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トレタビ列車図鑑

第13回 キハ71・72系 特急「ゆふいんの森」

【第13回】キハ71・72系 特急「ゆふいんの森」*博多~由布院・別府間*

ハイデッカータイプの高原リゾート気動車

 高原リゾートとして人気のある由布院温泉へのアクセス用として、平成元年3月に博多~由布院~別府間を結ぶキハ71系4両編成で登場した特急「ゆふいんの森」。この列車が好評を博し、由布院への観光客が大幅に増加したため、平成11年3月にはキハ72系4両編成の増備車が登場し、博多~由布院間では1日3往復の列車が運転されている。車窓の眺めがより楽しめるハイデッカー(高床式)仕様の車両で、車内は木をふんだんに使用した自然味あふれる空間となっている。
 それでは、博多駅からキハ71・72系特急「ゆふいんの森」に乗って、由布院駅までの列車旅を楽しんでみよう。

 久留米駅から久大本線に入った列車は、筑紫平野の風景を眺めながら快走。筑後川を渡って大分県に入り、右側に三隈(みくま)川が見えると温泉や古い町並みのある日田駅に到着。この先は玖珠(くす)川の流れが左右の車窓を飾り、鉄橋とトンネルの連続で温泉のある天ケ瀬駅に到着。そして、この先でも山間の風景とトンネルが続き、由布院盆地に駆け下りて由布院駅に到着する。

1 キハ71系

平成元年3月に登場したハイデッカー仕様の車両。外観は流線型のレトロ調デザインで、車内空間のよさと合わせて由布院観光の人気列車となった。

2 キハ72系

平成11年3月に増備されたキハ71系と同様スタイルの増備車。さらに洗練された外観スタイルが特徴で、博多~由布院間の2往復に使用されている。

3 普通車指定席

観光利用が目的の高原リゾート特急のため全車両が普通車指定席となる。床板も木でできており、暖かみのある落ち着いた空間を演出している。

4 展望座席

両端の車両の運転台寄りは前面展望が楽しめる展望座席。運転台が下にあるハイデッカー仕様の車両なので、目の前にワイドなパノラマ風景が広がる。

5 ボックスシート

キハ71系は2号車、キハ72系は3号車に家族旅行などに最適な4人掛けボックスシートを配置。ボックスの中央には大型テーブルが付いている。

6 ビュッフェ

キハ71系は2号車、キハ72系は3号車に軽食・飲み物などを販売するビュッフェを設置。地ビールやおつまみ、駅弁、お土産品などが揃っている。

DATA

デビュー年:1989年3月11日
運転日:毎日運転
運転区間:鹿児島本線・久大本線・日豊本線 博多~由布院・別府間
車両形式:キハ71系気動車4両編成・キハ72系気動車4両編成

「ゆふいんの森」でめぐる久大本線の旅

日田・豆田町

日田の豆田町は天領時代の面影を残した情緒あふれるところで、町人文化を彷彿とさせる隈町(くままち)界隈と合わせて町並み散策や温泉が楽しめる。

小鹿田(おんた)焼の里

300年以上の歴史と技法を誇る李朝系登り窯の焼き物。10軒の窯元が並ぶ焼き物の里では、唐臼(からうす)の音が響く懐かしい雰囲気を体感できる。

日田やきそば

各店自慢の手作り秘伝ソースを使用した日田のB級グルメとして人気上昇中。お肉の旨みと特製ソースの甘み・酸味が織り成す味覚を楽しめる。

金鱗湖

由布院盆地にある大分川の源流となる湖。湖底から温泉と清水が湧き出ているため、冬は温度差により湖面から霧が立ち上る光景が見られる。

由布院駅足湯

由布院駅のホーム上に設置された足湯。特製タオル付き足湯券(おとな160円)を購入すれば、列車の待ち時間を利用して温まることができる。

由布院観光辻馬車

由布院駅前から佛山寺、宇奈岐日女(うなぎひめ)神社を見学して戻る観光辻馬車。パカッパカッと馬車を引く馬の蹄の音が街中に響く由布院の名物。

由布院温泉

由布岳の麓にある全国第2位の温泉湧出量を誇る温泉地。郷土料理店や美術館が並ぶ賑やかな湯の坪街道や自然を満喫できる風景が広がっている。

だんご汁

小麦粉をこねた団子を伸ばして作る大分県の郷土料理。鶏肉や里芋、しいたけ、ゴボウなどを入れ、団子とともに味噌仕立てで煮込んである。

鉄道写真作家 結解喜幸の
「ゆふいんの森」○得利用術

博多駅から由布院駅まで特急「ゆふいんの森」の普通車指定席を利用して往復するには、特急回数券「2枚きっぷ」(7,800円・ピーク期は1列車+500円)が便利でおトクだ。由布院へは「駅長おすすめの日帰りグルメきっぷ」や宿泊プランも選べる「うふふの休日」、「駅長おすすめのゆ」など、食事や温泉などがセットになった旅行商品があり、旅の目的に応じて選ぶことができる。なお、九州各地からは「ゆふいんのんびりきっぷ」が設定されている。

文・写真:結解喜幸 写真協力:裏辺研究所
※掲載されているデータは平成24年4月現在のものです。

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