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立食スタイルの軽食堂[ビュッフェ車]昭和33年11月、151系特急「こだま」に連結されたビュッフェ車。今回は立食スタイルのビュッフェ車にスポットを当てて紹介します。(文=結解喜幸 写真=結解学)

What's ビュッフェ車?

 日本の食堂車の歴史は明治時代に始まりますが、軽食堂のビュッフェ車が登場したのは昭和33年11月のことです。食堂部分にテーブルを配置してゆっくりと食事を楽しめるスタイルの食堂車に対し、手軽に食事ができる立食スタイルを採用したのがビュッフェ車で、東海道本線東京〜大阪・神戸間の151系ビジネス特急「こだま」に連結されました。軽食と飲み物が楽しめる簡単なカウンター形式となり、食堂や厨房のスペースが食堂車の半分で済むことから、半室が三等座席車の合造車となっています。

 昭和36年3月、東海道本線の準急・急行列車で活躍していた153系に一等車とビュッフェ車を組み込み、東京〜大阪・神戸間の急行列車に本格的に運用することになり、二等座席とビュッフェの合造車となるサハシ153が登場しました。なお、特急「こだま」でデビューを飾った日本初のビュッフェ車となるモハシ150は食堂車の誕生で補助的な役割となり、以後は電車急行用としてビュッフェ車が増備されることになり、交直流急行形電車のサハシ451・455直流急行形電車のサハシ165・169が登場しています。

 国鉄では電車特急・電車急行の供食サービス設備として誕生したビュッフェ車ですが、私鉄でも特急列車の車内サービスとしてビュッフェサービスが行なわれています。私鉄の場合は軽食・飲み物のシートサービスがメインで、小田急ロマンスカー「走る喫茶室」や東武特急1720系DRC「ビュッフェ」、近鉄特急スナックカーなどでサービスが行なわれてきました。しかし、乗車時間が短い私鉄線においては供食サービスもワゴン式の車内販売に移行し、現在は小田急ロマンスカー50000形VSE車で復活したシートサービスや、売店形式で残る東武特急スペーシアがビュッフェのスタイルを残しています。

 なお、JRでは鹿児島本線の787系特急「つばめ」で本格的なビュッフェサービスが行なわれていましたが、現在は九州新幹線の部分開業で廃止となり、定期列車では久大本線の特急「ゆふいんの森」が唯一のビュッフェ設備のある列車になっています。

国鉄初となる軽食堂車を連結した151系ビジネス特急「こだま」が登場

 昭和33年11月1日、東京〜大阪間を6時間50分で結ぶ151系ビジネス特急「こだま」が登場しました。当時の特急列車に食堂車は必要不可欠な存在でしたが、国鉄初となる電車特急では新しい試みが採用されることになり、軽食堂ビュッフェ車を連結することが決定しました。軽食と飲み物に限定することで本格的な厨房は必要なくなり、さらにテーブルと椅子を配置する食堂も立食カウンターになったため、従来の食堂車の半分のスペースでビュッフェ営業が可能となっています。

 これにより、残る半分のスペースは三等座席車(後の二等車)として活用でき、さらに編成中央に二等車(後の一等車)を組み込んで両側にビュッフェ車を連結することで、二等車の通り抜けがなくなり、編成両端からビュッフェまでの距離も短くなるという利点がありました。なお、車窓の風景とあわせて現在の列車速度がわかる速度計が設置され、利用者から好評を得ることになりました。

 昭和36年3月、東海道本線の153系急行「せっつ」のグレードアップおよび急行「なにわ」の電車化では、リクライニングシートを装備した一等車のサロ152と、半室二等車のビュッフェ車のサハシ153が登場。中間の一等車を挟んで2両のサハシ153が連結されました。調理室側のカウンターには「すしコーナー」が設置され、車内で本格的な寿司が食べられることで好評を博しました。

国鉄初のビュッフェ車となるモハシ150が連結された東海道本線の151系ビジネス特急「こだま」

2つの明かり窓と業務用ドアが設置されている直流急行形電車のサハシ165の調理室側

電車急行の軽食サービスに活躍したサハシ451・455・165・169形が登場

 元祖電車ビュッフェ車となる151系のモハシ150ですが、昭和35年6月に客車特急「つばめ」「はと」の電車化では本格的な食堂車が登場しました。これにより、ビュッフェ車は編成中の食堂車を補完する役割となり、「電車特急=食堂車」、「電車急行=ビュッフェ車」というスタイルが定着しました。東海道本線の電車急行用としてサハシ153が増備されましたが、昭和36年12月にはサハシ153-23に電子レンジを搭載して営業運転を開始。この結果は良好で以後に登場するビュッフェ車に採用され、これまで以上に温かい食事のメニューが充実することになりました。

 また、151系のビュッフェ車の設計思想を引き継いだサハシ153に引き続き、交直流急行形電車のサハシ451・455、直流急行形電車のサハシ165・169(サハシ153から改造)が登場しました。東北・北陸急行用のサハシ451では「すしコーナー」ではなく「そばコーナー」が設置され、車内で温かいそば・うどんが食べられるようになりました。急行列車に冷房が普及していない時代でしたが、ビュッフェ車は冷房完備でしたので、暑い夏の季節は軽食と涼をとる利用客で賑わっていました。なお、立食スタイルのビュッフェでしたが、最後に登場したサハシ455-21〜26の6両はビュッフェの窓側カウンターに椅子が設置され、座って食事を楽しめるようになっています。

立食スタイルに合わせた窓が設置されている交直流急行形電車のサハシ451のカウンター席側

交直流急行形電車455系の増備車のカウンターには、座って飲食が楽しめる椅子が設置された

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