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栄光の新幹線シリーズ(2) [東海道・山陽新幹線 300系・500系・700系車両]

山陽区間で第2の人生を歩む ショート編成の500系車両

 高速化を念頭において設計された500系はロングノーズを採用したため、先頭車両の客室出入口ドアが1カ所となり、さらに一部車両の座席定員が300系や700系と異なるという問題点がありました。「のぞみ」の1号車が自由席となると、500系だけは特別にドアが無いことを案内する必要があり、さらに1カ所では乗降に時間がかかるようになりました。このため、平成19年7月に東海道区間でのスピードアップに対応したN700系が運転を開始すると、500系の置換えが計画されるようになりました。

 これにより山陽区間専用車両として第2の人生を歩むことになりましたが、同区間には700系7000番台の「ひかりレールスター」が運転されているため、4・6両のショート編成で運転されている0系・100系の「こだま」を置き換えることに決定。平成20年12月1日から16両編成の列車を8両編成に短くした500系「こだま」が登場し、山陽区間では16両編成の「のぞみ」と8両編成の「こだま」が活躍するようになりました。

 平成22年2月28日、東京発12時30分の「のぞみ29号」をもって500系16両編成の運転が終了し、スピード感にあふれた16両編成の500系は姿を消すことになりました。

N700系の登場で「のぞみ」運用から撤退。8両編成に組み替えられた「こだま」用の500系

円筒形の車体断面でジェット旅客機の機内を思わせる500系普通車の車内

カモノハシスタイルで登場したスタンダードタイプの700系車両

 東海道・山陽新幹線東京〜博多間の全区間における高速化を図るため、300系の後継車として開発されたのが、東海道区間で270km/h、山陽区間で285km/hで走行できる700系です。トンネルの微気圧波対策として、「カモノハシ」に似たエアロストリームの先頭形状を採用。500系の鋭い尖ったスタイルとは異なり、ゆるりとした独特なカーブを描いたデザインになっています。

 16両編成の総出力は13,200kWで、最新のIGBT素子を使用したVVVFインバータ制御装置を採用。500系に搭載されたセラミック噴射装置も搭載しており、300系と500系で得た技術の集大成ともなっています。これまで以上に車内の居住空間の快適さに重点が置かれ、車内騒音の低減や車内空間の最大化を実現。荷物棚下に冷房吹出し口を設置して各座席の冷房効果を高めるなど、乗り心地が大幅にアップしています。

 車体塗装は300系と同じく白地にブルーの帯を配したものですが、300系の細い帯が上側であったのに対し、700系では下側に変更。さらに車体側面の空きスペースにロゴマークを入れることにより、300系とは異なる車両であることをアピールしています。

 平成11年3月13日改正から東京〜博多間の「のぞみ」3往復に投入され、その後は100系車両の置換え用に増備が続けられました。東海道・山陽新幹線「のぞみ」の主力列車として活躍を続けていますが、N700系の増備に伴って平成22年3月13日改正では東京〜博多間の定期列車の「のぞみ」運用から撤退し、今後は東海道区間の「ひかり」「こだま」を中心に運用されることになりました。

浜名湖付近を快走するJR東海の700系。「のぞみ」から「こだま」まで幅広く運用されている

ゆったりとした車内空間に2+2席配置のリクライニングシートが並ぶ700系のグリーン車

JR西日本オリジナル車も登場「ひかりレールスター」用700系車両

 平成11年3月13日改正からJR東海の車両が運用に入った700系ですが、JR西日本では平成13年8月から100系置換え用として登場しました。JR西日本の3000番台の車両は運転台側面に「JR700」のロゴが入り、JR東海の車両とはすぐに見分けが付きます。車内もJR西日本のデザインコンセプトに合わせた色調が採用され、同じ700系でも車内の雰囲気が異なっています。

 また、JR西日本では山陽区間の「ひかり」専用車両として、平成12年3月11日改正から700系7000番台の「ひかりレールスター」の運転を開始。山陽区間専用車ということで大幅なモデルチェンジが行なわれ、8両編成の4〜8号車に連結される普通車指定席は2+2席配置のリクライニングシートを採用。パソコン用電源と大型テーブルを装備した「オフィスシート」が設置されたほか、8号車には4人用コンパーメント4室が設置されました。さらに4号車は車内放送のない静かな空間の「サイレンスカー」となるなど、山陽区間の「ひかり」にふさわしいサービスが行なわれています。

 車体塗色は500系と同じライトグレーをベースに、サニーイエローの帯を配したデザインで、前面のキャノピー部はダークグレーになっています。現在、山陽区間の「ひかりレールスター」で活躍していますが、平成23年3月の九州新幹線開業時にはN700系「さくら」が運転を開始するため、今後の運用がどのようになるのか注目されています。

静岡県の茶畑の中を走るJR西日本の700系。車体側面に「JR700」のロゴが付いている

山陽区間の「ひかりレールスター」用として登場した普通車8両編成の700系7000番台

※掲載されているデータは平成22年11月現在のものです。

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