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旅客・貨物用の万能機[EF81形 交直流電気機関車]直流&交流電化区間を直通運転できる交直流電気機関車。今回はブルトレから貨物列車まで幅広く活躍するEF81形にスポットを当てて紹介します。(文=結解喜幸 写真=結解学)

What's 交直流電気機関車?

 日本の鉄道の電化方式は昭和30年代前半まで直流でしたが、当時の欧州では送電ロスが少なく、コストパフォーマンスに優れた交流電化方式の実用化が進められていました。日本では昭和30年から仙山線において交流電化試験が実施され、その結果を踏まえて日本でも商業用の交流電源を使用した電化の実用化の目処が立ちました。昭和32年10月、北陸本線田村〜敦賀間の交流電化が完成し、さらに常磐線取手〜勝田間や鹿児島本線門司港〜久留米間の交流電化が推進されました。

 北陸本線は米原〜田村間、常磐線は取手〜藤代間、山陽本線と鹿児島本線が接続する門司駅構内に直流と交流のデッドセクション(架線に電気が流れない無電流区間)を設置し、車上で直流と交流を切り替える方式が採用されることになりました。そこで開発が進められることになったのが、直流・交流区間を通しで走行できる交直流電気機関車です。

 昭和34年に日本初の交直流電気機関車としてED46形(後にED92形と改番)が完成し、昭和36年6月1日の交流電化完成後は常磐線上野〜土浦間において旅客列車の牽引を行なうことになりました。昭和37年にはED92形の試験結果を基にした量産機EF80形が登場し、その後は常磐線の旅客・貨物列車の牽引機として活躍を続けることになりました。

 また、山陽本線下関〜門司間の関門トンネルは直流電化のため、EF10形直流電気機関車が使用されていましたが、鹿児島本線の電化で門司駅が交流電化となるため、新たに関門トンネル専用の交直流電気機関車が必要になりました。関門トンネル通過時の海水による塩害に対応するため、防錆対策としてステンレス車体を採用。昭和35年3月、銀色に輝く車体が特徴の交直流電気機関車EF30形の1号機が誕生し、昭和36年10月の鹿児島本線電化から活躍を始めました。なお、常磐線でEF80形、関門トンネルでEF30形が活躍する時代が続きましたが、昭和43年には50Hzと60Hzの2つの交流電源に対応したEF81形が登場し、東北から九州までの広い範囲で活躍するようになっています。

交流50Hz&60Hz共用のEF81形電気機関車が登場

 日本海縦貫線大阪〜青森間の電化工事が進捗すると、直流〜交流60Hz〜直流〜交流50Hzと3電源方式の電化区間を直通できる電気機関車が必要不可欠なものとなりました。そこで、当時の直流電気機関車の標準タイプとして活躍していたEF65形をベースとした交直流電気機関車が開発されることになり、昭和43年に3電源対応のEF81形1号機が誕生しました。外観スタイルはEF65形と同じですが、塗色はEF80形と同様に交直流車両の標準色である「赤13号(ローズピンク)」で、交直流電気機関車であることは一目でわかるようになっています。

 EF81形は昭和44年までの2年間に38両が製造され、まずは北陸本線金沢〜新潟操車場間の貨物列車の牽引機として活躍。さらに昭和47年から昭和52年にかけて39号機から136号機が増備され、東海道本線〜湖西線〜北陸本線〜信越本線〜羽越本線を経由する大阪〜秋田間の寝台特急「日本海」や急行「きたぐに」、普通列車、貨物列車の牽引を担当するようになりました。また、東北本線では隅田川〜福島間の貨物列車の牽引に使用され、常磐線のEF80形とともに、首都圏エリアにローズピンクの車体を輝かせていました。

常磐線の直流区間と交流区間を直通するために開発されたEF80形が牽引する旅客列車

EF80形の後継機として交流50Hzと60Hzの両区間での運転を可能としたEF81形

関門トンネル専用機のEF81形300番台の登場

 関門トンネルではEF30形の重連が下関〜門司間の旅客・貨物列車を牽引していましたが、輸送力増強のための増備が必要となり、昭和48〜49年にかけてEF81形が4両投入されました。海水による車体の腐食を防ぐため、EF30形と同様のステンレス車体となったため300番台と区分。ステンレス地肌のままの姿で活躍を始めましたが、昭和54年に301号機と302号機の2両が常磐線の老朽化したEF80形とバトンタッチするため、常磐線用として転属後は車体を赤13号に塗装。現在は4両ともに関門トンネル用として活躍していますが、301・302号機は赤13号塗装、303・304号機はステンレス地肌のままという異なる雰囲気で活躍を続けています。

 なお、関門トンネル用として活躍したEF30形の老朽化に伴い、昭和61〜62年にかけてEF81形を重連総括制御仕様に変更して使用することになりました。そこで、0番台の14両を重連仕様として400番台401〜414号機に改番し、関門トンネルおよび九州内の旅客・貨物列車の牽引機となりました。また、301〜304号機も同時に重連仕様に改造され、総計18両が同エリアの専用機(一部車両は日本海縦貫線用として転属)として活躍を続けています。

日本海縦貫線の寝台特急「日本海」や貨物列車には3電源方式に対応したEF81形が活躍

関門トンネルの海水による塩害・防錆対策としてステンレス車体を採用したEF81形300番台

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