『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

トレタビ列車図鑑

【第16回】「富良野・美瑛ノロッコ号」

【第16回】「富良野・美瑛ノロッコ号」 *旭川・美瑛~富良野間*

花と丘の風景の中をのんびりと走るトロッコ列車

 富良野線沿線の美しい花畑や丘の風景を楽しめるトロッコ列車として登場したのが、「富良野・美瑛ノロッコ号」だ。木製ベンチ風の座席に座り、上窓をオープンにして車窓の風景と爽やかな風を楽しみながら、夏の北海道の魅力を堪能することができる。

 それでは、旭川駅から「富良野・美瑛ノロッコ号」に乗車し、富良野駅までの旅を楽しんでみよう。新駅舎となった旭川駅を発車した列車が旭川の市街地を走り抜けると、次第に田園風景が車窓を飾りはじめる。畑作地帯の丘の風景が見えると、列車は石造りの駅舎がある美瑛駅に到着。ここから先は峠越えとなり、美しい丘の風景を眺めながらラベンダー畑で知られる上富良野駅へ向かう。左手に大雪山系の富良野岳や十勝岳を眺め、車窓の右手を飾る美しい花咲く丘の風景を楽しむうち、中富良野駅に到着。しばし防雪林の中を走るとワイン工場の建物が見えてくる。その後、富良野川を渡って富良野市街へと入り、根室本線の線路とともに列車は富良野駅に到着する。

1 DE15形ディーゼル機関車

旭川寄りに連結されるDE15形ディーゼル機関車。ノロッコ号専用塗装のカラフルな1534号機や国鉄色の1546号機などが使用されている。

2 オクハテ510-2

富良野寄りの3号車(4両編成時は4号車)に連結される自由席車。運転台横のスペースから流れ行く前面展望風景を楽しむことができる。

3 ノロッコ号車内(3号車)

1号車と3号車(4両編成時は4号車)は6人掛けの大型テーブル付きベンチ風座席と、窓側を向いた2人掛け座席が配置されている。

4 ノロッコ号車内(2号車)

2号車(4両編成時は2・3号車)には、車内両側に大型テーブル付き4人掛けボックスシートを配置したナハ29000形を連結している。

5 車内売店

1号車の指定席車には、飲食物やノロッコ号の乗車記念品を販売する車内売店、記念スタンプ台、ダルマストーブなどが設置されている。

6 ラベンダー畑駅

富良野線西中~中富良野間に開設される夏季限定の臨時駅。1日3往復のノロッコ号が停車するほか、一部の普通列車が期間限定で停車する。

DATA

デビュー年:1998年7月1日
運転日:毎年6月から10月にかけて運転。2012年は6月9日~8月31日の毎日運転。9月1日~10月14日の土・日曜・祝日は「秋の南富良野ノロッコ号」として旭川~新得間で1日1往復運転
運転区間:富良野線 旭川・美瑛~富良野間
車両形式:ノロッコ号車両3両編成(4両編成の日もある)

「富良野・美瑛ノロッコ号」でめぐる富良野線の旅

四季彩の丘

美馬牛駅の近くにある美瑛の丘を見下ろす高台の花畑。敷地内にアルパカ牧場があるほか、トラクターバスに乗って花を観賞することができる。

白金温泉

美瑛町にある美しい白樺林に囲まれた温泉地。泉質は芒硝泉で、7軒あるホテル・旅館からは美瑛岳や十勝岳などの山並みを望むことができる。

富良野自然塾

塾長・倉本聰が環境教育事業を推進する富良野自然塾。富良野の大自然のフィールドの中で五感を鍛え、環境について考えることができる。

後藤純男美術館

北海道の厳しい自然に惹かれた日本画家・後藤純男がアトリエを構えた上富良野町にある美術館。十勝岳連峰を望めるレストランもある。

深山峠アートパーク

十勝岳麓・上富良野町の深山(みやま)峠にあるアートパーク。トリックアート美術館やみやま物産館、バーベキューテラスなどがある。

ドラマ『北の国から』の舞台

ドラマ『北の国から』の中で黒板五郎が建てた石の家をはじめ、富良野には当時のロケに使用されたままの懐かしい家が保存・展示されている。

美瑛カレーうどん

美瑛のご当地グルメとして誕生したつけ麺スタイルのカレーうどん。美瑛産の小麦粉を使用したうどんや豚肉など、美瑛の味が詰まっている。

富良野オムカレー

オムライスとカレーライスをミックスしたご当地グルメ。カレーの辛さと卵のまろやかさが絶妙にマッチした逸品として地元で親しまれている。

鉄道写真作家 結解喜幸の
「富良野・美瑛ノロッコ号」○得利用術

富良野線エリアの旅に便利なのが、富良野線全線と根室本線滝川~幾寅間、函館本線滝川~旭川間の普通列車の普通車自由席が1日乗り降り自由となる「ラベンダーフリーパス」(おとな2,300円、こども1,150円)だ。「富良野・美瑛ノロッコ号」の自由席に乗車できるほか、別途に特急券・指定席券を購入すれば特急列車や指定席車の利用も可能。このほか、札幌方面からの往復JR券がセットになった「ふらの・びえいフリーきっぷ」などがある。

文・写真:結解喜幸
※掲載されているデータは平成24年7月現在のものです。

バックナンバー

このページのトップへ