本までのラストランを行ないます。  いよいよ最後となった中央線201系電車の勇姿をお楽しみください!

【キャンペーンの主な内容】

◆「中央線201系」びゅう旅行商品の販売 (抽選制)

最後の1編成となった中央線201系電車(H7編成)を使用した商品です!

  1. 1.「中央線201系(H7編成) さがみ湖リゾート プレジャーフォレスト」
     《設定期間》 平成22年7月25日(日) ※日帰り
  2. 2.「中央線201系(H7編成) 甲府」
     《設定期間》 平成22年7月25日(日) ※日帰り
  3. 3.「豊田車両センター中央線201系展示会」午前コース・午後コース
    ※201系電車の運転はありません。
     《設定期間》 平成22年8月22日(日) ※日帰り
  4. 4.「中央線201系(H7編成) 「初狩スイッチバック体験+甲府」
     《設定期間》 平成22年9月26日(日) ※日帰り
  5. 5.「さよなら中央線201系(H7編成) ラストラン山梨 そして信州へ」
     《設定期間》 平成22年10月17日(日) ※日帰り

※各ツアーで募集締切日が異なります。

◆エキュート立川トレインフェスタ「Good-bye 中央線201系」

 立川駅構内「エキュート立川」では、8月2日(月)〜31日(火)まで、エキュート立川トレインフェスタ「Good-bye 中央線201系」を開催します。エキュート立川内でのスタンプラリーや駅長服での撮影会など、お子さまも楽しめるイベントが盛りだくさんです。また、期間限定の記念商品も販売します。

中央線でデビューを飾った101系。国鉄の通勤形電車の基本モデルとして活躍していた

南武線の旧形国電を淘汰し、同線の近代化を推進したカナリヤイエローの101系6両編成

山手線を走るATCを装備した高運転台タイプの103系。中央線にも投入されていた

中央線にも投入された103系。先頭部分の運転台の高さは101系と同様になっている

国鉄期待の省エネ電車として中央線の快速電車で活躍を続けてきたオレンジ色の201系

電照式の前面サボを取り付けた201系。快速電車ではオレンジ色の字幕が表示されていた

中央線から青梅線に直通する201系の「青梅特快」。専用の前面サボが表示されていた

青梅線・五日市線・富士急行線に直通運転する快速「ホリデー快速」でも活躍していた

首都圏ではスカイブルーの201系6+4の10両編成が京葉線で活躍している

関西本線では首都圏では見ることができなかったウグイス色の201系が登場

 

※掲載されているデータは平成22年3月現在のものです。

バックナンバー

このページのトップへ