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登場100周年を迎えた雪かき車 今年は雪国の鉄路の安全を守る雪かき車が登場して100周年を迎えました。今回は豪雪と闘う雪かき車にスポットを当てて紹介します。
(文=結解喜幸 写真=結解学)

入換用機関車としても使用できるDD14形・DD15形が登場

 昭和30年代までは蒸気機関車が後押しするラッセル車のみでしたが、高性能なDD13形ディーゼル機関車が登場すると、両先頭部分にラッセル装置を取り付けたDD15形ディーゼル機関車が誕生しました。昭和36年(1961)から昭和47年(1972)にかけて50両が製造されましたが、従来の蒸気機関車+ラッセル車と異なり、折り返しの際に機関車の方向転換をする必要がなく作業効率が向上しました。さらに除雪期以外はラッセル装置を取り外してDD13形と同じ入換用機関車として使用できる利便性があり、その後のラッセル式ディーゼル機関車発展の基礎となりました。
 また、ラッセル車が線路脇にかき寄せた雪壁はキマロキ編成で崩し、遠くへ飛ばしていましたが、それを1台でこなすために開発されたのが、DD13形を箱型車体にしたDD14形ディーゼル機関車です。冬季には除雪用のロータリーヘッドを取り付けて使用するのはDD15形と同様で、入換用にも使用できるようになっています。ロータリーヘッドは各種タイプが試用されましたが、現在は翼が雪壁を階段状に削り取り、ロールバー形の羽根が吹き飛ばすというスタイルになっています。
 現在、DD14形は1号機が三笠鉄道記念館、323号機が小樽市総合博物館に保存されているほか、331号機は1435mmに改軌されて台湾新幹線の入換用・建築限界測定車の牽引用として活躍しています。また、DD15形は17号機が三笠鉄道記念館、37号機が小樽市総合博物館に保存されています。

DD13形ディーゼル機関車にラッセル式雪かき装置を取り付けたDD15形ディーゼル機関車

左右前方・後方や斜め横にも投雪できるかき寄せ羽根車を取り付けたDD14形ディーゼル機関車

雪国で活躍するDE15形&モーターカー

 両端にラッセルヘッドを取り付けたディーゼル機関車は効率的な運用ができることから増備されることになり、昭和42年(1967)にDE10形にラッセルヘッドを取り付けたDE15形、昭和54年(1979)にはDD16形にラッセルヘッドを取り付けたDD16形300番台(0番台の改造車)が登場しています。DE15形ディーゼル機関車には単線形両頭式、複線形両頭式があり、配置された区所や用途に応じてヘッドを取り替えて使用されています。また、DE15形ディーゼル機関車のラッセルヘッドを取り外し、専用のオリジナル塗装に変更されたDE15形が、富良野線のトロッコ列車「富良野・美瑛ノロッコ号」や木次(きすき)線のトロッコ列車「奥出雲おろち号」に使用されています。
 また、車両ではなく「機械扱い」としてモーターカーの両端にラッセルヘッドを取り付けた除雪用車両があります。古くから駅構内の除雪用として使用されてきましたが、近年は高性能なモーターカーの登場により、本線の雪かき車としても使用されるようになりました。片側にラッセル装置、片側にロータリー装置を取り付けたタイプをはじめ、広幅の翼にロータリーヘッドを組み合わせたタイプなど、使用する路線や用途に応じて各種タイプがあります。

DE10形ディーゼル機関車の両端にラッセル式除雪装置を取り付けたDE15形ディーゼル機関車

機械扱いのモーターカーを使用した雪かき車。積雪量が少ない路線や駅構内を中心に活躍

写真提供:novie

※掲載されているデータは平成22年12月現在のものです。

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