『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

北海道・九州の交流近郊形電車

JR北海道のニューフェイス721・731系交流近郊形電車

 JR北海道が新たに開発した交流近郊形電車が、ステンレス車体にコーポレートカラーの帯を巻いた721系です。昭和63年11月から営業運転を開始した721系は、寒冷地仕様のデッキを装備した片開き3扉・転換クロスシート車で、1車両に3カ所のデッキを配置することで乗降がスムーズにできるようになっています。このため、札幌都市圏の通勤輸送で大活躍することになり、その後はVVVFインバータ制御を採用した増備車が登場。客室内のデザインや電気機器類など、製造年度によって異なっています。

 基本の3両編成は3・6両編成でローカル列車に運用。4号車に普通車指定席「uシート」を連結した6両編成は小樽・札幌〜新千歳空港間を結ぶ快速「エアポート」を中心に運用されています。

 平成8年12月から運転を開始した731系3両編成は、デッキなし・片開き3扉・ロングシートの通勤輸送に適したタイプの車両。寒冷地仕様としてデッキ付きが当たり前であった北海道の電車の新しいスタイルで、札幌都市圏の通勤輸送に活躍中。721系とも連結して使用できるほか、キハ201系気動車との総括制御も可能としており、現在ではJRで唯一となる電車と気動車の協調運転が行なわれています。

JR北海道が札幌都市圏の通勤・通学用として開発した721系。空港アクセス列車にも使用

北海道初となるオールロングシートの通勤形電車スタイルで登場した731系

JR九州のニューフェイス811・813系交流近郊形電車

 北九州・福岡エリアでは、交直流近郊形電車421・415系が活躍してきましたが、JR化後のニューフェイスとして平成元年に登場したのが811系です。ステンレス車体にカラフルな帯を配置した4両編成で、鋼製の先頭部分は白と黒でデザイン。座席指定の急行・快速列車にも使用できるように車内は転換クロスシートを採用し、両開き3扉のうち中央の扉は開閉をせずに使用できるようになっています。現在は北九州・福岡エリアを中心に快速・普通列車に幅広く運用されており、一部の車両は広告電車としてラッピングを施して運転されています。

 平成6年3月には421・415・715系の置き換えを目的として、VVVFインバータ制御を採用した813系が登場。811系と比べるとデザインが斬新なものとなり、さらに811系はもちろんのこと、後から登場する815・817系とも連結可能なオールマイティ車両となっています。平成6年から平成21年まで15年間に渡って製造されており、使用する線区や目的に応じた設備、車体デザインの変更などで多彩な番台区分(ワンマン運転対応で番台区分の変更も発生)があるのが特徴です。

 811・813系ともに九州エリアの快速・普通列車の主力として活躍しており、特に813系の赤と黒でデザインされた精悍なマスクは北九州エリアの各地で見ることができます。

JR九州が421・415系の後継車となる新時代の近郊形電車として開発した811系

九州北部エリアの輸送力増強と柔軟な車両運用を目指して開発された2両編成の813系

ワンマン運転に対応した815・817系交流近郊形電車

 平成11年10月から豊肥本線・鹿児島本線熊本エリア・日豊本線大分エリアでスタートしたワンマン運転に対応するため、ワンマン機器を搭載して登場しました。車両は2両固定編成で、両開き3扉・ロングシートを採用。他形式と同形式で連結して使用することを考慮して貫通扉が付いており、必要に応じて4・6両の貫通編成にもなります。車両の一番の特徴はドア間に大型の1枚窓を採用したことで、座席7人分が1枚の窓となっています。これにより、ロングシートながらワイドな車窓を楽しむことができます。なお、815系は2両編成26本54両が製造され、豊肥本線、鹿児島本線熊本エリア、日豊本線大分エリアのワンマン区間のローカル列車に活躍しています。

 平成13年10月にはロングシートの815系を転換クロスシートにした817系が登場しましたが、前面デザインや車内設備の大幅な変更が実施されています。転換クロスシートの座席には木材を使用し、座面と枕・腰当て部分には黒の本革を採用。大型窓の採用と合わせて通勤から観光まで幅広く運用できる新スタイルの近郊形電車となっています。

 福岡市営地下鉄線と直通運転を行なっている筑肥線を除き、交流電化区間のみのJR九州では交流専用電車がメインとなっており、特急形から近郊形まで交流車両を現わす700番台・800番台の形式が付けられています。

豊肥本線の電化に合わせて登場した815系。ワンマン運転に対応した仕様となっている

筑豊本線・篠栗線の電化に合わせて登場した817系。ローカル用として幅広く活躍している

※掲載されているデータは平成22年8月現在のものです。

前のページへ

バックナンバー

このページのトップへ