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冬の道東の美しい風景の中を走るSL列車として登場したのが、炭水車が一体化されたタンク機関車C11形が牽引する「SL冬の湿原号」だ。厳しい寒さの中を走ることもあり、豪快なドラフト音と白い蒸気が織り成すSLの雄姿を存分に楽しむことができる。
それでは、釧路駅から「SL冬の湿原号」に乗車し、昔懐かしい汽笛の音と車窓に広がる道東の冬景色を楽しむことにしよう。
汽笛を響かせて釧路駅を発車した列車は、薄氷が漂う釧路川を渡り、次の東釧路駅から分岐して釧網本線に入る。車窓の左手に湿原の美しい風景が広がってくると釧路湿原駅で、この先は車窓の左右に広がる湿原の風景を堪能できる。
列車が茅沼駅に停車すると、左手車窓に優雅なタンチョウの姿を見ることもある。また、エゾシカの群れと遭遇することもあり、まさに道東の大自然を実感することができる列車だ。なお、毎年の運転開始日から2日間は川湯温泉駅まで延長運転され、険しい峠道を登るシーンを見ることができる。
昭和7年から製造されたタンク機関車で、現役時代は国鉄標津線などで活躍。昭和50年の引退後は標茶町の桜児童公園で保存されていた。
濃霧対策として前照灯が左右に2個装着された北海道特有の機関車。SLファンの間では「二つ目」と呼ばれ、国鉄日高本線で活躍していた。
2号車を除く普通車指定席は14系客車の車内を大型テーブル付きのボックス席に改造した車両を使用。2号車には旧形客車を使用している。
旧形客車の2号車には軽食や飲み物などを販売するカフェカウンターを設置。車内のだるまストーブで焼いて食べるスルメも販売されている。
昔懐かしい客車の暖房を再現した石炭焚きのだるまストーブを各車内に設置。車内販売のスルメなどを焼いて食べることができる。
釧路寄りの最後部(下り列車はSLの次位)に連結される緩急車。2軸貨車のゴトンゴトンという乗り心地とワイドな展望風景を楽しめる。
釧路湿原の東端に位置するタンチョウが来る駅。ホームの前に餌箱が設置されており、SL列車の到着時にも数羽のタンチョウが出迎えてくれる。
釧網本線の「SL冬の湿原号」に乗車するのに便利でおトクなのが、釧網本線東釧路~網走間が乗り降り自由のフリー区間となる「冬のぐるっと道東Vきっぷ」だ。札幌からフリー区間までの往復は根室本線経由と石北本線経由の組み合わせで、行きと帰りで異なった車窓風景を楽しめるのも魅力。「SL冬の湿原号」の利用には別途に指定席券(800円)が必要だが、オホーツク海の流氷を車窓に楽しめる「流氷ノロッコ号」の自由席にはこのまま乗車できる。
文・写真:結解喜幸
※掲載されているデータは平成24年1月現在のものです。