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平成6年7月、東北・上越新幹線の着席率の向上を目指して、オール2階建てのE1系が登場しました。今回は新幹線の2階建て車両にスポットを当てて紹介します。

What's 2階建て車両?

  車窓の眺望が楽しめる2階建て車両が登場したのは、今から100年以上前の明治37年(1904)のことです。大阪市交通局が製造した路面電車の5号形が日本初の2階建て車両で、2階席の眺望の良さが人気となりました。しかし、沿線住民から家の中をのぞかれるという苦情が出たため、残念ながら2階席は廃止となってしまいました。
 次に2階建て車両が登場したのは昭和33年のことで、近畿日本鉄道が大阪と伊勢志摩を結ぶ観光特急用に開発した10000系でした。7両編成のうち中間3両は2連接車体で内2両が「ビスタカー」という愛称が付けられた2階建て車両となりました。この車両が好評を博したことから、昭和34年には大阪〜名古屋間の名阪直通特急用として、10100系「新ビスタカー」が登場。3両2連接車体の中間が2階建て車両で、6両編成や9両編成で運用されました。当時、2階建て車両は近鉄特急のイメージとして定着していました。
 また、オール2階建て車両としては、昭和37年に近畿日本鉄道が修学旅行用として開発した20100系「あおぞら号」があります。国鉄が修学旅行用電車として開発した155系「ひので号」と同様に、車内は2人掛けと3人掛けのボックスシートを採用。3両編成の定員は398人となり、座席定員の大幅なアップが図られました。
 このように車窓の眺望を重視した車両と座席定員の向上を目指した2タイプの車両が誕生し、その後は東海道・山陽新幹線の100系東北新幹線の200系に2階建て車両が組み込まれたほか、通勤時の着席率を高めるために開発された在来線の2階建てグリーン車オール2階建て車両の215系(両端の先頭車は階下が機器室)などが登場。さらに新幹線の着席率を高める目的で東北・上越新幹線にはE1系・E4系が投入されたほか、寝台列車では285系寝台特急「サンライズ出雲・瀬戸」E26系寝台特急「カシオペア」が一部の号車を除いて2階建て車両となり、1列車当たりの定員および寝台個室の増加に2階建て車両が貢献しています。

新幹線初の2階建て車両 100系「ひかり」が登場

 昭和39年10月以来、東海道・山陽新幹線で活躍してきた0系に代わる車両として、昭和60年10月から運転を開始したのが2階建て車両を2両組み込んだ100系「ひかり」です。16両編成の中間8・9号車に2階建て食堂車と2階建てグリーン車を連結。食堂車は2階が定員44名の食堂、1階が厨房・通路となり、車窓の風景を眺めながらゆっくりと食事が楽しめるようになりました。また、グリーン車の1階には1・2・3人用個室が設置され、車内で仕事をしたいと思うビジネスマンやくつろいだ旅が楽しみたいと思う家族連れに好評を博しました。
 JR東海が増備した100系の8号車は食堂車を廃止し、2階がグリーン車、1階はカフェテリア方式の売店に変更。9号車のグリーン車は1・2・3人用個室と新設された4人用個室が配置されました。また、JR西日本が増備した100系は7〜10号車の4両が2階建て車両となり、8号車は食堂車、7・9・10号車は2階がグリーン車、1階は2+2席配置の普通車指定席となっていました。
 東北新幹線の200系の一部列車は平成2年6月から7号車に2階建てグリーン車を組み込んだ13両編成となり、さらに平成3年3月からは9・10号車に2階建てグリーン車を組み込んだ16両編成となりました。9号車の1階はグリーン車の1・2人用個室と4人用普通個室(オープンタイプ)、10号車の1階はカフェテリア方式の売店となり、東京〜盛岡間を結ぶ速達列車「スーパーやまびこ」の愛称で親しまれていました。

東海道・山陽新幹線の100系は2階建て食堂車と階下に個室を設置したグリーン車を連結

東北新幹線の200系は階下にカフェテリアや普通個室を設置した2階建てグリーン車2両を連結

着席率の向上を目指して 新幹線初のオール2階建て E1系「Max」

 首都圏エリアの朝の通勤・通学時間帯に運転される東北・上越新幹線の利用客が増加し、平成4年頃から輸送力の増強が必要不可欠な状況となっていました。そこで、着席率の向上を図るために開発されたのが、平成6年7月15日に営業運転を開始した初のオール2階建て新幹線E1系「Max」12両編成です。従来の200系12両編成と比較すると約4割の座席増加(座席定員1235名)が図られ、座って通勤・通学できる快適さが実現しました。
 列車は12両編成で、1〜4号車は普通車自由席として運用することが決定していたため、1〜4号車の2階席を3+3席配置の座席として座席定員を確保。インテリアコンセプトを「ハイクオリティ&アメニティ」として高品質感にあふれた内装を目指したため、近距離通勤用としてだけでなく長距離の東京〜盛岡間の「Maxやまびこ」にも運用され、車窓の眺めが楽しめる列車として好評を博すようになりました。
 また、エクステリアコンセプトを「グランド&ダイナミック」とし、先頭車両は2階建て車両のボリューム感を生かし、騒音・微気圧波対策に対応したエアロダイナミックノーズのデザインとなっています。

新幹線初のオール2階建て編成で登場したE1系。最大を意味する「Max」の愛称が付けられた

E1系1〜4号車の普通車2階席は自由席の着席率を高めるため3+3席配置となっている

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