『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
奥出雲の美しい山間の風景を楽しむことを目的に登場したトロッコ列車が、ヤマタノオロチ伝説に因んだ愛称の付いた「奥出雲おろち号」だ。12系客車を改造したトロッコ車両と控車の2両編成で、トロッコ車両の側面は手すりがあるだけのワイドな窓になっており、車窓のパノラマ風景と心地よい風を合わせて楽しむことができる。
それでは、木次(きすき)駅から「奥出雲おろち号」に乗車し、紅葉の美しい奥出雲の旅を楽しむことにしよう。
「トロッコ弁当」を販売する八川(やかわ)駅を出ると、列車の左手に線路が現われて出雲坂根駅に到着。停車時間中は駅に湧き出る「延命水」を飲んで休憩するのが定番。列車は進行方向を変え、今度は先ほど現われた線路を上がって信号場に進む。ここで再び進行方向を変えた列車は、右手下に奥出雲おろちループなどを眺めて三井野原(みいのはら)駅に向かう。この先も紅葉の美しい山河の風景を眺めながら走ると、列車は間もなく芸備線が接続する終着の備後落合駅に到着する。
木次寄りに専用塗色のDE10形1161号機またはDE15形2558号機を連結。下り列車はディーゼル機関車が客車+トロッコ車両を後押しして走る。
備後落合寄りに連結される1号車はトロッコ車両のスハフ13 801。2両目のスハフ12 801は雨が降った時などに避難できる客車タイプの控車となる。
12系客車を改造したトロッコ車両のスハフ13 801。車内は木製のベンチスタイルの座席を窓方向に配置。風を受けながら車窓の風景が楽しめる。
下り列車の先頭1号車の運転台横は前面展望が楽しめるフリースペース。ここから眺めていると出雲坂根駅の三段スイッチバックの仕組みがわかる。
列車がトンネルに入ると美しいイルミネーションの「おろち」が天井に浮かび上がる。車窓の風景が遮られるトンネルでは天井に注目が集まる。
旅の思い出を自由に書き込める「トロッコ思い出ノート」や乗車記念にスタンプを用意。乗車時には記念スタンプを押すのを忘れずに。
デビュー年:1998年4月25日
運転日:2011年10月10日までの金・土曜・休日と10月14日~11月23日の毎日。なお、11月23日までの休日と11月5・12・19日の下り列車は出雲市駅始発で運転
運転区間:山陰本線・木次線 出雲市・木次~備後落合間
車両形式:12系客車2両編成(スハフ12 801+スハフ13 801)
八川駅前の八川そばがホームで立ち売りをする「トロッコ弁当」。舞茸を添えた出雲そばの味覚をトロッコ列車の車内で味わえる。
この季節は「青春18きっぷ」などの木次線が乗り降り自由となるトクトクきっぷはないので、「奥出雲おろち号」の乗車では普通乗車券+指定席券が必要になる。なお、関西方面から松江・出雲市エリアへは「松江・出雲ぐるりんパス」(大阪市内発おとな19,500円、こども9,750円。2人同一行程など利用上の制限がある)を利用し、おトクな値段で楽しめる松江・出雲市エリアの観光と合わせ、車窓に紅葉が楽しめるトロッコ列車に乗車するのがベストだ。
文・写真:結解喜幸 写真協力:交通新聞サービス。
※掲載されているデータは平成23年9月現在のものです。