『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

昭和39年12月25日、北陸本線大阪〜富山間を結ぶ電車特急「雷鳥」が登場。今も485系電車で活躍を続ける特急「雷鳥」にスポットを当てて紹介します。(文=結解喜幸 写真=結解学)

北陸を短絡する湖西線開業 エル特急「雷鳥」が誕生

 昭和48年3月1日改正では、大阪〜富山間の特急「雷鳥」1往復が大阪〜新潟間の特急「北越」となり、さらに大阪〜金沢間に毎日運転の臨時特急「雷鳥」1往復、金沢〜新潟間に毎日運転の臨時特急「北越」1往復を増発。これにより、大阪〜金沢・富山間の特急「雷鳥」10往復、大阪・金沢〜新潟間の特急「北越」3往復の計13往復体制(臨時列車は同年10月1日改正から定期列車)となりました。
 昭和50年3月10日改正では、大阪と北陸方面を短絡する湖西線が開業したのに伴い、従来の米原経由の特急列車を湖西線経由に変更。急行列車2往復を格上げして、特急「雷鳥」は12往復体制になり、エル特急の仲間入りを果たしました。
 大阪〜新潟間の特急「北越」が「雷鳥」に編入された昭和53年10月2日改正では、大阪〜金沢・富山・新潟間の特急「雷鳥」が16往復体制に増強。これまで485系や489系で運転されてきた「雷鳥」のうち4往復は583系となっています。
 昭和57年11月、北陸本線の475系昼行急行列車が全廃・特急列車への格上げが行なわれ、特急「雷鳥」は大阪〜金沢間6往復、大阪〜富山間9往復、大阪〜新潟間3往復の計18往復体制になりました。
 2往復残っていた583系特急「雷鳥」が廃止となった昭和60年3月14日、485系で運転されるようになった16往復中7往復の485系編成に食堂車サシ481を改造した和風グリーン車「だんらん」を連結。14畳敷きの客室に7ブロックの和風テーブル席とビュッフェコーナーを設置した「だんらん」は、関西から北陸方面へのレジャー客に好評を博しました。  昭和61年12月27日からは大阪〜和倉温泉間に気動車特急「ゆぅトピア和倉」が運転を開始しましたが、大阪〜金沢間は特急「雷鳥」の後部に連結。電車と気動車を連結した珍しい編成で運転されることになりました。

昭和53年10月2日改正で増発された4往復の「雷鳥」には583系寝台特急用電車が運用された

JR東日本の新潟色の485系も「雷鳥」に運用。白と青を基調としたオリジナルカラーで活躍した

国鉄からJRへ 特急「スーパー雷鳥」が誕生

 平成元年3月11日、7号車にパノラマグリーン車、6号車にカフェテリア&グリーン室(和風グリーン車「だんらん」を改造)を連結した神戸・大阪〜富山間の485系特急「スーパー雷鳥」4往復が登場しました。アコモデーションを改善したデラックスな車両が好評を博することになり、平成2年3月10日改正からは9両編成に増強。平成3年3月16日には1往復増発され、特急「スーパー雷鳥」は5往復体制となりました。
 平成3年9月1日には七尾線の電化完成に伴う改正が実施され、特急「スーパー雷鳥」3往復が和倉温泉まで直通。列車は7両編成+3両編成の10両編成となり、7両編成は和倉温泉発着、3両編成は富山発着のスタイルで運転されることになりました。
 平成4年12月26日、試作の681系9両編成が大阪〜富山間の臨時特急「雷鳥85・90号」で運転を開始。同車両は「ニュー雷鳥」として活躍することになりましたが、量産車が増備された平成7年4月20日には特急「スーパー雷鳥(サンダーバード)」として運転を開始しました。
 平成9年3月22日改正では、特急「スーパー雷鳥(サンダーバード)」が「サンダーバード」に改称となり、681系特急「サンダーバード」8往復、485系特急「スーパー雷鳥」4往復、485系特急「雷鳥」11往復の計23往復となりました。
 平成13年3月3日の683系の登場により、富山・和倉温泉発着の681・683系が特急「サンダーバード」、金沢発着の485系が特急「雷鳥」となり、特急「スーパー雷鳥」の愛称は廃止となっています。

平成元年3月11日から運転を開始した特急「スーパー雷鳥」にはパノラマグリーン車が連結された

基本7両編成と付属3両編成(先頭車両は貫通タイプ)の10両編成で運転される「スーパー雷鳥」

最後の時を迎える485系 平成22年度末まで活躍予定

 昭和39年12月25日以来、北陸本線の老舗特急として活躍してきた485系特急「雷鳥」ですが、新世代の681・683系の特急「サンダーバード」の登場により、徐々に活躍の場が少なくなってきています。
 平成15年9月には初期の485系ボンネット車両が廃車となり、代わりに「スーパー雷鳥」に連結されていたパノラマグリーン車が復活。国鉄色のパノラマグリーン車を先頭にした編成が運用されるようになりましたが、平成21年10月1日改正で485系特急「雷鳥」3往復が683系特急「サンダーバード」となり、さらに平成22年3月13日改正では485系特急「雷鳥」4往復が683系「サンダーバード」となりました。
 現在、大阪〜金沢間に1往復の485系特急「雷鳥33・8号」が運転されており、1号車にパノラマグリーン車を連結した485系6両編成で最後の花道を走行中。また、多客時に臨時特急「雷鳥」としても運転されていますが、平成22年度中に廃車となることが決定していますので、北陸本線で485系の雄姿が見られるのも時間の問題となっています。

平成15年9月から大阪寄りに国鉄色のパノラマグリーン車を連結して走る485系特急「雷鳥」

間もなく北陸本線から引退する485系「雷鳥」とエースの座についた681・683系「サンダーバード」

※掲載されているデータは平成22年5月現在のものです。

前のページへ

バックナンバー

このページのトップへ